ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【小保方本】難波先生より

2016-02-01 14:55:53 | 難波紘二先生
【小保方本】
 1/26「日経」が2015年の紙出版物の売れ行きが1兆5220億円で、対前年比—5.3%であると報じた。ことに雑誌の落ち込みがひどく対前年で8.4%減だそうだ。
 紙出版物の売り上げのピークは1996年で、この時に比べると4割以上減少しているという。
 1990年頃に新たに付け加わったメディアはインターネットで、電子書籍の売り上げは1502億円で対前年比32%の伸びというが、総額ではまだ微々たるものだ。これは日本語電子ブックが高すぎることとも関連している。
 生産者と消費者が直結することで価格を下げる方式は、スーパーやコンビニの出現により1980年代に広く普及したが、出版界ではいまだに1位の日販、2位のトーハン、3位の大阪屋が君臨している。但し4位の栗田出版は2014/6に倒産した。

 金持ちも貧乏人も1日に使える時間は24時間と平等だ。その中から、仕事と睡眠、食事の時間を引いた自由時間を、テレビを見るか、スマホをするか、ネット記事を読むか、新聞や本を読むか、音楽を聴くかは、各自にまかされているが、メディアの種類が増えるほど、紙本の読書に当てる時間が減るのは当たり前のことだろう。
 こうして15世紀(1455)に始まった「グーテンベルグの銀河系」に黄昏が忍び寄っている。
ただ何万部の売れる「ベストセラー」は、日本では戦後の現象だ。マルクスが「資本論」を出版した時初版はたった3冊しか売れなかった。19世紀に数百部売れたら、ベストセラーになったのだ。人間には「今あることは昔からあった。今あることは将来もある」と思いこむ悪いくせがある。

 1/30「日経」の広告に小保方晴子「あの日」(講談社、1400円)が載っている。目次が書いてあるのでそれを拾うと、
第1章 研究者の夢、
第2章 ボストンのポプラ並木
第3章 スフェア細胞
第4章 アニマル・カルス
第5章 思いとかけ離れていく研究
第6章 論文著者間の衝突
第7章 想像をはるかに超える反響
第8章 ハシゴは外された
第9章 私の心は正しくなかったのか
第10章 メディアスクラム
第11章 論文撤回
第12章 仕組まれたES細胞混入ストーリー
第13章 業火
第14章 戦えなかった。戦う術もなかった
第15章 閉ざされた研究者の道
となっている。

 短い序文ではしきりに「反省の弁」を述べているが、これが本文とはまったく異なり、執筆者が違うのではないか、と思った。
 この本については、驚いたことに1/30の夕方の時点でAMAZONに133件ものカスタマー・レビューが投稿されている。実は私も1/27午後に、東京のあるTV局からの取材があり、「さわり」の部分をPDFで送ってもらい眼を通した。その感想に比較的近いのが、このレビュー意見だ。
http://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/REG9DEYG4Q3D8/ref=cm_cr_pr_viewpnt?ie=UTF8&ASIN=4062200120#REG9DEYG4Q3D8
 その取材担当者には合計で6時間くらい誠実に対応した。高松の裁判に出かける前日の午後が完全につぶれた。

で、以下のコメントを述べた。
 1.「世界三大科学不正事件」(ベル研究所の常温超伝導事件、韓国のヒトES細胞事件、STAP細胞事件)のうち、常温超伝導のシェーン(ドイツ人)、ES細胞のファン・ウソク教授は事件発覚後完全に社会から抹殺された。他にも科学不正事件を起こした人物は多々いるが、小保方のように「弁明の書」を書いた人物は一人もいない。その点で、今回の著書刊行はきわめて異例の事件だ。私はむしろ彼女が精神を病んでいるのではないかとすら思う。

 2.著書における関係者への記述を読むと、彼女を山梨大の助教へと誘ってくれた若山教授が捏造の真の責任者だと思わせるような表現になっている。もしそうなら「実験は小保方さんがいると(キメラマウスの作成に)成功し、彼女がいないと成功しなかった」という2014/2段階での若山教授の発言と矛盾し、若山氏が「論文撤回」の最初の呼びかけ人になったことと矛盾している。
 これはTVで取り上げる前に、若山教授の意見を求めるべきだと思う。彼のコメントが番組として必要だ。
 実際に著書を手に入れ、自分で索引を作成して、該当箇所を比較検討して、論理矛盾や記載の食い違いがないかどうかをチェックしてみないと最終的な結論は下せないが、印象としては手前味噌の自己弁護の書だと思う、と述べておいた。

 相当に時間をかけて、メールや電話で担当者に説明したのだが、午後10時頃になって、「局の意向として取り上げないことになった」と連絡があり、「なんじゃこれは!」とホッとすると同時に腹が立った。担当者には「せめて本を一冊送ってほしい」と依頼しておいた。

 3.さて、今になって新聞広告の目次を見ると、どうも小保方の英語はおかしいようだ。
 おかしいのは以下の表記だ。
 ★スフェア細胞=これはSphere(球体)のことで、半球はHemishereという。これは「スフィア」と発音する。マイクル・クライトンの同名のSF小説が早川文庫にあり、日本でも広く読まれている。どうも字面どおりの発音をカタカナ表記したようだ。
 アニマル・カルス=これはAnimal Callusのことで、Callus(カッルス)は動物では骨折が治癒する前にできる「仮骨」や皮膚がこすれるところにできる「タコ(べんち)」をいう。傷(創傷)が治癒する際の一般的な反応で、植物の場合も傷をつけるとその周囲に瘢痕が形成される。これもカッルスと呼ばれる。
 すでに動物にCallusという言葉があるのに、わざわざ「アニマル・カルス」と名づけたというのは無知の産物だろう。これについては「免疫遺伝子再構成のある体細胞」を初期化させるというアイデアを提供したとされる西川伸一氏(STAP論文の共著者ではない)が、コメントを発表している。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nishikawashinichi/20160130-00053948/

 植物の場合は、根や茎の一部を切り取り、それを適当なホルモンなどで刺激してやると、その細胞集塊が成長して新たな個体を再生することが知られてきて、この集塊をも「カッルス」と呼ぶようになった。
 ゲーテ草(セイロンベンケイソウ)では、茎から葉をちぎるというストレスが刺激になって、葉脈の端から個体の再生が起こる。(Fig.2)このことは前にも書いた。

(Fig.2ゲーテ草)
 小保方手記によると、彼女は植物学の本を読んで「同じことが動物にも起こるはず」と思いこんだようだ。これは動物と植物が10億年前に分化した進化の歴史を知らない「妄想」としかいいようがない。
 体細胞の一部が独立して増殖を始めたものががん細胞である。植物にもがんはあるが、脈管系がないので転移は起こらない。理論的には動物にもゲーテ草と同じことが起こる可能性はあるが、それは実験によりエビデンスを揃えて証明するほかない。思い込みで論文を捏造するようではどうしようもない。「演技性人格障害」と彼女のことを呼んだ精神科医がいるが、まあそんなところだろう。
 当初、小保方を持ち上げていた、「毎日」須田桃子記者までさらすとは一体何を考えているのだろうか…
http://news.livedoor.com/article/detail/11122182/

 この問題については、ジャパンタイムズだけでなくWSJも報じたようで、
ノフラー博士のブログでも取り上げられている。彼も小保方の「若山にはめられた」という主張がまったく事実に反すると書いている。
http://www.ipscell.com/2016/01/obokata-claims-she-was-framed-for-stap-cell-scandal/
 また日本の生物科学が世界に恥をさらすことになるのか、と思うと残念でならない。
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41 コメント

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Unknown (ttyama)
2016-02-01 17:58:34
早稲田学長「博論追試をさぼってコレ書いてたんかーぃ。」

自身に都合の悪いことに触れず他人の責任にするのは

幼児性と人格障害の癖といえますが、

「生まれ変わっても研究の道に進みたい」

.... もう、ホラーでしょ。

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Unknown (Unknown)
2016-02-01 20:36:27
読んでなくてコメントはやめたら?あなたは、そろそろ笑い者に成りつつあります。
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Unknown (Mr.S)
2016-02-01 23:19:12
すべての読み物は報道と同じで、嘘か誠か、ではなく
如何に面白く読ませるか、見せるかであると思う。
気が狂ってないとできない事です。
ですからマスコミはキチガイなんです。
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オレオレ詐欺。 (Unknown)
2016-02-02 00:36:49
小保方自身はインチキしたのが自分だと分かっている。そういう文が混じってました。でも我が儘な子供だから認めない。自分に暗示をかけて罪の意識から逃れたい、と。笹井氏と若山教授では学歴や容姿や話術が下であると、小保方にはスクールカーストの意識がある。生真面目な若山教授、裏を返せば、言いがかりをつけやすい若山教授にインチキをなすりつける、そういう内容でした。
若山教授は口が達者じゃない。軽薄な人間にターゲットにされやすい。
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Unknown (ttyama)
2016-02-02 12:20:41
小保方がインチキを認めてる?とは読み取れませんでした。笑)

博論のコピペやSTAP論文の画像切り貼りはスルー。
理研での再実験は自分のパートは成功したと主張。
若山さんが参加してくれたらキメラもできたはず。

テラトーマはどした?

.. ただクルッてるなぁ という感想。

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Unknown (ttyama)
2016-02-02 13:09:01
追記しますが、
小保方氏は「創作」が世間に評判になることで満足しているのかも。。

他者からの承認要求が強い気がする。反動として否定されると過敏に反応してしまう。

オレオレ詐欺さんのいう、スクールカーストの意識というのは的を得ているなぁ。。

ただ実験結果を積み上げる作業とは対極ですがね。
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Unknown (花土子)
2016-02-02 22:19:39
小保方は認識してますよ。強烈にごねて外部には認めないだけ。今までの生き方すべてが間違っていたのか…って…うん、すべてではないけど間違ってるし論点ずらすな、税金返せ外道、と世間の大半が思っているのではないでしょうか?と私は思っています。

オレオレ詐欺のタイトル、私です。名前記入せず失礼しました。
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Unknown (花土子)
2016-02-02 22:38:02
この本は、小保方に印税が入るのは嫌なので買っていません。コピペで十分。
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名前が出て来ない (笑止)
2016-02-03 08:57:00
彼女 まだ日本に居たんですかね? とっくに アメリカの 何とか教授の元に 帰ったと思ってたんだけど。
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Unknown (Unknown)
2016-02-03 13:35:59
バカンティは、もうハーバードにはいないはず。。

今どこで何をしているのでしょうか...?

本業の麻酔医で日銭を稼いでるのかな。



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