ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【STAP報道:検証11】難波先生より

2014-06-09 22:43:31 | 難波紘二先生
【STAP報道:検証11】
 6/5「読売」が<小保方氏、異例の採用…高評価英文に「コピペ」>と報じている。
 http://www.yomiuri.co.jp/science/20140605-OYT1T50089.html
「小保方晴子氏が2012年、(理研の)ユニットリーダーに応募した際に提出した「研究計画書」は、留学先の米ハーバード大から提出された特許書類の英文を多数、複製して作成し、画像の説明は誤っていた疑いのあることが、明らかになった。同センターの選考では、計画書から「小保方氏の英語のレベルは非常に高く、主張が明快で構成力に優れている」と評価していた。さらに、締め切り日を過ぎて応募した小保方氏の申請書を受理したうえ、一部の審査手続きを省略するなど、採用の経過は異例ずくめだったことも分かった。(理研改革委の)報告書案は、STAP細胞の研究成果がもたらす利益をセンターが強く意識するあまり、過去の論文などのチェックも不十分なまま、小保方氏を拙速に採用したと断定している。」
6/5「日経」の<小保方氏、異例の採用 英語面接を日本語で実施>
 http://www.nnn.co.jp/knews/140605/20140605013.html
 「小保方晴子氏を採用する際に、英語で実施すべき面接を日本語でやり、推薦状が1通も届いていない異例の状態だったことが4日、理研のまとめた報告書で明らかになった。当時未発表だったSTAP細胞の研究を重視した理研が、大きな実績のない小保方氏を特例とみなして採用を急いだ。通常求められるセンター内の英語による公開セミナーを小保方氏については省略。日本語で非公開の面接と質疑だけという例外的措置だった。」
 という報道を見ると、理研では事務職だけでなく技官(研究職)でも、「縁故採用」が普通だったとわかる。その学会が特許庁から認められた団体であれば、学会発表をやった後でも、特許申請は成立することは前に指摘した。よって「STAP細胞の秘密保持」のために非公開にしたというのは、縁故採用を行うための口実であろう。

 中国の「科挙制度」はもともと優秀な官僚を確保するために導入された。だが技官、医官、武官には導入されなかった1)。古代中国は素晴らしい科学技術を持っていたのに、やがて事務官僚のろう断するところとなり、科学は衰え王朝は何度も異民族により倒された2)。朝鮮も同様だ。
 日本の明治維新は科挙制度を導入する代わりに、学校制度を整え、西洋の学位制度を導入し、医師免許制度を採用した。士官学校も作った。「末は博士か大臣か」という俚諺はこの頃に生まれたものだ。明治の急速な国力進展の基は、こうした制度改革にある。
 縁故採用で、英語能力がないことを隠すために、研究職の「名ばかり面接」を行ったとすればとんでもない話だ。かつて「でもしか先生」という言葉があった。団塊の世代が学齢に達するにつれ、教師の不足が問題になったころだ。理研は無理に組織を拡大しようとして「でもしか研究者」の巣窟になったのか…。
 1)村上哲見:「科挙の話:試験制度と文人官僚」,講談社現代新書, 1980
 2)J.ニーダム「文明の滴定:科学技術と中国の社会」,法政大学出版会, 1974

 6/6「読売」の<STAP発表「過度に注目集め不適切」…検証委>
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140605-OYT1T50152.html?from=ycont_top_txt
「STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理研・CDC(再生科学総合研究センター)の「自己点検検証委員会」が、1月の論文掲載時の報道発表に不適切な点があったとする見解をまとめていたことが分かった。論文作成の経緯などを調べた報告書案で、<社会の注目を過度に集めるような報道発表の仕方が、問題を一層複雑にした>と指摘した。新たな予算獲得につなげようとする研究者の思惑があったのでは、との見方も示した。
 1月の記者会見では、笹井芳樹副センター長と小保方晴子ユニットリーダーらが、STAP細胞の重要性を強調。英科学誌ネイチャーで掲載にこぎ着けるまで、論文の審査者からの注文に、センターをあげて対応したなどと説明した。小保方氏は「リケジョ(理系女子)の星」と注目を集め、かっぽう着姿で研究に取り組む様子も話題になった。」
 心ある人は「品のない広報だ、まるで芸能人のデビューのようだ」と思って見ていただろう。太平洋戦争について「軍部は国家そのものを博打場に賭けて負けた」と述べた司馬遼太郎風にいえば、理研はCDCそのものを大博打に賭けて敗れたといえるだろう。いかさまを見破られて立ち往生している。「A級戦犯」は誰なのか、「共同謀議」はあったのか、「東京裁判」ではないが、事件の真相を明らかにするためには、メディアがその調査報道をやらなければいけない。

 6/7「産経」は<理研の全理事に交代要求へ 改革委「自浄作用が不十分」 野依氏は除く>と報じている。http://sankei.jp.msn.com/science/news/140606/scn14060610000003-n1.htm
 11年も理事長をしている野依氏が免責されるのは、利根川進氏が理事長になったらもっと困るからか? ノーベル賞と統率能力とは関係がない。理研改革委の「改革」が必要だろう…。
 2Ch「生物板」<STAP細胞の懐疑点 PART414>(No.11, 13,15,18,102etc)>が興味深い。
 http://ai.2ch.net/life/#1
では、推薦状は書かないが口頭で売りこんだ人物、高級ホテルを定宿にして、高級ブランド品を愛用していた小保方の大金の出所についても推測が述べられていて、やはりメディアの一歩先を行っているようだ。
 大和雅之「iPSは腫瘍ができる課題が解消されていないが、STAPはできにくい」
 http://sankei.jp.msn.com/science/news/140210/scn14021014270002-n1.htm
 岡野光男「iPSは遺伝子を操作するのでガン化する
 STAPは刺激だけなので安全で低コスト」
 http://www.youtube.com/watch?v=KJIbqZ6ycdU
 この人たちは「雲隠れ」しているが、どうなっているのだろう…。
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61 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-06-10 01:45:40
> 「小保方晴子氏を採用する際に、英語で実施すべき面接を日本語でやり、推薦状が1通も届いていない異例の状態だったことが4日、理研のまとめた報告書で明らかになった。当時未発表だったSTAP細胞の研究を重視した理研が、大きな実績のない小保方氏を特例とみなして採用を急いだ。通常求められるセンター内の英語による公開セミナーを小保方氏については省略。日本語で非公開の面接と質疑だけという例外的措置だった。」

の文書から、

> という報道を見ると、理研では事務職だけでなく技官(研究職)でも、「縁故採用」が普通だったとわかる。

という結論は普通導けないと思う。
どうして「例外的措置」の一例を敷衍し、『「縁故採用」が普通だった』と結論づけられるのか?

理研の研究者は数多く知っているが、多くは実績と実力でもって地位に就いている。そのことをもって見れば、「小保方さん」の事例が際立って異常に感じられる。

ところで・・・
モギ氏の特例人事擁護発言に対し、「浪速」大学のN野先生が面白いtweetをしておられた。(明示的に反論している訳ではないが、念頭に置いておられると思われる)端的にすっぱりと言い切った名文なので紹介する。
「理研に限らず、特殊な採用をした場合は、それに伴う責任が生じるのは当然だろう。責任をとらないトップダウンなどあってはならない。」
N野先生は、難波先生も紹介されていた『生命科学者の伝記を読む』などの著書があり、分かりやすく明快な文章で有名で、このtweetなどは特にさすがだ、といたく感じさせられた。
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Unknown (Unknown)
2014-06-10 02:46:57
小保方氏が作製したとされる凍結細胞は実は丹羽氏が作った物といわれている。故に理研はこの細胞を検証出来ないのでは?との見方も多い。
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Unknown (Unknown)
2014-06-10 03:03:27
N先生ご自身十年前の辛いご経験がおありですからね、色々思われることもおありでしょう。笹井さんともお知り合いですし、最初の頃の書き込みから今は随分変わられたようです。
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その一例が大きい (酒井重治)
2014-06-10 03:12:13
一例があるから同じような事実があると推すのが普通。
縁故採用が疑われても仕方がないよ。
確固たる規則に従った組織なら、「一例」は皆無だ。
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Unknown (Unknown)
2014-06-10 03:43:19
いや、研究能力は本人と縁故のない人によって容易に客観的に査定できるものではないので、こと研究に関しては縁故採用は必ずしも悪い事ではないと思う。(論文の被引用回数やインパクトファクターによって実績を査定する事はよく行われるが、そうした評価方法の弊害はよく指摘されている。)ただ、責任を持って推薦する人がいて、責任を持って採用する人がいればの話。
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縁故について (ワーキングプア(花職人))
2014-06-10 03:48:56
こんばんは。
理研の説明では、小保方氏の英語作文が優秀であった、小保方氏の面接を非公開としたのは魅力的なSTAP説が未発表であったから極秘に進めた、でした。
通常の採用試験は、ふるいが何段階も仕掛けられているのに、小保方氏は英語の公開セミナーも受けず非公開の日本語面接。非公開の面接でも英語でトークしても良かったと思いますし、通常の採用行程を小保方氏だけが免除されたというのは合点がいかないです。いくらSTAP説が魅力的であっても他にも英語能力の優れた魅力的な研究者は沢山いるはずですしね。その人達は通常の採用試験を経ていたとしたら、縁故採用は普通にあったと考えられます。
若山教授の奥様も優秀であっても通常の採用試験は受けていないと思えます。家柄や親の社会的地位は勿論、ハーバード大学に留学していたという肩書き部分だけでも縁故と言われる由縁にはなると思います。ハーバードと理研は仲良しですから。
とりあえず通常の採用試験を実施していないのは縁故採用が普通にあったと推定出来ると思います。
外部から監視する組織が必要なんですね。




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Unknown (Unknown)
2014-06-10 04:05:28
花職人さんへ

小保方氏が縁故採用されたこと、は誰もが認めている事です。他の研究者についても縁故採用である、という演繹は変ですよ、という指摘がされています。

よきPIはよき研究者を育てます。そうすると、優秀な若手研究者にはよき紹介者がつくことが多いです。そうした紹介まで「縁故採用」として否定する文脈が形成されるのは望ましくない、と指摘しておきます。
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菅野投手 (酒井重治)
2014-06-10 04:50:59
巨人の菅野投手も一種の縁故採用だろうか。
一茂氏も野村克也氏の息子も縁故採用だろうか。
好きにやれよ、もう。
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Unknown (Unknown)
2014-06-10 05:05:37
狭心症の記事、早く読みたいね。
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くたばる前に (酒井重治)
2014-06-10 05:36:12
早く読みたいね。
くたばる前に。
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