雅藍(がお)っぽさまるだし2。

芝居やゲームやWWEや映画やライブを糧に人生を何とか過ごしてる、そんな雅藍(がお)さんの日々をまるだし。

「サイレントヒル」:今までの中で最高の「ゲーム映画」

2006年07月09日 | 大スクリーンに無限の夢(映画)
「サイレントヒル」というゲームはどうやら日本よりも海外の方で
人気があるようです。
日本だと「バイオハザード」シリーズとか、「零」シリーズとか、
あるいは最近だと「SIREN」シリーズの方が人気があると思われます。
(かなり主観入ってはおりますが)
ゾンビとか怨霊とか、ある程度わかり易い恐怖対象のほうが
受けやすいんじゃないかと。

「サイレントヒル」というのはどちらかというと間接的・概念的恐怖というか、
生理的嫌悪感をメインにおいて、そのストーリーも抽象的で哲学的な面があり、
判りやすく「ゾンビから逃げ回り、反撃する」って言うわけでもなく、
「得体の知れない異形の怪物が徘徊する世界を探索する」って言うのが
メインなぶん、プレイヤーを選ぶのではないかと思います。
(実は「SIREN」も似たようなところがありますが、
あちらは「屍人」という実にわかり易い敵がいるのが大きいのでしょう)

でもビジュアルの独特な作りこみは「サイレントヒル」が随一で、
例えばクリーチャーの「ぬめっとした」感じなんかはホントに鳥肌立つほど
気持ち悪かったりしますので、そういう意味ではやはり、日本人というより、
海外向けなのかなぁと、思ったりするわけです。

私?
勿論好きですよ。
最新作「サイレントヒル4 THE ROOM」も一気にクリアしましたし。

さて、そんなことを考えてみて。

昨日から公開された映画版「SIRENT HILL」
やっぱりホラー好きとしては気になるじゃないですか!

というわけで、他にやるべきことがあったはずなのに、
なぜかあっさりユナイテッドシネマとしまえんのチケットを予約してしまって。

本日、観に行ってしまいました。


で、ぶっちゃけ結論。



非常に「うまい」ホラー映画でございました。
そして非常に「丁寧な」ゲーム映画でございました。
かなり気に入りました。


TVゲームの映画化というのは小説の映画化と違って、
基本的に「映像」から「映像」への変換という難題が絡んできます。

小説は「文字」から「映像」への変換ですから、
割と「映像」に自由度が効くわけですが(その分難しくもありますが)、
ゲームの場合、元が「映像」としての影響がでかいわけですから、
その「本質」をどこまで「映画」というメディアに押し込むかというのは、
実はかなり難しい問題なわけです。

で、往々にして失敗することが多かったりします。
あるいは「ゲーム」という認識を(結果として)破棄してしまうのも、
方法論として確立された感じもあります。

例えば「バイオハザード」。
映画としてみればアクションホラーとして非常に面白いのですけど、
一方で「あれ、どこに原作ゲームの要素はいってるの?」と振り返ると、
うーんと首をかしげるしかありません。
「2」なんか完全「ミラ・ジョヴォビッチを堪能する映画」として面白いし。
ゲームに登場したキャラとかも出てたけど、サブキャラ扱いだし。

そういえば、劇場版「サイレン」はやはりゲームやってた人たちには
大不評だったみたいで。私は、アレはアレでありだと思ってましたけどね。

そういう意味ではちょっと不安でもあった「サイレントヒル」ですが、
ストーリーも、ビジュアルも、そしてその本質もきっちり「ゲーム」から
逸脱することなく、しかも映画としても十二分に面白いという、
実に稀有な傑作となっており、正直吃驚しましたわ。

あの生理的嫌悪感も満載だし、一方で難解な物語設定、
だけど実は非常に明確で、それゆえ感動すら覚える本質。

特にサイレントヒルの4つの世界を的確に表現し、
クリーチャーの動きや造形に徹底的にこだわった点はお見事の一言。
マジ「気持ち悪い」のですよ。動きもそうだし。

ショッキングなシーンが少なく、じわじわと責めてくる恐怖感。
コレこそが「サイレントヒル」の真骨頂。

そして、音楽と効果音の使い方がホントに素晴らしい。
ゲームでもおなじみの「ラジオのノイズ」という嫌悪感バリバリの効果音を
要所要所で実に的確に使い上げ、
その間に凄く綺麗で、凄く物悲しい旋律が配置され、
メリハリがはっきりしてます。

あと、全体的に何だかエロティック、なのです。
勿論ヒロインである母親と、サブヒロインである婦警自身というのもあるし、
何というか、さっき「気持ち悪い」と言ったクリーチャーも、
一方で何だか官能的にも見えてくるのです。

このあたりのビジュアルの巧みさは、
さすがカルトな名作「ジェヴォーダンの獣」の監督の面目躍如、
というべきかと。


そして何より、キーパーソンとなるシャロンを演じた、
子役のジョデル・フェルランドちゃんが凄すぎます。
可愛い役と、怖い役とを巧みに使い分けるこの演技力は、
一体何者なのよ!と思ったら、TVシリーズ「キングダム・ホスピタル」で
既にホラー経験済みなのね。あとで知って納得。

そしてこの子、現在公開中の「ローズ・イン・タイドランド」の
主演も演じてるのね。なんて子だよ…。
コレも観に行かないと気が済まなくなって来たよ。


ストーリーも、実に「サイレントヒル」らしいつくりです。
基本2重構造で、「現実の世界」と「霧の世界」がうまく組み合わさり、
時にリンクしたりして、そして少しずつ確信に迫っていくという構図で、
説明も結構宗教的観念が入った抽象的なものだけど、
クライマックスになるとその本質は実にはっきりとして、
最後は非常にうまい落とし所にたどり着いた、というべきで。
余韻に浸らせていただきました。

私は特に主人公のポジショニングと精神的変化の構成に感心しました。
最初はよくある「逃げ回る主人公」。
そして「勝手に巻き込まれ型」タイプで、私、ちょっと嫌だったんですよ。
自分が勝手にその街に入っていったのに、「何で私が…」っていう雰囲気を
する主人公って嫌いなので。

だけど、途中でヒロインが反省するんですよね。
「私が悪かったわ」って。
それでほぉって思って。そういうシーンて今まであんまりみなかったような
気がするから。

そしてドンドン強くなっていく。それはまさに「母の強さ」であって。
映画化に際して主人公を女性にチェンジしたのが、
今回は非常にうまく働いたようです。

正直、確かにえぐい描写もございます。
特に後半はかなり連発しますけど、だけどそれを差し引いても、
映画として非常に良い出来で、お勧めです。

人を選ぶかもしれませんが、多少でも興味を示したら、
ぜひ、頑張ってみてみることをお勧め。



そして私は、明日「サイレントヒル1」を探しに走ろうかと思います。


…あ、実を言うと私のやったのって「2」と「4」だけなんですよ。
で、今回の映画は「1」をベースにしているということなので、
これはやらんとまずいよなぁ、と思いまして。


っていうか、そろそろまた「ホラーゲーム」の蟲が疼きだしてきた気がします。
「SIREN2」の完全クリアに突入しようかしらん…。
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