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技術士(総合技術監理・機械部門)のブログ

技術士がお届けする,技術,工学,技術者倫理などの話題

ネットワークとは

2007-05-24 21:34:49 | 技術
「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ

講談社

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最近,SNSということで,盛んにコミュニケーションをネット上でとるようになっている.最近,ビジネスでもこんなサービス(ビジネスSNS)が登場した.人脈を増やすということが目的であるが,仕事が人脈により拡大すれば自分の年収も増やせるかもしれない.


まさに複雑系のネットワークとして機能するのであろうが,ネットワークの次数でいうと,このようなコミュニティ(このサービスはWizliという)ものであるが,どのくらいになるのであろうか.多分,仕事での付き合いがない方と知り合うことであるが,実は案外共通の知人がいる可能性が高い.
次数とは,どのくらいの知人を介してその人に行き着くかであるが,私の場合でも,例えば安倍総理には 次数3でたどり着く.仕事上で山口の業者との関係が出来,その社長が総理夫人と知り合いであるから,次数は3となる.
しかし,次数が少ないかもしれないが,その事実を知らずに,仕事の人脈のチャンスを逃している可能性もある,
であるから,このような,サービスは友達コミュニケーションと同じくらい効果があるかもしれない

免震について(8)

2007-05-22 21:26:45 | 技術
コメントをいただいたから
という理由で免震技術について
トピックス
特に免震技術そのものでは無いのでありますが,
今年,港湾の技術上の規準が3月に告示され,4月から施行されました.
この改正のポイントは
「専門技術者が評価する」
ことでしょう
その中で,港湾施設の耐震基準,評価について専門家の評価を受けることが必要となっています.
これは,港湾に施設を建設する場合で,そこが耐震強化岸壁である場合,専門的な視野から,その施設の耐震設計に対する評価を行うように指導されているということです.
ところが,この「専門家」が少ないという問題があります.
特殊な施設であればあるほど,その耐震性というのは特殊になります.
また,その耐震性を免震でカバーする場合,その方式や性能をどう評価したら良いでしょうか?
これも非常に難しい問題であります.
1)その港湾での地震波は何か
2)解析モデルは正しく評価できるのか
3)そもそも施設は壊れなくても,岸壁が保つのか?

など,様々な問題があります.

ということで,最近のトピックスでした
次回はもう少し詳しく紹介しましょう

検査規準と法律

2007-05-08 21:40:28 | 技術
ジェットコースタの事故
JISの検査規準が遊戯施設にはある
しかし,ほとんどの施設では車軸に対して分解して検査をしているところは少ないであろう
というのは,規準であっても法律でないからである
国交省は,明確に検査規準をすると言っているが
そもそも,どこが車軸で,どこが構造ピンであるかも不明確である
今回の構造を見る限り,車軸ではなく構造ピンの破損である
構造ピンは,破損してはならない
私は,これは設計瑕疵であると思う.
疲労強度がないのであれば,マニュアルにきちんと検査をすることを明記していなけれなならない
それがメーカの責務である.
検査規準というのは,機種毎に違うのが
あたりまえで,一般的な規準などは個々の機械に適用するのは難しい

やるとすると,設置時に検査規準を「評定」することでチェックしていくしかないと考える
つまり,設計時に評定し,設置時にも設置報告だけでなく,検査要領も提出させるのである.それを,第三者機関が,設計時と照合して,どの部分にどの程度の検査が必要かをチャックするのである.

遊園地側を擁護しているのではない.安全を管理するものは,設置時から維持管理する義務がある.法律に書いていない,マニュアルに書いていないからやらない ではすまされない.
しかし,それだけではなく
専門的な 1 メーカへの指導,2 設置時の検査 3 毎年のメンテナンスのチェック
の3重の安全管理をする仕組が重要であると思われる

メーカの倫理観念や,設計レベルが低い現在.我々技術士を含めた取り組みが必要かもしれない

ジェットコースタの事故

2007-05-06 13:04:17 | 技術
エキスポランド社など家宅捜索 コースター脱線事故(朝日新聞) - goo ニュース
ソネットの動画ニュースから抜粋した,同型コースタ車輪部である
折れた車軸は,上部の車輪で,そこからサイドローラと下部車輪へのブラケットが出ている
私が設計すると,たぶん上部の車輪軸からサイドローラと下部車輪のブラケットはとらない
なぜなら,力の伝達という面で複雑になり,手計算での設計が難しくなるからである.
この構造であると,折れた部分と思われる当該の車軸先端部には以下の力が加わる
1 下部車輪が支える時の自重+慣性力=専断力 とそれの偏芯によるモーメント荷重
2 下部車輪の側方力=軸力 とそれによるモーメント荷重
3 サイドローラにかかる側方力による軸力とモーメント荷重

さて,朝日新聞には 軸の材質は φ50 でSNC であるとの記事であった,SNCというのはニッケルクロム鋼材であり
その引っぱり強度により何種類かあるが,どれであるかは不明である
SNC415であると仮定してみる.すると,その引っぱり強度は 784N/mm2である
応力としての値が表されているのだが,例えば50mmの円形断面であるので
その面積は 50x50xぱい/4=1963.5mm2であるから
単純に引っ張ってみたとき,784x1963.5=1539380N 重力単位系で言うと157トン で引っ張って切れるという強度をもつ.
ところがである.この軸には単純に引っ張る力がかかるわけでない
少なくとも上記のモーメント荷重=曲げる力がかかる

一方,応力の設計上は許容応力として,引っぱり強度あるいは降伏点に対して安全率を設定する
ここで降伏点とは,材料が弾性変形 つまり力をかけても元の形に戻るときの限界である.材料は降伏点を超えても切れないことが多く(一般の機械構造物用のもの)引っぱり強さで破断する.降伏点(応力)<引っぱり強度 である.
であるから,設計上は 784という数字ではなく,200から300N/mm2が設計応力である.
また,疲労強度というのは,さらに下がる.繰り返し力を受ける材料は,設計で使う応力よりもさらに下がる場合が多い.また,金属材料の表面の状態により変化する.例えば,つるつるの表面よりきざぎざの表面というのは疲労強度が下がる.

さて,曲げを受ける材料の場合,その応力の最大は材料表面である.その材料表面での応力が疲労応力以下である必要がある.
SNC材の基本疲労強度は手元に資料がないので不明であるが
せいぜい 200程度であると思われる
そして,そこがねじであるとすると
150程度に下がる

150N/mm2が許容する疲労強度としてみよう.

コースタの軸の当該部分の許容できる荷重はどうなるであろうか

軸には 専断力と曲げモーメントがかかり,その合計が応力となる

専断力としては,逆さになったときの自重+慣性力と仮定してみる
(4名+車両自重)*1.3G(0.3Gくらいの加速度とする)=(4x85+300)*1.3=832kg
一輪あたり832/8*9.8=1019.2N
材料の面積=ねじとして ねじ最小断面と考え 1470(M48の場合)mm2
断面係数=45x45x45xぱい/32=8946mm3
ここで断面係数とは,曲げモーメントを断面係数で割ると,表面の応力が算出できる数値であります

専断=1019.2/1470=0.69N/mm2
専断力としては小さい応力となった
そして許容できる曲げモーメントは = 150x8946=1341900Nmm
= 137kg m
となる.すなわち,137kgの重さを1mのところにぶら下げた力である
サイロローラの側方力とその腕の長さが不明であるが
腕の長さを 300mmとして
サイドローラ1こあたりの許容できる側方力は = 137/0.3=456kgとなる
サイドローラのレール=パイプ材のあたりを見ると
写真でも減っていることがみられる.場所により当たり具合も変わるだろう
そうすると 許容できる 456kgというのは低い
つまり,1つのサイドローラで一車両すべての側方力を受ける可能性があるのではないだろうか
先に見積もった4名+300kg という自重にすらとどかない

また,このコースターは立ち乗りである.すると 重心位置が高い.その分,モーメント荷重も大きくなる.
全て仮定に基づく計算であるが
疲労設計上,危険である可能性もある.

事故の再発防止に向けて,設計検証も含め関係省庁は全力を上げていただきたい

遊戯施設での事故

2007-05-05 21:27:25 | 技術
ちょっと大変な事故になってしまった
私も,昇降機検査資格者を取得していて,この取得の目的は,エレベータの点検ではなく,遊戯施設の点検(当初は遊戯施設の設計製作)のためであった.ご存知のかたは少ないかもしれないが,エレベータと遊戯施設=ジェットコースターなど の検査資格は同じである.管轄官庁は旧建設省 今の国土交通省となる.
ジェットコースタの車軸が折れたということらしいが,その原因は特定されていない現状でコメントはできないのだが,もしそれが事実とすると,設計に原因があるかもしれない.もちろん,設計が悪い場合でも,点検で未然に防げることがあることは確かである.ただし,疲労による破壊であるとすると,小さい傷程度であったものが急激に進展して破損する可能性もある.その場合,点検では防げないこともあり得る.
設計が悪い場合,それはどうなるのであろうか.ジェットコースターのような一品生産の場合,遊戯施設を設置する際には「評定」という審査を受ける.この審査が適切であったかどうかが問われる.
最近問題となっているエレベータに続き,遊戯施設ということは,その評価や検査制度の質が問われているような気がする.そしてそれを監督する官庁の 質 の問題でもあるような気がする.
技術者の 質
これは非常に難しい問題である