ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【修復腎移植 (病腎移植)、第15例目】難波先生より

2015-03-24 13:46:24 | 修復腎移植
【修復腎移植 (病腎移植)、第15例目】
 3/18(水)の午後から宇和島徳洲会病院で、修復腎移植「臨床研究」第15例目(親族間移植第3例目)にあたる腎移植手術が行われた。翌日これを報じたメディアは愛媛新聞だけである。
 http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101201503194072.html

 G-mail、G-Newsの両方に「G-アラート」をかけてあるが、他からは情報が入らなかった。
 複数の執刀医に取材した結果、以下のようなメディアが報道していない事情が明らかとなった。これは遺伝性の多発性嚢胞腎のため腎不全に陥った男性(53)に対して、その妹(45)から腎提供が行われたもので、患者の人工透析歴は約3年。
 3/20(金)、午前のドナー、レシピエントの状態は安定しており順調な回復過程にあるという。
「産経」は3/20の夜になってネットで報じた。
http://www.sankei.com/region/news/150320/rgn1503200068-n1.html
 関西版の紙面には3/21現在、報じられていない。

 東京に住む妹が、兄のかかっている大学病院に腎提供を申し出たところ、術前のスクリーニング検査(CT、血管造影など)で小さな腎がん(腎細胞がん=RCC)が見つかった。医学的には小さなRCCを切除すれば、移植に用いても安全であることははっきりしているが、何しろ日本移植学会がプッシュして、2007年、厚労省は「修復腎移植を禁止する」という局長通達を出している。

 この通達が生きている以上、いまあちこちの私立・公立・国立の大学病院で内視鏡手術がらみの不祥事が多発していることもあり、病院としてはこの手術はやれない。
 唯一、これが行えるのは正規に「臨床研究」として、この手術を営々としておこなっている宇和島徳洲会病院である。そこで、大学病院の泌尿器科から万波誠医師の方へ紹介があり、1週間前に兄と妹が宇和島の病院に入院し、手術に備えていろいろな検査を受けた。

 腎臓摘出手術は開腹で行われたが、直系約1cmの充実性、色調やや淡褐色の丸い腫瘍があり、肉眼的にはRCCと考えられたという。念のため周囲幅1cmを含めて切除したが、手術中の迅速病理検査では「断端にがん組織なし」だったという。妹の腎臓には「多発性嚢胞腎」の所見はなかったそうだ。
 この兄は有名な企業のオーナーで、「歩く広告塔」になる決意をしていて、「実名を公表してもらって構わない」と言っているそうだが、「医師の守秘義務」違反だと、日本移植学会の某幹部たちに非難の口実を与えてもまずいので、さすがに病院は記者会見でそれを公表しなかったようだ。

 聞くところによると、日本移植学会の心ある主な会員は、十分な医学的根拠もなく「修復腎移植」の禁止を厚労省に要求したことについて、後悔しているそうだ。
 厚労省の担当者も、あの局長通達は「間違いだった」と内心では思っているのだが、この局長がまだ他の部局に現役で残っている。そこで「役人のおきて」により、彼が現役でいるうちは「通達の撤回」をしかねているのだという。
 バカな話だ。このTという当時の局長は、慶応大医学部卒の優秀な人材で、「末は事務次官」という下馬評があったのだが、結局その出世コースを棒にふってしまった。

 「癩予防法」によるハンセン病患者の強制隔離を止めさせるために、官僚としてもっとも尽力したのが京大医学部卒の大谷藤郎で、厚生省医務局長として法廃止運動を行った。法が実際に廃止されたのは、彼が定年退官して8年後の1991年である。(大谷藤郎『らい予防法廃止の歴史』、勁草書房, 1996)
 その前に、「日本皮膚科学会」は横浜市での総会の際に患者に対する「謝罪声明」を決議しているし、厚労省幹部は全国の「癩療養所」を歴訪し、患者に対する謝罪活動を行っている。

 厚労省が「病腎移植禁止通達」を出したために、「臨床研究」という実施病院の持ち出しになる形でしか修復腎移植ができなくなった。このために、この8年間に年間2,000個、合計1万6,000個の腎臓がみすみす失われた。これが実際に移植に使われていたら、身の回りにも「移植経験者」がいて、その話を聞くことで日本人の臓器移植に対する理解はよほど進んでいただろう。メディアが「脳死移植◯例目」と騒ぐ必要もなくなったかも知れないと思うと、T氏の「禁止」判断の罪は重い。

 人は誰でも間違いをおかす。重要なことは間違いに気づいたら速やかにあらためることだ。「役人の無謬神話」など、誰も信じていない。T氏は「歴史の法廷」で重罪に問われたくなかったら、面子など捨てて医師の原点に立ち戻り、局長通達撤回を省内で呼びかけるべきだろう。日本移植学会もそろそろ「謝罪声明」の用意に入った方がよかろう。

 ちなみに日本皮膚科学会の「謝罪声明」をまとめたのは、横浜市立大医学部昭和34年卒の同大皮膚科教授中嶋弘である。中嶋さんは、京大医学部卒の浜松医大山田瑞穂教授と並んで「皮膚悪性リンパ腫」研究会の主要メンバーだったので、旧知の人である。
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