お笑いの意味

2005-10-30 21:26:02 | Weblog
 電車に乗っていると、たまに「若干精神に難のあるよ
うに見受けられる方」を目撃するが。

 きょうも後楽園で馬券を買い、松屋で牛丼並盛食べ
て帰宅する途中、上記のような方を目撃した。髪型は
スポーツ刈系の短髪で、地味な色のリュックを背負い、
服装はこれまたくすんだような色のジャンパーにジー
ンズ、視線は落ち着くことなくキョロキョロとし、にたにた
笑いを四角い顔に浮かべつつなにかをぶつぶつつぶや
いている。それでいてガタイは頑丈そうで、ガッチリした
体で身長は180を超えている。見た目20代後半から30
というとこであろうか。典型的な方であった。

 こっちも、「ああそういう方なんだ」という認識で、スポ
ーツ新聞を読んでおった。なるたけ視線を合わさないよ
うにする努力。小市民としてのわたしの器の小ささはこ
ういうとこにも出る。

 で、そのうち大きな声でひとりごとをおっしゃり始めた。
それも、「駅の構内アナウンスのマネ」ならば、こっちも
「あたり前のこと」として聞き流すこともできたのであるが、
この方のひとりごとはちょっと違った。

 「ど根性がえる~。ど根性がえる~。山之内製薬ぅぅ~」

 あまりの衝撃に息がとまりそうになった。いや、このオカ
シサを文字で伝えようとすることは誤りだとは思う。つーて
も他に手段がないのがもどかしい。前の席に座っている、
大学生風の若い女性が、笑いをこらえて窒息しそうになっ
てるのを見、さらにオカシサが倍増。そしてとどめに「滋養
強壮~、滋養強壮~」

 もーほんと、あの瞬間あの方は完全に車内を支配してい
たと思う。間違いなく。

 「笑い」に関して、古来よりさまざまな哲学者がその原因、
要因を語っているが、きょうの「ど根性がえる~」があまりに
もオカシカったのはなぜだったのか。「電車の中の知的障害
者のひとりごと=電車のアナウンスのマネ(つぎは~どこそ
こ~、どこそこ~、××線ご利用の方はお乗換えください~、
という例のアレ)」という固定観念が、あまりにも意表をついた
単語(今回の場合はど根性がえる)でつき崩されたためだと
思う。シュールな漫画(中川いさみや中崎タツヤ)の面白さと
いうのが、この「意表をついた単語・概念による固定観念の
突き崩し」だと思うのだ。

 しかし「笑いの分析」をしても、それを応用して「面白い文」
がかけるわけではない。あの「精神に難のある方」を超越す
る笑い話を、なんとか創作してみたいものである。