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ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【トンデモ科学】難波先生より

2012-11-06 12:21:16 | 難波紘二先生
【トンデモ科学】旧石器研究者の竹岡俊樹氏(共立女子大非常勤準教授)から「考古学は科学か」という論文コピーをお送りいただいた。雑誌「季刊邪馬台国」10月号掲載のものだ。日本考古学会が2000年11月に発覚した「旧石器捏造」事件の総括を徹底的にやらなかったために、日本の考古学ブームは冷めてしまった。
 小諸の角張さんが生きていれば電話かメールで、この論文を論じるのだが、この5月に急逝したのでそれもできなくなった。岡安さん、読んでいたらご意見をお聞かせ下さい。


 前はどこの本屋にも置いてあった雑誌だが、最近は新聞広告も見ないし、店頭でもみかけない。「特集 古代年代論徹底批判」となっており、考古学における統計学的手法による年代推定の問題点、炭素の同位体C14を用いる年代測定の問題点などが取りあげられている。


 日本の考古学者は圧倒的多数が文学部か教育学部の卒業であり、1.でも論じたように自然科学についての基本的素養がない。これは本を読むという座学では得られないものだ。日本最初の考古学講座は東大の理学部にあった。が、京都帝大がつくられたときに、文学部にこれが設置された。以後、各大学がこれにならって文学部に設置されたところが大半だ。考古学は「総合科学」なのに、不思議な話である。


 竹岡は考古学とその周辺における「ニセ科学」をまず俎上に載せている。扱われるのは、
 1)岩石表面に古代シュメール文字が刻まれているとする「ペトログラフ」、
 2)心霊写真:かつてコナン・ドイルもこれにはまり込んだことがある。
 3)人面石器:人面魚というのが話題になったことがあるが、あれと同じで石器に人面があるというもの、


 これらはいずれも頭のおかしいアマチュアが勝手に主張しているだけで、学問ではない。


 4)九州「早水台遺跡」における「前期旧石器」(8万年以上前)の出土:東北大芹沢長介教授が主張。
 この研究を引き継ぐかたちで、「藤村新一・岡村道雄・鎌田俊男」ら東北考古学のグループは捏造事件にかかわって行った。今では「芹沢石器」は自然石を誤認したもの、との解釈がほぼ一般化している。
 私も実験してみたが、自然石に火が作用したり、しみ込んだ水が凍結したりして、割れて形成される小石は、一見したところ石器のように見える。


 5)理論考古学:これは東大の安斎正人教授、佐藤宏之助教などが唱えているもので、進化論を軸に生態学、史的唯物論などを石器を解釈して、当時の社会経済状態を理解しようという立場。個別の石器を鑑定する能力がなく、「理論に合致しているので、この遺跡は妥当」と報告していたため、捏造発覚以来、信用を一気にうしなった。
 
 6)超古代文明論:日本にもピラミッドがあったとか、ユダヤの十二支族のひとつが日本に来たとか、キリストの墓が青森県にあるとか、その類の説だ。
広島県にも比婆山にピラミッドがあると、酒井勝軍は主張した。
 自宅近辺にも東側から見ると、正三角形の上部としか見えない山があり、あんなもの日本中どこにでもあるだろう。


 このトンデモ説のバリアントとして、三内丸山遺跡におけるストーンサークル、環状土盛り、巨木列柱が「縄文人の精神性」を表すとする解釈があると、竹岡は指摘している。


 7)環状集落:石器作製後の石が環状のブロックをなして発見されるところから、縄文人が集落をつくり「環状集落」を営んでいたとする説がある。むしろ縄文学者の多数意見だろう。
 しかし、「環状ブロック」の存在は事実だが、それらを構成する石の石材、割れ方、接合の仕方などを科学的に検討し、構築にかかわった人間は何人規模か、ブロックははじめから設計図があって設置されたのか、完成までい要した時間は月単位か年単位かなどについて、結論を出した上での「環状集落」説ではない。論理的思考が欠如している点では、「超古代文明」論までに列挙した、トンデモ科学に類似している。
 まあ、ざっとこういうところで、日本考古学に対する愛情のこもった、手厳しい批判が展開されている。


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