永平寺で修行されたお坊さんに、
「冬になると、修行僧に振る舞われる玄米がゆには、お餅が入るんですよ」
と聞いて、
「おいしそう。わたしも作ろ~」
と思ったからかどうなのか、その3日後に久しぶりのカゼを引き、さっそく試作のチャンスが到来しました
冷凍玄米にお餅を混ぜて、グツグツとろけていくお鍋を覗いていたら、ずい分前のこと、一人暮らしでカゼを引いた晩、買い物袋を下げ、お粥を作りに来てくれた友達を、ほわほわ思い出しました。
あの夜、灯りを消した部屋のお布団から、台所のたのもしい彼女をぼんやり見上げ、
「お粥って、いつものご飯がやわらかくなっただけじゃないんだ」
と、思いました。
「最近ご無沙汰だけど、どうしてるかな・・・」
力のつきそうな、もっちりお粥に満足して部屋に戻ると、だいだい色の夕陽が差し込んでいました。
どのくらい眠ったのか、次に目覚めた時は真っ暗で、一瞬、何時かわからないでいるうちに、携帯が鳴り出しました。
はいはい。
手に取ると、そこに光っていたのは、懐かしい名前!
「もしもーし!」
「久しぶりー、今だいじょうぶー? 〇ちゃん最近どうしてるー?」
「わぁー、久しぶりー、わたし今カゼ引いてるよぉ」
「あれぇ、この間もカゼひいてたねー」
「えー、そうだっけ? 一年ぶりくらいだよ」
「そうだわ、じゃあ一年ぶりくらいなんだよー」
彼女のカラッとエネルギッシュな声を聞いてると、あっという間にかつて過ごしたあの日この日につながって、なんだかくすぐったくなります。
切り際の、
「忘れないでねー」
が耳に熱っぽく残っていて、ちょっと目の慣れてきた暗がりで、師走だな。。と思いました。
知らないとこで、生きてる何かに気づいたりする、年の暮れ
温かい日々を
かうんせりんぐ かふぇ さやん http://さやん.com/