ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【ドローン】難波先生より

2015-05-07 11:07:59 | 難波紘二先生
【ドローン】
 「ドローン(drone)」が話題だ。
 この言葉は手持ちの『旺文社・英和中辞典』(1975)に「1. オス蜂、2.なまけ者、3.無線操縦機(船舶)」として、すでに載っているから、半世紀近く前からあった。9・11以後に開発され、ビンラディンの暗殺に使用されたのは「プリデター(predator)」(捕食者)と呼ばれる、武装固定翼ドローンだ。
 こっちが無知だっただけで、別に新聞のコラムがもったいぶって「解説」するほどのことでもあるまい。(中には「メス蜂」と誤解説していたものもあった。)インスタント・ラーメンをはじめ、軍事技術・宇宙技術が民生用に転用されたものは多い。インターネットやドローンもそのひとつだ。

 4/25(土)、「サンサーラ」に食事に来たN君夫妻が、ひょっこり自宅を訪問してくれた。
 小型の黒いキャリーケースをもっていて、サンデッキにあるガラステーブルの上で、何やら小型のヘリコプターのようなものを組み立て始めた。(写真1)
  (写真1)
 何とこれが話題の中国製ドローン。4つの水平プロペラを持つのが本体で、手前の白いボックスは、2本の操縦用スティックバーをもつコントローラ−。
 手先の器用な彼は、これにカメラ(下の黒い箱状のもの)を釣り下げるように改造して、地質・地形調査に利用、すでに学術論文も書いたという。(写真2)
(写真2)
 ユニバーサル・ジョイントを機体に取りつけ、重力を利用してカメラを常に地面に水平に保つ方法を考案したという。飛ばす前に1コマ/秒の割合で、地上を撮影するようにカメラ設定して30メートル上空から連続撮影し、撮った多数の画像をPhotoScan-Proという2万円程度の市販ソフトを使って自動的に1枚の航空写真に合成できると実演してみせてくれた。(写真3)
(写真3)
 ドローンは自動的にGPSと6チャンネルで接続し、緑色ライトが点滅して、飛行可能となったのを知らせてくれる。後はコントローラで垂直上昇させ、スティックで前進後退、左右移動させるだけだ。30メートル上昇すると、もう小さな円のように見え、目視コントロールは難しくなる。
 (前に息子が実演した際は、ドローンからの動画をノートパソコンでリアルタイムに観察でき、機体位置が把握できた。これは「業務用」で値段がもっと高い。)

 ドローン登載のカメラが撮影した画像を合成すると、30m上空からのわが家がしっかり見えた。前庭に、「お遊び」に熱中している老人2人が写っている。後庭の黒い車は彼のベンツ、赤いのは私の軽で、家の下半分は画像合成に乱れがある。(写真4)
(写真4)
(写真5)
 ところが後に彼が「160枚の写真から合成した」として、送ってくれた写真では前庭の人物が消えている。赤い軽自動車と車庫の屋根の「乱れ」も消失している。(写真5)
 (おそらく合成の際に、「静止して動かないもの」を優先するというアルゴリズムを採用しているのだろう。)
 仕事場の前にある白い2個の点は、キチネットとトイレ用の給排水管の点検口で、直径が15センチちょっとある。まさかここまで鮮明に写るとは思わなかった。
 「暗殺機」として使用する際には事前に「偵察機」を飛ばして、こういう特徴的な標識を把握し、ついでより大型の無人機「プリデター」により、狙った位置に確実に強力なミサイルを発射するのであろう、と思った。

 「雄バチ」というから、相当に騒音があるものと思っていたが、まったく気にならない。機種にもよると思うが、1Kg程度の荷物ならぶら下げられそうだ。
  ドローンにもN君のように、学術研究目的を主とした利用法もあれば、純然たる趣味から、各種の悪用まで、いろいろな利用法があるだろう。アメリカでは「銃は人を殺さない」と称して、いまだに銃規制法がない。ドローンもそれ自体が悪いのではない。使う人間の意図により良くもなり悪くもなるのは薬物と同様だ。
 R.ウィッテル『無人暗殺機ドローンの誕生』(文藝春秋)という本が出たが、これは在来型の戦争を様変わりさせるだろうな、と思った。

 首相官邸や議事堂、皇居上空の飛行を禁止するのは、すでにとっくの昔にアメリカがホワイトハウス、ペンタゴン、議事堂上空を飛行禁止としている前例にならえばよいだけのこと。
 行き過ぎて、こんな便利なものを圧殺することがないように要望したい。
 くれぐれもメディアが事件に過剰反応をしないことを望む。
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