ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書き込みを読んで1/25】難波先生より

2015-01-26 18:22:30 | 難波紘二先生
【書き込みを読んで1/25】
1) 須田桃子 (通りすがりの研究者):2015-01-15 10:10=
 須田さんの本は、1部で異常に評価されている。まるで小保方が評価されているように。
 ▼ノバ事件で逮捕までされたノバの元社員の実名を書かなかったのはなぜか?
 ▼笹井氏のメール内容は本人および遺族の許可を得て掲載しているのだろうか?
 ▼最も問題なのは彼女の母校である早稲田の大問題をほとんど触れていないことだ。
<読みどころはCNSの査読結果を報じたことだが、新聞で読んだし、特に、どうと言うことは無い。>
 (このCNSはCell, Nature, Scienceの略号なのですね。医学ではCNSというと「中枢神経系」を意味するので、2回目に読んでやっと意味がわかりました。)
総じて彼女は、この本で科学ジャーナリスト大賞でも狙っているのだろうが、なめるなといいたい。
 ▼現時点のSTAP事件関連本では、新潮社の本が最も良いだろう。
(上記の▼部分には同意見です。)
▲ あとは、NHKスペシャルの未放映分を含めた本をNHKが出して欲しい。小保方の処分以降で良いので。
(NHKは日経サイエンス3月号によると理研にあった小保方の「STAP幹細胞」のゲノム解析を「東大グループ」に依頼したとあり、結果は年末に出たそうです。
恐らくNスペの第2部を製作・放送した後、NHKブックスからちゃんとした本が出るのでは…と思っています。

2) Unknown (Unknown):2015-01-13 02:21
<冒頭の歌は、一休禅師のものと伝えられていますね。
発句が「門松は」のバージョンが広く流布しています。 >

 紀野一義『名僧列伝(1)』(講談社学術文庫)の「一休」の項に書かれていないので、WIKIを見たら、
 <門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし[7]
『一休蜷川狂歌問答』に「門松はめいどのたびの一里づか馬かごもなくとまり屋もなし」という類似の歌がある。> とあった。
 この注7には <一休さん(一休宗純)の歌「正月や冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」はこれで正しいか。この歌は骸骨の付いた杖をつきながら詠んだものらしい。(国立国会図書館レファレンス事例詳細集)>とあります。

 一休宗純(1394〜1481)は後小松天皇の第1子とされ、出家して琵琶湖の畔、堅田で禅の修業をしたのが縁で、浄土真宗中興の祖、蓮如とも親交があったようです。
 『一休蜷川狂歌問答』は未読ですが、蜷川親正は室町幕府の高官で、一休の弟子になっています。入門の時に、親正が「世法(世の中の法則)とはいかなるものか?」問うたのに対して、一休が「世の中は。食うて糞して寝て起きて、さてその後は死ぬばかりよ」と答えた、と紀野の本にはあります。この返事にしびれて親正は弟子になる決心をしたらしい。

 今井雅晴『日本の奇僧・快僧』(講談社現代文庫)には、「一休」の章に、「正月は冥土の旅の一里塚 めでたくもありめだたくもなし」が「一休に仮託された歌」として記載されています。
 どうも一休説が多いようです。ご教示ありがとうございました。

 私も初め一休と思ったのですが、歌の構造が「五七五 七七」で俳句・川柳と同じであり、室町中期ではおかしいなと思い、江戸中期の良寛かと考えたのです。
 ただ一休はお正月には、竹の杖の先に人のドクロを載せて、正月三が日「ご用心、ご用心」といいながら、京の各家を廻ったようです。
 こういう史実があったとすると、後の「一休伝説」が「門松はめいどのたびの一里づか馬かごもなくとまり屋もなし」を元歌として作られたことも考えられますね…。
 歌の精神には、一休にも良寛にも通じるエスプリがある、と私は思いました。

3)アブバエ:Unknown (Unknown):2015-01-21 01:56=
<ギリシア語で「ブヨ」gnatのことをsýrphosというそうです。文字化けするかな?しないかな?
Unknown (Unknown):2015-01-21 01:56=
文字化けしちゃいました。syrphosのyの上にダッシュがついています。
Unknown (Unknown):2015-01-21 04:42:
http://en.wiktionary.org/wiki/σύρφος#Ancient_Greek
上記ページにgnat、winged antとありますが、antは膜翅目、ブヨは双翅目、全く違う分類群だけど、ギリシア人は区別しなかったのかな。>

 いろいろご教示をありがとうございます。
 双翅目(Diptera)の命名はdi=二つ、ptera=翼だから「ハエ、カ、ブヨ、アブ、ガガンボ」の総称として問題がありません。
 膜翅目(Hymenoptera)は、原語Hymenに、プテラ(翼)を加えたもの。
 (ギリシア・アルファベットには「H」の文字はあるが、発音はイータであり、英語の強母音eに相当する。
 Hの付く英語地名に相当する現代ギリシア語を見ると、ハンガリー(Hungary)はオンガッリアOnggaria、ハワイ(Hawaii)はクファバエ(Xabae)などとなるようです。
 文字としてのウプシロン(Υ)はガンマ(Γ)から派生したと考えられ、これは英語音素としては-yu-にちかい音となり、ギリシア語の英語アルファベット表記では-u-として表記されるケースが多いようです。
 Hymenは医学用語では「処女膜」と訳します。もともとはギリシア神話の「結婚の女神」だそうです。透明ではありません。)
 薄く「透明な膜」を意味するギリシア語にはmembranaがあり、これは古代ギリシア語辞典にも載っています。医学では鼓膜、漿膜、粘膜、羊膜などすべてメンブランといいます。なぜ動物学だけが、ヒーメンを用いているのか不思議です。

 ただ「syrphos」に相当するスペルは、ギリシア語=英語辞典にどうしても見つかりません。
 和英辞典をみると、アブ=Horse-fly, Gadfly、とありますね。後者のgad-はアイスランド語「gaddr」(トゲ)由来だそうで、「棒の先にトゲがついた家畜を追うための道具」、転じて「削岩機」をGadと呼ぶそうです。
 ブヨは「gnat, midge」となっています。このgnatは「American College Dict.」によると中世のドイツ語方言「gnatze」に由来するとあります。

 Collinsの「English=Greek辞典」にはブヨ=gnat、midgeはどちらも「sknipa」として載っており、現代ギリシア語の「σκνιρα」で引いても、「gnat, midge」として出てくる。
 しかし古代ギリシア語を多く含むOxfordの「English=Greek中辞典・大辞典」に「sknipa」の項目がない。つまり「ブヨ」に相当する現代ギリシア語はあっても、古代語にはない、ということだと思います。

 アブ(Horse-fly)に相当する現代ギリシア語は「alogomuga」で、学名とは関係がなさそうです。普通のハエは「muga」あるいは「muia」と呼ばれています。ギリシア語の「アロゴ(alogo)」は馬ですから「アブ」の造語法は英語と同じです。
 「ラテン語・日本語」、「ラテン語=英語」辞典をみても、gnat-という語根をもつ単語が見つかりません。

 ここからは私の想像になりますが、リンネとその弟子たちが昆虫のハエ、ブヨ、アブに学名を付ける時に、ギリシア語にハエ、アブ、ブヨを区別する用語がないものだから、困り果てて「高地ドイツ語」からgnatzeを引っぱり出し、適当にこれを語根として造語に用いたのではないか、という気がします。
 ギリシア語に「グナトス(gnathos)」という単語はあり、これは「顎」を意味しています。
 医学用語では、
 Gnathalgia=顎痛
 Gnathoplasty=顎形成術、豊頬術
 Gnathostomiasis=顎口虫症
 のように、gnatho-と「θ(シータ)=th」を用い、「τ(タウ)=」tの文字は使いません。
 つまり英語のブヨを意味するgnatとギリシア語の「顎」を意味するgnathosとの間に、言語学的な関係はないと思われます。
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