常識について

2005-10-29 06:12:01 | Weblog
 出入りのキャバクラに、たまに場内をいれるねーちゃ
んがいる。

 キャバクラでの益体もない会話の定番として、生ま
れ故郷の話というのがある。「出身どこ?」「××」
「へー。そーなんだ? ××っていえばあたし(あるい
は俺)・・・」てな会話は、北は北海道南は沖縄の、あ
らゆるキャバクラ、スナックでかわされている会話であ
るが。

 その、たまに場内いれる娘さん、出身は高知県とのこ
と。高知についてわたしが知ってることといえば・・・・
「高知っつーても、俺行ったことないしなぁ。知ってること
といえば、坂本竜馬と、あとは西原理恵子くらいだなぁ」
「サイバラ? だれそれ?」

 ビックリした。サイバラの、デビューして20年で築き上
げた、山アリ谷アリの素敵な人生と栄誉を、「だれそれ」
というひらがな四文字でたたきつぶすキャバクラ嬢。高知
県民、しかもオッサンやオバハンならいざ知らず、20代
前半の若い高知出身の女性で、サイバラを知らない人間
がいようとは。書店に行けば本は常に平積み、恨ミシュラ
ンの成功以降はむしろ「お笑いもできる文化人」にシフトし
てきてるサイバラ先生である。いまや高知県民の星では
ないのか。

 ・・・などと、高知に関してまったく知識のない脂ハゲは
かように考えていたのである。こういうのを「無知の勝手
な思い込み」という。

 「類は友を呼ぶ」という。漫画好きの周囲にはやはり漫
画好きが集まる。わたしも漫画は好きな方なので、周囲
にはやはり漫画好きが多い。だから、「サイバラ理恵子の
知名度」というのは、わたしの周囲の友人に限っていえば
ほぼ100%なのだ。で、わたしの頭の中で、「自分の周
囲限定の常識」が、いつのまにやら世の中一般にまで広
がってしまった、ということなのだとろう。

 よく考えてみれば、さくらももこなどと違って、アニメが当
たっていなければ、漫画家の知名度というのはそうそう高
まるものではない。ましてや、出身地と知名度というのは、
そうそうリンクするものでもない。町田の久美堂という書店
には、「町田在住作家コーナー」という一角があるが、わた
しの知ってるひとなどほとんどいない。そんなものなのだ。

 「限定的な常識」を、世間一般にまで広げてしまうこと。
結構弊害も多そうである。注意注意。