ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【医療のウソ】難波先生より

2014-10-20 19:28:59 | 難波紘二先生
【医療のウソ】
 「SAPIO 11月号が、「医療のウソ」という面白い特集を組んでいる。「朝日悪口特集」もあるが、これは二番煎じで面白くない。 で、SAPIOの医療特集(「医薬経済」10/15号は献本をありがたく読んでいるが、これにも詳しく載っている。)には、第一三共、武田薬品、中外製薬、ファイザー、アステラス、エーザイ、グラクソ・スミスクライン、の7社から「原稿執筆料」等の名目で謝金を受け取った医者の名前が、各社毎にトップから5人ずつ氏名と金額が公表されている。1000万円超えという教授が何人かいるが、説明をよく読むと「寄付講座」の教授給与分が入っているらしい。製薬会社としては出るのはいっしょだから、まとめて発表したのだろう。
 ノバルティス・ファーマは未公開だが、記事には「ノボルディスク・ファーマ」と誤記されている。これは小学館の雑誌だから仕方ないが、「医薬経済」だとこういうミスはないだろう。ノバルテイスの寄付講座で食い扶持をもらっている高原史郎移植学会理事長は、同社の免疫抑制剤を講演で必ず勧めていたというから、SAPIOに名前が載っている人たちも同じように宣伝につとめているのだろう。
 「厚労省の検診精度が日本人を薬漬けにしている」という大櫛陽一(東海大名誉教授)と上昌弘(東大医科研特任教授)の対談も面白い。両氏の意見に同感だ。ここには人間ドック学会の健康診断新基準の表があるので、買って自分の値と比べることをお薦めする。上昌弘さんの『医療詐欺:「先端医療」と「新薬」はまず疑うのが正しい』(講談社+α新書、2014/7)は有益な本である。元が虎の門病院血液内科だから、医学一般に詳しい。
 新基準だと私は血圧正常、BMIは下限より少し以下、尿酸正常、中性脂肪正常、ガンマGTP正常、空腹時血糖正常よりやや高め、総コレステロール正常、LDL正常となる。
 家内が検診で便の潜血反応が疑陽性といわれ、検便をするように案内が来た。「あんなもの肉を食っても疑陽性になる。医者に行けば余分な検査をされて、高い薬をだされるだけだから、やめておけ」といっている。
 「糖質制限食」の提唱者江部康二医師が、「糖質のみが血糖値をあげるということを、米糖尿病学会が04年についに認めた」と書いている。これは新しい「生化学代謝マップ」を見れば明らかなことで、アミノ酸や脂肪酸を直接グルコースに変える経路は存在しない。
 この前の10/5の日曜日、難波塾の皆さんが食事会と栗拾いに集まった際に、疲労回復に高濃度酸素を吸入する話が出た。で、「酸素は有害です。昔、未熟児が網膜症になったのは、保育器の酸素濃度を普通の空気より高くしたのが原因でした。酸素が有害なことは鉄がぼろぼろに錆びることでも分かるでしょう。その有害な酸素を吸わないことには人間は生きていけない。生きるということは体内が錆びるということです。
 同じようにグルコースも非特異的に生体内の分子と結合し、沈着します。糖尿病で血管がぼろぼろになるのはそのせいです。グルコースが脳内の物質と結合するとアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドができるといわれています」というような話をした。
 私の場合はどうも生理的に高血糖があるらしく、16時間ぐらい絶食しても血糖値が120くらいあるが、これはもう仕方がないな、と思っている。
 「国公立大&国立医療機関、医師30人の不祥事リスト」というのも面白い。但しこのリストには法人名と所属は載っているが、個人名はない。肩書きが載っているから、分かる人にはわかる。いま医者は30万人くらいいるから、そのうち30人というと少ないようにも思う。ただ、「研究不正」が5人もいて、全部旧国立大というのが気になる。法人化により「競争的資金」の獲得を強いられているせいだろうと思う。
 「STAP事件」といい、科学研究費の配分・交付のあり方を根本から再検討すべき時だ。
 「全米医学会が認めた無駄な医療20」という記事も面白い。トップ10のみを書くと、
1 前立腺がん検診のため安易にPSA検査を受けるな。(同感)
2 低リスクの前立腺がんは安易に治療を始めない。(同感)
これについては近藤誠が近著『近藤先生<がんは放置>で本当にいいんですか?』(光文社新書)で詳しく書いている。
3 肺がんのCT検査は煩雑に行わない。(CTの被曝線量が無視できないので、同感)
4 大腸がんの内視鏡検査は「10年に1回で十分」(同感、私は50歳の時に、胃内視鏡と大腸がんの内視鏡を受けただけです。)
5 がんの骨転移に対する放射線治療の回数は少なめに。(骨転移を放射線で直すのは無理。痛みをとることしかできない。)
6 PETやCT検査などがん検診は控えよ。(同感)
7 余命10年未満の患者へのがん検診は控えよ。(同感。がんがあっても放置した方が長生きする。友人の医者に90歳の父親にがんが見つかり、胃切除したらがんが怒って、全身転移により半年しないうちに死んだ人がいる。私は止めたが、「がんもどき理論」に聞く耳をもたなかった。後で悔やんでいたが。)
8 軽度の頭部外傷でCT検査をしない。(同感。風邪を引いて受診しても「まずCTを」という開業医がいた。)
9 高齢者でヘモグロビンA1cは7.5%程度で良い。(同感。私の先月の値は6.2である。もう糖尿病の薬を飲まなくなって2年になる。)
10 ぎっくり腰で、真っ先にX線検査をしてはいけない。(同感。放射線の害の方が大きい。ぎっくり腰はてこの原理で背骨が曲がったところに圧力がかかり、椎間板を圧迫するから起こるのだから、予防が第一だ。「本腰を入れて」ものを持ち上げること、急に前屈みにならないことが大事だ。台所の流しの前でも足下にものが置いてあり、つい流しから離れて、上体を前屈みにしただけでも起こることがある。これは主婦も知らない。)
あと10箇条いろいろあるが、医者の営業妨害になるのでやめる。買って読まれるとよかろう。
 こうしてみると、やっと日本にも「医療ジャーナリスト」が育ってきた感じがする。ぜひそうした人たちにいまや2兆円に迫ろうとしている「人工透析」問題や「国民医療費39兆円」問題を解決するために、「修復腎移植」を取り上げてほしい。メディアバッシングさえなければ、とっくに保健医療に組み込まれていたはずの画期的な移植医療なのだから。連絡があれば私も書き手に協力は惜しまない。
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3 コメント

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やり得!! (研究不正は)
2014-10-20 21:54:48
研究不正をしたり、不正に加担したりするほうが、やっぱり得だな。
ディオパン関係では、虚偽の証言した教授は訓戒ですむんだからな。↓

http://www.yomiuri.co.jp/science/20141020-OYT1T50112.html?from=ytop_main7

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Unknown (Unknown)
2014-10-21 00:25:39
>ノバルティス・ファーマは未公開だが、記事には「ノボルディスク・ファーマ」と誤記されている。

Novartis(スイス)とNovo Nordisk(デンマーク)は別の会社。
返信する
Unknown (Unknown)
2014-10-22 00:59:24
>「人工透析」問題や 「国民医療費39兆円」問題を解決するために、「修復腎移植」

極論だし、倫理的に非難されるだろうが、
どこかの国(スイス?)のように自殺させる機関を認めたらどうか?
そして臓器提供を認める。臓器は有料にし、
機関の運営費や残される家族に渡す。

モラルだ、人権だ、人格権だ、は理想。
結局、この世は金と権力さ。
でもまあ、上記機関は金持ちと権力者だけを救うでなく、自殺願望者の願望を叶え、その家族には金が残され、世の中は社会保障費を節約できる。医者も移植技術が学べるとなりゃ、文句もないのでは?

合理的だろ?
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