雅藍(がお)っぽさまるだし2。

芝居やゲームやWWEや映画やライブを糧に人生を何とか過ごしてる、そんな雅藍(がお)さんの日々をまるだし。

「プロデューサーズ」&「RENT」:200万ドルの友情と、525,600分の愛。

2006年05月01日 | 大スクリーンに無限の夢(映画)
GW前半戦最終日。

最近一番親しい人と一緒に、
渋谷でミュージカル映画のハシゴを敢行。
どちらも話題作で、
しかも前日まで気がつかなかったのだけど今日は映画の日。
かなり混んでたのだけど、両方とも非常に出来のいい作品で、
確かに疲れたけど、結構満足だった一日。

実はミュージカル映画を見るのはもう10年以上ぶりで、
でも昔は「コーラスライン」とか「ビギナーズ」とか凄く好きだった。
系統はちょっと違うけど、「ニュー・ジャック・シティ」とか、
音楽の要素が強い映画はすごい好きなのだ。


お昼に合流して、コンビニでおにぎりとかを買って、
まずは「プロデューサーズ」へ。

こちらはいい意味でベッタベタなブロードウェイ王道ミュージカル。
元々「史上最低のミュージカルを作るぞっ!」っていうのがテーマとして
あるのだから、「ミュージカル」を茶化す(勿論いい意味でね)って言うネタを
使う以上「王道」になるのは容易にわかるのだけど、
それゆえミュージカル好きにはたまらない構成だし、
逆にミュージカル初心者でもわかり易い作りになっている。

何より完全に「プロデューサー業」をストーリーのメインにすえているので、
実は単純明快に展開していくのに感心した。
要するに「脚本→演出家&スタッフ→役者(女優&主演男優)→出資者」の
順に集めていく展開の後はすぐに公演直前に飛ぶ。
テンポが非常にいいのである。

…ま、誰も「稽古中に起こりうるごたごた」とか、
「宣伝や制作の実態」なんて重いもの(経験者だからよぉくわかる)は
見たかないわな。

クライマックスも容易に予想できるんだけど、
この映画では逆にその方が安心するっていう好例。
全てが「予定調和」の元に成り立ってるのだけど、それが最後まで心地いい。
エンディング、幕が下がるところまでニコニコしながら見ることが出来た。

そして、「ミュージカル映画」の最大の懸念である、
「ミュージカル」と「映画」の乖離の問題も全然なかった。
「映画」としても実にうまいつくりになっていて感心したんだけど、
最後のスタッフロールを見て、さもありなんと納得。

この映画、あのメル・ブルックスが製作・脚本を担当してたのね。
というかメル・ブルックスがそもそも「プロデューサーズ」自体の
生みの親だったのね。

(注)メル・ブルックス:
         アメリカが生んだ偉大なるコメディ作家&コメディアン。

この人のパロディ映画は下品だけどセンスが良くて、私は大好き。
スターウォーズをパロった「スペースボール」は20年近くも前に、
立ち見して劇場に見に行って大笑いした記憶が今も鮮明に残ってる。

だから、実はナチス信奉者が出てきたりと「非常に危険なはずのネタ」も
かなり入ってるんだけど、ぎりぎり下品にならずにわはわはと笑わせて
昇華できるというのは、さすがメル・ブルックスの面目躍如。

いい形で「映画」と「ミュージカル」が融合した、
「ミュージカル映画」としてお勧めの逸品だと思う。
もっとも、それゆえコレだけで満足なので、
改めてミュージカル版を見たいかといえば、そうでもなかったりするのだけど。

それと忘れちゃいけないユマ・サーマン。
最近タランティーノのところでの印象しかなかったんで、
この「ベッタベタなセクシー美女」役は非常に新鮮。
振り幅の広さにタメイキが出ます。とても刀振り回しそうには見えないわ。


最初に濃厚な2時間15分を堪能したあと、
場所を文化村に移して次に見たのは「RENT」

こちらもブロードウェイの超有名ミュージカルの映画化。
何でも文化村ル・シネマの前売り新記録を更新したとか言う話で、
今日も映画の日と言うこともあって、一応平日なのにお昼の段階で
その日一日の整理券が全て捌けてしまうという有様。
私は事前に立寄って早めに整理券をもらってたので、
割といい席で見ることが出来た。
しばらくの間は混雑するだろうなぁと言う人気。

こちらはある意味「プロデューサー」とは真逆のテーマ。
そこに華やかなサクセスストーリーも逆転のドラマもなく、
あるのは「現実に振り回される等身大の若者達群像」のありのままの姿。

実は私、「RENT」の名前は知ってたけど、
内容とかは全然知らなかった。
「数年前に確かTMネットワークの宇都宮さんが出てた奴だよなぁ…」位の
知識しか知らなかったのだ・

なので、ちょっと意外だと思ったのは、
物語の中に「アメリカ(もしくは社会制度)の批判」のような描写が、
一切なかったということだ。
人種差別とか、同性愛者への偏見とか、そういう表現が一切ない。
色んな肌の人の色んな愛の形がストレートに描かれて、
それに関する障害が一切ない。

…いや、あったな。最大の障害が2つ。
それは「AIDS(HIV)」と「家賃(RENT)すら払えない貧困」。

それでもメインの8人立ちはそれぞれの夢や情熱、思いや悩みを抱えながら、
1年間を駆け抜ける。
喜びや悲しみを共有したり、怒りや苦悩を分かち合い、すれ違い、
それでも繋がろうとする。
人の営みと言うものがありありと表現されている。
ロックのリズムと、迫力があって、且つ切ない歌に満ちて。

表現方法としても「プロデューサーズ」とは対極に位置しているよう。
あくまでも「映画」と言う表現方法を用いてはいるけど、
こちらはより「ミュージカル寄り」のポジションで撮影されている感覚。

だから、「RENT」に関してはオリジナルのミュージカルを見てみたい
衝動に駆られる。
タイミングよく?11月には来日公演があるとのことなので、
何とかチケットを取って見に行こう!と、同伴者と誓うのであった。


ロック要素が強い分、新感線好きな私としては余計感情を移入しやすくて、
好みとしてはこちらの「RENT」の方が強い。
そして、現実感が強い分、共感できて、心に染み込むような感覚も感じた。
(最後の「予定調和的な感動」は蛇足のような気もしなくもなかったけど)

1年はたった525,600分しかなく、
人生は42,048,000分しかない。
もっと短いかもしれない。長いのかもしれない。

だから、どうやって生きていくのか、
何を数えながら、何を求めながら、
あるいは何を捨てながら生きていくのか。

どんな人生になろうと、どんな選択をしようと、
最後の1分で、生きていて良かったと思えるように、
大好きな人と、大好きな人たちと、
「いつかではない今日」を精一杯生きる。


…それが一番難しいんだけどね。

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1 コメント

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RENT! (ヨウ)
2006-05-04 00:57:56
歌、ほぼ全部歌えるぞー!

2枚組みCD持ってるぞー!

5年ほど前のブロードウェイチーム来日の公演ではスタッフだったぞー!



Seasons of love~~~~
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