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『チェーン・スモーキング』 エッセイ

2009-03-24 16:04:36 | book
著者:沢木耕太郎

【内容】
古書店で手にした一冊の本に書き込まれていた言葉。公衆電話で演じられた人生の一場。深夜にタクシー・ドライバーと交わした奇妙な会話。…エピソードの断片はさらなるエピソードを呼び寄せ、あたかもチェーン・スモークのように連鎖しながらひとつの世界を形づくる―。同時代人への濃やかな共感とともに都会の息遣いを伝え、極上の短篇小説を思わせる味わいのエッセイ15篇。


【感想】
一番驚いたのは、沢木耕太郎はノン・スモーキングの人であったということ。
ずいぶん昔に本屋でこの本のタイトルを見た印象からか、沢木氏はタバコも酒も嗜む人だと思っていた。
バーでお酒を飲みながら葉巻、みたいな。

沢木氏のエッセイは好きだ。これまで読まなかったのが惜しいくらいだが、きっと今だからそのよさも分かるのだ、と思う。
恐れ多いことだけど、人間を大雑把に分類するとしたら、私は彼と同じところに分けられるのではないかと思う。

どんな人生を送っているかといった意味ではもちろん全然違うのだけど、なんというか、使う言葉に親近感を持つ。頭の中で浮かび、頭の中だけで消化されていく考えにおいて使う言葉たち、それをよく彼の本の中で見かける。

「シナイの国からの亡命者」というタイトルでのエッセイの中で出てくる、「『自制の王国』の住人」という言葉を見、氏自身は『放恣の王国』の住人ではなく『自制の王国』の住人であり、且つ、いつの頃からか『自制の王国』からの亡命を望みはじめているに違いない、と書かれているのを読んで、思いを強めた。

沢木氏の本を読んでいると、ひっかかる文章が多々あって面白い。その都度読むのを一時停止して考えを巡らす。贅沢な読書である。

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