むすんで ひらいて

ぽてぽてと歩く毎日。

のどかに、やさしく生きたいな。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

ひとりのようで

2017年01月20日 | 日記

(・・・つづき)

 

 

ひとりの人間

 

一番に食べ終えた叔父さんが、ポッキーをつまみながら私の知らない父と祖父母、曽祖父母たちの話を聞かせてくれた。

父が高校生の時、初めてもらったお給料でまだ小学生だった自分におもちゃを買ってくれ、父は喜んで自転車の前と後ろにライトを取り付けたこと。 祖父母の出会いや戦争前後の暮らし・・・

そういうのを聞いていると、私の上に星が現れて空間が広がっていくような気分になる。 私たちはその中にひとりの人間として生まれ、親子となって巡り合った、不思議

みんな振り子の糸のように祖先の歴史を身体に含んで今に在るんだなぁと思う。 

 

 

愛をつないでいく、一時の旅人

 

あれから豆がひとつなくなった落花生の中にいるような気分だ。

たとえば父が好きで手入れしていた膨大な庭木や、少しずつ気に入った形の石を手に入れてきて造りあげた花壇、長年愛用していた鞄を感心するほど丁寧に修理した跡を見たりすると、そこに注がれた父らしい細やかな愛情が今も沁みつき生きているようで、なぜだか泣きたくなる。

紆余屈折を経たけれど、結局心に残るのは父が発した純粋な愛の光だけになっていく。 母のことも同じ。 

蹉跌が集まるようにして。

 

 

本当にひとり

 

離れていても親が生きているというだけで、私のへその緒はまだ空の上の祖先とつながっていた気がする。

こうして両親をなくしてみると、一つの個体としての自分は、本当にひとりで生きているんだと思う。 これ以上削る余地がないくらい。

と同時に、他の命に今までとは違った普遍的な繋がりを感じ。 草原で共通の孤独を嗅ぎ分けてるみたいに。

 

おいしいものを見つけると父も食べたら喜ぶだろうなぁと思い、これから行きたいと話していた海外(次はベトナム!)や沖縄、白馬や博多、鳥羽の島々は私が少しずつ巡ってみようと思う。 

そうして私の中で父も生きていく

だからこの世界にいる間、自分に宿るものに素直に、それを慈しみ、もらってきた光をつないでいきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

引き継いでもらった場所

2017年01月17日 | 日記

この時期になると毎年、脚立に上った父が庭の夏みかんをもぎ、私が下で受け取って段ボールに詰めるという収穫が恒例だった。小学校の入学祝いに植えてもらったこの木は、今では中くらいの段ボール4箱を越える実をつけてくれる。

そのおすそ分けを持って行くと、その場で房の皮を上手にとって果肉の蜂蜜漬けをカウンター越しに出してくれるのが父の弟の奥さんだ。

叔父夫婦は和食のお店を経営していて、葬儀の後二度、私は閉店後にお二人とその息子さんの奥さん(息子さんは仕事で帰りが遅い)の4人で夕食のテーブルを囲んだ。

お店の入っているビルとその隣の家が父の実家でもあり、叔父の奥さんから聞くところ私の母がなくなってから14年間、父は空いてそうな時を見計らい、にこにこしながら暖簾をくぐって来ては、「ここに来るとほっとするわぁ~」とおしゃべりと食事を楽しんでいたんだという

亡くなる一週間前、あまり体調の優れない中で行った定期健診後の、なんとも言えないやるせなさを吹き飛ばしたくて、私はそれまで叔父さんたちに外では会っていてもお店には子供の頃以来初めて、父と夕食をとりに来た。

驚いたことに、一週間ほど前から食のうんと細くなっていた父が、その時はすっかり溌剌とした子供に戻ったようで、うな丼とカキフライとお刺身を少しずつだけれど本当においしそうに平らげていった。

帰りも力が出たと言って、しゃきしゃきウォーキングしていた姿からはまさか一週間後に亡くなってしまうなんて思いもよらず、まるで赤い折り紙で作った飛行機がビュンと飛んで、急に視界の向こうに消えてしまったみたいだった。

 

その会食からほぼ一月ごとに、私は父の通っていたように叔父さんを訪ね、暖簾の仕舞われた店内で父と同じ椅子に座り、キムチ鍋やおでんやカキフライをいただいている。

あの日一度でも父の大好きな実家で、話しが出ると顔をほころばせるのが常だった仲良しな弟さんと、たまたまその日中に籍を入れお店の上の階に引っ越し作業中だった息子さん夫婦も交え、みんなで寛いでいる光景を見ておけてよかった。あの楽しい雰囲気は今もそこに息づいているから、と思う。

 

 

 

                           かうんせりんぐ かふぇ さやん     http://さやん.com/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント