【リトマス試験紙】難波先生より

【リトマス試験紙】
「武田ブログ」に
＜西岡昌紀とかいう内科医が自分は医者だから分かる、小保方さんは白ですと。北里大学は大丈夫か。＞
　という書き込みを見つけた。この人だな。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B2%A1%E6%98%8C%E7%B4%80
　ホロコーストの史実を全否定する論文を発表して、雑誌「マルコポーロ」を潰した実績がある。医師専用掲示板m3には擁護論を見かけないのだが…

＜今回の騒動で胡散臭い著名人のリストができたというのが副産物。それは擁護派の有名人のことである。＞
　この意見には同感。まあ、生物科学の基礎知識の有無を試す、リトマス試験紙だったといえよう。
　「文藝春秋」６月号を立花隆の擁護論を読むために買いに行く予定。彼のいう「性善説の立場に立ちたい」は、藤村新一の「旧石器遺跡捏造」事件の時に、指導的な考古学者佐原真が口にした弁明だ。
　佐原真「考古学つれづれ草」(小学館, 2002)に「1979年ドイツから年輪年代学、残留脂肪酸分析の方法を持ち帰る」とある。ドイツで会った帯広畜産大中野益男の脂肪酸分析を信じたことが、あの世紀のねつ造事件の始まりである。

　5/10「毎日」社説は「STAP調査、これで幕引きは早い」と主張している。
http://mainichi.jp/opinion/news/20140510k0000m070109000c.html
が、読者としてはもううんざりだ。
　ちょうど昭和11(1936)年5月の「安部定」事件の猟奇性が、大陸での侵略戦争に向かう大きな流れから国民の眼をそらしたように、1100兆円の国債問題、国民投票法案成立、「集団的自衛権」行使の改憲解釈、中国の東アジア海域進出などの大問題から注意をそらす役割を果たしている。
　理研がやるべきことは、論文撤回と再現実験の中止だろう。山中氏がやられたくらいだから、外部委員だけで調査委を構成してもやはり同じことが起きる。小保方の唯一の功績は「反面教師として若い研究者にやってはいけないことを示した」点にある。
　むしろダラダラ意味のない調査を続けるよりも、外部調査機関として「日本版ORI」を設置することをメディアはもっと議論してほしい。