むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
ひっそり..はかなく..無意識に..あるものを掬っていたい。

弾丸池の いのち たち

2011年10月29日 | 日記
夕方、アルバムを整理していたら、おととしの沖縄旅行の
写真につい手が留まりました。

その森には、「弾丸池」という丸くて黒い池がありました。
立て札によると、戦時中に落とされた弾丸のくぼ地に水が
溜まり、池になったということでした。

おどろいたことに、時刻は南国の日差しまぶしい真昼にも
かかわらず、森の中はひんやりとし、樹木に覆われた池は
黒く鎮まり、なんともただならぬ気配を放っていました。

つられて近寄り、恐るおそる足元の水面を覗いてみると、
その下には、黒々としたおたまじゃくしの大群やお腹の赤
いイモリくんたちが、ゆうゆうと泳いでいるではありませ
んか。

もう少し目線の先、池の真ん中から奥の岩縁にかけては、
大きなアメンボが、バカンスを楽しむ碇泊中のヨットみた
いに点々と佇んでいて、時々目の端で瞬間移動をしました。

「こんな、黒い池にも生命が」
弾丸がえぐった大地は、まだあとかたを残していましたが、
その後に水をたたえ、生命をたくましく育んでいる。それを
囲う森の木々、濃い陰影を包み込む沖縄の風土。

そこから続く山道を登り、青くきらめく海と白く横たわる
島を眺めて「ほーっ」と深呼吸をしてきましたが、今どの
光景も同じくらい鮮やかに心に息づいています。

争いは、消えることない大きな傷跡を残します。でも、い
つか悲しみや怒りを受け入れ、手放し、その構図を確か
めることができたら、誰がわるいという発想に留まること
なく、みんなで傷みごとひっくるめて生き続ける挑戦と工
夫をすることに、道は開ける気がしました。

ああ、もう外は弾丸池のような。。



かうんせりんぐ かふぇ さやん     http://さやん.com/ 




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