ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【地上最大の作戦】難波先生より

2017-10-02 16:20:54 | 難波紘二先生
【地上最大の作戦】書架のDVDに「地上最大の作戦」(原題:The True Glory=真の栄光)というのがあるのを見つけた。監督キャロル・リードとあるのに惹かれて上映した。「地上最大の作戦」という日本語WIKIはない「The True Glory」なら英語WIKIにある。(米コロンビア、1945)
https://en.wikipedia.org/wiki/The_True_Glory
 「史上最大の作戦(The Longest Day)」(米、1962)が後に日本公開されているから、2003にこのDVDを作った会社が勝手にタイトルを変更したのだろう。

 冒頭に「製作:米国・英国政府」とあり、ドワィト・アイゼンハワー欧米軍総司令官の短い総説演説の実写が出てきた。「真の栄光は連合軍とその各部隊・兵士のチームワークにある」と強調している。これは本人によるスピーチだ。
 映画はすべて実写フィルムを使用し、カメラマンや記者によるナレーション(米語、英語、ロンドンの下町語といろいろある)が入る。「ベーコン(bacon)」を「バイコン」と発音するナレーターもいる。語彙と発音を聴いていると、国籍、出身地、学歴、教養までわかるから不思議だ。

 後に「史上最大の作戦」という映画が日本公開されているから、その亜流かと思ったら全然違っていた。
 米英軍のノルマンディー上陸作戦の準備から始まり、1944/6/6の上陸作戦の激戦とその後の米英仏軍の戦いの作戦ルートを実写フィルムで説明したものだ。
 「遠すぎた橋」や「レマゲン鉄橋」により、ベルギー・オランダ経由でライン川を目指した部隊の戦いはよく知られているが、ノルマンディーのオマハ・ビーチから南下してパリ攻略を目指した部隊のことはよく知らなかったし、8月になってパットン将軍の機甲師団がイタリアから南フランスに上陸したことも知らなかった。

 見終わって、さすが名作「第三の男」(1952)、「墜ちた偶像」(1953)を作った監督による映画だな、と思った。各種の兵士(歩兵、砲兵、戦車兵、操縦士、将校)や秘書(事務員)、ナース、軍医、オランダ、フランスの一般市民個人の回想や、ドイツ軍から解放されて喜ぶ人たちの集団がカットやナレーションの積み重ねにより、うまくストーリーとして構成されている。ヨーロッパにおける第二次大戦の後半戦がよくわかった。
 この映画には英国の紳士階級に固有の「哲学」がある。米国人の映画監督にはまずない。
ドキュメンタリーとしてこれだけの映画を作れる人物は、英国にもそう多くないだろ。

 これは何よりも優れた「戦争映画」だと思った。破壊されたベルリンの街で中年のドイツ婦人がこう語る。「1940年に止めておけば、こんな状態にはならなかったのに…」
 実際には1939/9/1のドイツ軍のポーランド侵攻が第二次大戦の始まりだが、ドイツ市民の間には1940/7の英国空襲(「英国の戦い」)が英米を敵とした戦いの始まりと誤解されていたのだと思う。それだけに、エンディングに近くに、このドイツ婦人の映像とコメントを使った点にリアリティがあると思った。
 映画はルーズベルト(FDR)が急死し、副大統領のトルーマンが新大統領になり、ドイツ降伏の調印式で終わる。1945/5のことだ。これでアインシュタインの思惑と異なり、日本への原爆使用が決定的になった。

 この映画では上陸用舟艇は前側が外に倒れるようになっている。火炎放射器も進化していて火焔放射戦車が登場する。どちらもガダルカナル戦(1942/8〜12)にはなかった。武器の進化は早いものだ。



「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【タトゥー】難波先生より | トップ | 【返してから反対しろ】難波... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事