姫井・ザ・グレート

2008-08-31 22:56:12 | Weblog
 いやー、民主党の分裂騒動、なんかもう笑った笑った。
いや、本来笑い事じゃすまないことなんだろうけれども。

 「党を割る」って結構度胸のいる行動のはずで、その後
のことに関して充分な根回しやら打ち合わせが不可欠だ
と思ってたのだが、どうもそうでもないらしい。だいたい、
何がしたいのかさっぱり分からない政党が、政党として成
立するはずもない。「代表が嫌だ」だけで党を割るとしたな
ら、与党と充分打ち合わせしてないとアレに決まっている。
それがまあなんと言うか。姫井参議院議員、あなたは偉
大だ。

 不倫ネタがバラされたり、暴露本出したり、裁判起こされ
たりもうなんちゅーか醜聞のグランドスラム状態なわけだが、
そこへもってきてこの裏切りである。菅氏や鳩山兄が説得
したらしいが、案外あっさりと裏切っちゃったのだろうなあ。
「民主党の政権奪取を助ける党だと思った」て弁解自体が
意味不明。民主党割ってどうやって政権奪取を助けるとい
うのか。政治に対してあまり興味を持たない脂ハゲにだっ
てこのくらいはわかる。なんか、悪いことしてることが露見
した子供が、現実にはありえないようなシュールな言い訳
をしている、そんな感じだ。

 新聞見ると、横峯さくらの親父も声かけてたらしいが、彼
は断ったらしい。なんかもう、「そういう人たちに声かけてた
のか」と透けて見えるのが馬鹿馬鹿しくも面白い。で、姫井
議員の裏切りもナイスだ。つーか、ここまでヘタレのひとだ
と正直応援したくなりますな。脂ハゲ自身もヘタレであるが
故に。

 自民党がねじれ国会のため法案通すのに四苦八苦という
現実があり、また小沢民主党代表を嫌がってる民主党議員
が多いというのもまた事実ではあろう。だからってこれはない
だろこれは。つーか、絶対自民党のある程度の地位もった政
治家が裏で糸引いてた感がするんだが、どうなんだろうね。も
しそうだとしたら、グレート姫井女史になんかさせようとした時
点で止めなきゃならんだろ。

 ひとというのは弱いものであり、美点だけで構成することは
不可能だろう。だから姫井議員もその点で責められるいわれ
はなかろう。ましてや性生活における性癖なんぞ、相手の同
意があればそれは政治活動とは関係のないことだ。マゾであ
ろうとサドであろうとスカトロ好きであろうと。また不倫につい
てだって、ひとをひととしてきちんと尊重しているならばさほど
問題はなかろう。ただ姫井議員のこれまでの道のりを見るに、
どうもこのなーんか政治家として大切なモノがすっぽ抜けてい
る気がしてならない。

 

朝のロマンスカー

2008-08-24 23:30:22 | Weblog
 毎日曜の朝は馬券買いに後楽園へ出かける脂ハゲ、
きょうは寝坊していつもの急行に乗り遅れたと思いねぇ。

 で、町田駅に止まっていたのは新宿行きのロマンスカ
ー。最近経済感覚が麻痺してきている脂ハゲ、「たまに
ゃこれ乗ってゆったりと後楽園向かうか」と、4百円奮発
して特急券買うて指定席へ乗り込んだわけだ。したらば。

 通路隔てた隣の席に座っているのが、50台前半から
後半と思える主婦4人組。この年齢の女性が複数固ま
ると、周囲のことなどなにも考えずに大声で話をお楽しみ
になるわけだが、この4人組も例外ではなかった。

 で、話のネタにされていたのは彼女たちのダンナさま方。
「あたしが家いるときは家にいて、あたしが家出るとき外出
するのよ。なんか気持ち悪い」とか、「一緒に家にいたとこ
ろで、あたしはずっと二階にいるし、向こうはずっと一階。そ
れでなにも気づかないのかしら」とか、エゲツないお話のオ
ンパレード。中でもいちばんすごかったのは。

「朝いつまでも起きてこないとさ、以前は心配になって見に
いったもんだけど、最近はこのまま逝っちゃってくれてもいい
かなって・・・」「うちもそうそう。変に生き残られて介護したり
するのも大変だし」
 
 コラコラ。40代半ばの独身男の横で、そういう夫婦のアレ
を聞こえるように話すんじゃありません。なんというかどう見
ても専業主婦で、二階があるってことはたぶん一戸建ての
マイホームですよ。しかも朝からロマンスカーで友達と旅行
できるほどの経済的余裕。懸命に働いたのだろうな彼女た
ちのダンナ方も。なのにこの仕打ちか。男ってのは基本バカ
だから、女房の気持ちを斟酌することなど少ないんだろうが、
それにしてもこれはひどい。彼らのダンナ方とは何の関係も
ない脂ハゲであるが、それでもやや涙腺が塩辛くなった。

 とどめに一言、「うちのも二ヶ月後定年なんだけど、1日中
家にいるつもりなのかしら。再就職の斡旋蹴ったらしんだけ
ど、なんの目的もなく家にいられてもねぇ・・・。ああいやだ。
今から考えると憂鬱だわ」

 家にいるだけで憂鬱か。たぶん、何十年と会社で働いて
家族養ってきたのだろうに。結婚したときには、それなりの
愛情とか恋慕とかもあったのだろうに。やはり人間関係と
うのは、常にメンテナンスしてないとグチャグチャになるもの
なのだな。脂ハゲも40半ば、結婚というものに対して夢ば
かり見ている年はとっくに過ぎたが、やはり現実から隔たっ
たところにあるネバーランドの住人であった。なんか刃物の
ような現実を突きつけられ、案の定本日買った馬券ははず
れまくったのであった。だれの責任やねん。



中京競馬場の改装

2008-08-17 23:50:21 | Weblog
 スポーツ新聞の片隅でちらっと読んだ記憶があるのだが、
函館競馬場に続いて中京競馬場も改装の計画があるとい
う。老朽化した施設の改装、それ自体は別に結構なことな
のだが、なんでもコースも直線をやや長くするとか。勘弁し
て欲しいと本気で思う。

 競馬場には「回りが左か右か」「直線が長いか短いか」
「ゴール直前に坂があるか、あるとしたらそれはどのくらい
の坂か」などの要素があり、それを微妙に違えることによっ
て競馬という遊びに深みがかもし出る。「中山は全然ダメだ
が福島は無茶苦茶走る馬」とか、「京都なら重賞でも勝ち
負けできるのに府中では条件馬以下」とか。そういうのを
馬柱をじっと見て見つけ出すのが馬券買いの楽しさなんで
ある。

 中京競馬場というのは、ある程度の競馬ファンにとっては
わかりきったことだとは思うが、左回りの小回り平坦、直線
コースが短いことを特徴とする。直線短いから先行馬が有
利かと思いきや、皆が皆仕掛けが早くなるので前がつぶれ
て後ろからの差し馬も結構届くという、そういう競馬場なん
である。フルゲートの芝1,200m、1千万条件のハンデ戦な
んぞ、どう予想していいかわからないほどアレである。

 そういうカオスな競馬場の直線を長くするなんて、暴挙以
外のナニモノでもないと思うのだがどうよ。「強い馬が勝つの
が競馬だ」などという、間違った概念がJRAの上層部に広
がっていないことをこころの底から望む。また、「直線が長く
なれば直線の抜きつ抜かれつの攻防が激しくなる」などとい
う誤りも。「展開ひとつで順位がガラっと変わってしまう」とい
う中京競馬場のよさを、改装工事によってなくしてもらいたく
ないのである。

 たしかに、「すすんで無くすべきコースの欠陥」というのは
あるだろう。コースの内外で有利不利の差が大きすぎるとか。
府中の改装のとき、芝2000mのこの欠陥を少なくするよう
改装したのはよいことだと思う。だが直線を長くしたのは。逃
げ馬が差されるケースが異様に多くなり、マジでつまらなくな
ったと当時感じたものである。先行馬好きの脂ハゲ、馬券の
的中率が著しく下がったというのがこの意見の根源かもしれ
ないが。今はなんとか慣れたけどね。

 中京の直線長くしたところで、しばらくしたらまた慣れてしま
うのかもわからない。でもなあ、今のグッチャグチャな面白さ、
早仕掛けで前がものの見事につぶれ、ゴール前50m付近で
着順が前後きれいにいれかわる、あの中京の面白さは決し
て消してもらいたくないと考えるものである。「直線長い=逆
転劇が多くなり面白くなる」という考えは、「高速決着=激し
い戦いになりレースレベル高まる」と同じくらい誤っている、と
脂ハゲは主張するものである。

覘き小平次 さらに

2008-08-10 23:12:36 | Weblog
 お塚さんというキャラも実に不思議なキャラではある。

 程度の大小はあるにせよ、ひとは演じなければ生きてい
けない。キャバクラにハマっている脂ハゲなどはほんにそう
思う。「演ずる」=「空気読む」であって、自らの思うことをス
トレートに口に出さず、周囲の和を乱さぬようふるまうこと。
日本人ならだれでもしつけられる特徴のひとつではないか
と思う。

 「ツンデレ」という概念が一般にまで広く知られるようにな
ったいま、ラストのお塚さんの台詞など典型的すぎてギャグ
に化してしまうのであるが、あの台詞、お塚さんの本心では
ないかとも思うのだ。「ずっとずっと何時までも。妾はお前が。
大ッ嫌いだ」という言葉。ただ「嫌い」という言葉の意味が通
常の日本語と若干ズレているだけで。

 お塚さんにとって、嫌いだろうとなんだろうと、こころを刺激
し動かしてくれるものが必要なのだ。「嫌いだからこそ、必要」
というのは逆説に過ぎるかもしれないが、年増女の肉体を被
って演技し続ける小娘たるお塚さんには、肉体に虚無がぎっ
しりと詰まった小平次以外パートナーになりえない。「無理をし
て楽になるのと、無理をせず苦しむのはどっちがいいか」この
問いに小平次は結局後者を選び、お塚さんは前者を選んだ。
この夫婦のすれ違いというのはこの一点であり、そして、すれ
違っているからこそ互いに強く結びついているのだ。

 歪んだ形の結びつきであるのはたしかだが、それでもこの結
びつきは安定していて、さらに二人はこの関係自体から逃れよ
うともしていない。「幸せそうにも見えないが、惨めにも不安にも
見えない」 これは、登場人物のひとりがお塚さんの様子を見、
持った感想である。そして小平次は、そんなお塚さんを押入れの
中に篭って、「見守る」。「覘く」のではなく、たぶん「見守っている」
のだ。

 過去執着した美童の姿絵を破り捨て、「昔を捨てて今を選んだ
だけのこと」と嘯くお塚。小平次に覘かれる人生を選んだお塚。理
解できるような気もするが、男女関係に疎い脂ハゲにはやはり無
理かもわからない。これをハッピーエンドととらえるか、哀しい結末
ととらえるかはひとによって差異があるだろうが。

 が、ひとつ不満なのは、小平次が「旅先からお塚に手紙を頻繁
に書く」という行動の意味が解明されなかったことだ。とりあえず
前半で伏線としていた設定が後半に至って忘れ去られた感じ。こ
の性癖は突っ込むと面白い鉱脈にあたりそうだっただけに、置き
去りにされたのがとても惜しいと思った。

 

覘き小平次 続き

2008-08-03 22:31:31 | Weblog
 しかし小平次が幽霊役をやると名演技ができ、他
の役の演技はまったくダメであったというのは、どう
いう意味があるのであろうか。

 大根役者というのは、舞台上で、「現実のように見
える人間」を再現する能力に欠けている役者というこ
とであろう。「現実の人間」を再現するわけではない。
あくまで「現実のように見える」というところがミソであ
る。歌舞伎のようなしゃべり方をする人間が現実にい
るわけはなく、普通の人間のリアルな会話を録画して
再生しても、いわゆるドラマ的な要素は皆無に等しく、
なんの面白みもない。小平次は、舞台上で「リアリテ
ィーのある人間」を演じる能力に欠けていた。演技とい
うのを、素の自分を隠し、演ずる役の心理なりを考え、
その人間がどのような行動、所作をするのか再現する
ことだとするならば、小平次は自ら抱える「リアリティー」
があまりにも強く大きく、舞台上でさえ隠し切れなかっ
たのではないか。小平次は現実に根ざし、「現実のよ
うに見える」演技ができない。小平次の過去(兄嫁から
の「小平次は義母と通じている」という讒言、空言を、義
母と駆け落ちすることによって現実にした)、これも、「虚
言を現実化する」能力に長けていても、「現実のように見
せる」能力には欠けていたという証拠であろう。

 そして幽霊役のみ名優として能力を発揮しえたのも、幽
霊が「現実に根ざしてない」存在であったからではないか。
「生きている人間の役の演技」というのは、常に現実との
比較にさらされる。「ここで遊女があんな表情するか」「お
いおい、敵討ちする武士の口調があんなわけねえだろ」的
な。だが幽霊役にそれはない。皆が幼い頃から培った曖
昧なイメージがあるだけだ。現実に根を持たない小平次に
とって、幽霊役がうってつけであったというのもうなづける話
である。

 さて、「演技」ということについてであるが。

 己が本質を隠し、現実生活においても演技を続けている登
場人物がひとりいる。小平次の女房のお塚さんである。この
人物もまた、複雑怪奇な性格を有している。ひとことで言えば、
このひと、子供なのである。十代前半で「美童の絵姿に本気
で恋焦がれ」結局は家を放逐されたという過去を持つ。その
ときからこころの進歩はまったく止まっており、純で無垢で残
虐な、子供の特性をまったく捨てずいまに至った。ただし、そ
の肉体は淫蕩味さえ漂う妖艶な年増女であり、常にその外
見にふさわしい伝法な女の演技をしている。世渡りには子供
より毒婦の方が都合がいい。決して馬鹿ではない故、成長の
段階においてこのような知恵を獲得したのであろう。

 また長くなりそうなので次回に続くですよ。