西原理恵子について

2007-04-29 21:55:12 | Weblog
 もともと無能な人間だという自覚はあり、人生からは
さほど多くを期待してはいないのだが、それでも昨今の
八方塞がりの状態というのはもうにっちもさっちもいか
ず、いや、冷静に考えりゃ借金があるわけでもなく、二、
三年は寝たままでも暮らせるとは思うのだが、どうもそ
ういう「余裕のある考え方」ができない。これが「鬱」の
はじまりであることはわかるのだが、だからといってな
にが楽になるわけでもない。もーほんと、逃げることば
かりを考えておる脂ハゲであるが。

 そんなグチャグチャな状況の中年男が、西原理恵子の
新刊「できるかなクアトロ」を読んで思わず笑い、そして
涙ぐむ。ああ、いつもながら西原の漫画はいいなあ、な
んでボロボロな状況のこころにこんなに効果があるのだ
ろう。

 思うに、彼女の漫画というのは、「説教」というものが一
切ない。目線が常に読者と平行なのだ。「自分はこんな
体験をした」「自分はこう感じた」「自分はこう思う」だけで、
それによって他人を啓蒙したり、自己の正当性を主張す
るということがまるでない。「話の七割は他人に対する批
判じゃねーのか」の内田春菊や、自己の男性経験をネタ
に笑いをとっているつもりが、いつのまにか「他人を教え導
く」教師的な立場に身を置いてしまった倉田真由美とはそ
こが大きな相違点だ。

 モチベーションがさまざまな面で低下し、地べたをはいず
り回っているような状態のとき、何が不必要かといって「教
え導こう」という他人の説教ほどいらないものはない。必要
なのは共感と暖かな笑いだ。あれだけ売れた漫画家が、い
くら商売とはいえ「尊大なこころ」を作品から排除できるのか。
地に足のついたものの見方ができるのか。漫画家というの
は一種過酷な仕事であり、「あっちの世界」へ行ってしまった
ひともひとりふたりではきかないと聞く。あれだけ売れながら、
「自分のことを凡人と見做せるこころ」を持ち続けられるのは、
一種特殊な能力ではないだろうか。

 思うに、自己の卑近さを冷静に見つめ続けることができると
いうのは、幼少の頃「これだけは欠けてはいけない必須のモ
ノ」が充分に供給された結果であろう。いくら物質的に不自由
がなかろうと、これが欠けていたらオトナになったときどうにも
こうにもならなくなる。「わたしは親から充分に愛されて育った」
という確信。これがある人間は人生において結局は勝っちゃう
ひとたちだ。ほんの少しばかりの「収入の多い少ない」などこの
確信の前では問題にもならない。

 この点において、脂ハゲは勝ち組なのか負け組なのか。けっ
こう勝ってる気もするが、そのわりには人生に関しては完全に
負けているな。どんな場合も例外が存在する、というアレでご
納得していただきたいものである。

酒乱について

2007-04-27 05:04:56 | Weblog
 ちょっと前、SPA!に掲載されたゲッツ板谷のエッセ
イを読んだ。題材はつい先だって亡くなった鴨志田穣氏
に関することであり、これがもう重い内容で、いや、ゲッ
ツ板谷の名著、「異国怪人紀行シリーズ」の中で板谷&
鴨志田といえば往年のディック・ザ・ブルーザー、クラッ
シャー・リソワスキーを思い出させるほどの名コンビだっ
たのだが、それがいつの間にか組んで仕事をすることが
なくなった。いったいどうしたわけかと脂ハゲ、ひとり思案
投げ首であったのだが、案の定、鴨志田氏の酒乱による
トラブルで絶交中だったらしい。それも、酒によって自制
心が吹っ飛び、こころの中の黒い面ばかりがどっと噴出
したような言葉の暴力。妻がガンで闘病中の夫に対して、
「お前の嫁なんかガンでくたばかり損ないじゃねーかよ」
とは、「こいつとの人間関係は終わりだ。もうなに言ったっ
てOK」てな決意をもってしても、言っちゃいけない言葉で
ある。ひととして。ましてや、「単なる酒の酔いにまかして
の戯言」であるなら、ほぼ完全に「あちらの世界に行かれ
たひと」である。

 ひとは何ゆえ酒などというものを飲むのか。日常生活に
おいて、じりじりと精神にたまっていく「黒いモノ」を、「酔い」
という手段によって外部へ放出する、ということなんだろう
か。脂ハゲ自身は、いま現在は「独り酒」というものをあま
りしない。「他人との馬鹿話」というのがなによりの「黒いモ
ノ放出」の方法であって、酒はその補助にすぎない。だから
なんとか助かっているのかもしれない。
 
 「黒いモノ」がたまり過ぎれば、ひとと接すること自体がた
まらなく嫌になってくる、ということは充分にありうる。そうす
ればこの脂ハゲも、あっという間にアル中の仲間入りであろ
う。逃避の手段としての「酒」というのは、ギャンブルや女性
と比べて安易かつ安価である。貧しく、かつ甲斐性のない脂
ハゲにはとてもお似合い。

 最近どうもこの嫌なことばかりが多く、不安で不安で致し方
なく、人生とうとう袋小路みたいな状態、「そろそろ独り酒に手
を出すか」のような感じである。なにかいい方法はないものか
ねぇ。もっとも根っから小市民の脂ハゲ、そうそうワイルドにも
なれないのが、またひとつの悩みだったりするのである。

もてぷよ

2007-04-25 05:08:20 | Weblog
 きのうは会社で健康診断があったのだが。

 なんか今年からメタボリックのナニで腹回りを計測
するとかで、思いっきり巻尺巻かれました。しかしそ
れにしても96cmってどーよ。

 このだぶついた腹の肉からはできることなら目をそ
らして生きていきたいと希望するものであるが、この
強烈な存在感から完全に逃れることはほぼ不可能だ。
人間として、このぜい肉くらいのふっとい存在感があ
れば少しは出世するのだろうが、ぜい肉はぜい肉で
あり、本体は本体である。本体はいろんな意味におい
て存在感がない。まあ、身分相応といやそうなんだが。

 夕刊紙などを見るとメタボリックの記事もやたらに多く、
気にしてるオッサンも多いのであろうなと。「チビ、デブ、
ハゲは女にモテない」というのは男のこころの中では確
固たる定説であり、「女性の痩身信仰」とタメがはれるく
らい崩しにくい観念である。

 冷静に考えてみれば上記の三大欠点よりマズイ短所
というのはいくらでもあり、口臭体臭ケチ暴力など、どう
考えても「深刻度は高い」と思うのだが、普通のハゲデ
ブというのはそこまでポジティヴにはなれず、隙間だらけ
の頭髪と出腹を気にしつつ、「どうすりゃいいんだ」と半泣
きで立ち尽くすのみだ。いまのわたしですね。

 もっとも、デブについては最近「もてぷよ」などという言
葉があるという。一部女性誌が提唱している、「男性にモ
テるややふくよかな女性」の概念らしい。例としては松坂
慶子などがあげられており、「ああ、たしかにぷよだな」と
いう感じである。また男性ではあるがインパルスの堤下と
か。たしかにぷよでモテている。ウキーーーッである。

 女性の「痩身信仰」というのはたしかに「精神的に病ん
でねぇ?」と思うくらい強固なものがあり、「いや、ぷよで
もモテる女はたくさんいるから」という事実を世に広めると
いうのは意義のあることかもしれない。ただ同時に、「限
度を越えて紡錘体形」の女性の勘違いが、さらに加速す
る危険性をも秘めており、その意味においては両刃の剣
なのだろうな。

 脂ハゲ自身は、「ハゲとデブの兼任体制」であるから、デ
ブの正当化がされたとしても立ち位置にあまり変化はない。
ここはひとつ「モテハゲ」の概念の啓蒙を。モト冬樹とかモテ
そうだもんなあ。どっかの雑誌が花火あげてくれないかしら
ん。

東京競馬場グランドオープン

2007-04-22 22:49:06 | Weblog
 さて土曜日は、グランドオープンした東京競馬場へふら
ふらと行ってきたわけであるが。

 つーても建物自体は単にちょっとばかり広くなっただけと
いうことで、それほど強烈な感慨は抱かない脂ハゲであっ
た。目的はなにより食い物。立ち食い屋、それも麺類を扱
う店が七軒ほど固まってオープンするということで、こっちと
してはわくわくしながらラーメンすすりこんだわけだが。

 単刀直入に結論を。高くて不味かった。ゲンナリ。

 博多ラーメンと看板かかげてる店、とんこつラーメン頼んだ
のだがこれがもうスープにこくとか深みとかが全くなく、カッ
プ麺でももーちっとマシなのがあるんじゃねえかと思えるほ
ど。あれなら西門近くのファストフード街にある西海のとんこ
つラーメンのほうが何倍もおいしい。しかも西海の方が値段
少し安いし。あんな店選んでいれた意図がわからん。

 もひとつ、昼に上海ヌードルという看板かかげてる店でマー
ボー麺頼んだのだが、これもなんかクセのある味でいまひと
つ。値段も680円と結構するし。他の店見ても中山でもおな
じみの翠松楼とか北斗とか、「いったい東京競馬場に何軒あ
るんだよ」の梅屋とか、あまり目新しい店がない。つーか、梅
屋いれるくらいならちりめん亭いれりゃいいじゃねえかと思う
のだが、まあそこは利権とかその他の「オトナの事情」がある
んだろう。それにしてもレベル低すぎだあれ。

 というような文句を抱き落胆したわたしではあるが、昼休み、
客寄せのためにわざわざ北海道よりやってきたウイニングチケ
ットとレガシーワールドを見てこころがなごみました。いや、こ
の企画は成功だったと思う。

 平成5年のダービー馬ウイニングチケット、同じく平成5年の
JC勝ち馬レガシーワールド、前者は種牡馬としていまひとつ
結果が出ず、後者はもともと繁殖能力のないせん馬、つーこ
とでわざわざ「客寄せ」としてこっちへ来たのだろうけど、いや
ー、せん馬なのにいまだいれこみまくり、現役当時と変わらず
パドックで二人引きされてるレガシーワールドを見、懐かしさが
しみじみとこみあげてまいりました。輸送費とかかかるだろうが、
たまにはこの手の企画はやって欲しい。

 パドックでわたしの隣にいた中年女の二人組、「いいねーこの
企画」「ほんとだね~」と言ってるうちはまだよかったのであるが、
「今度はディープインパクト来てほしいね~」「あたしはキングカメ
ハメハがいいな~」と吹きはじめ、「そういうね、種牡馬としての
可能性が絶たれてないお馬さんは諸事情があって絶対に来ね
ぇよ」と言い聞かしてやろうかとも思ったが、オトナなので我慢し
たわたしであった。

乱射事件

2007-04-20 05:21:22 | Weblog
 しかしバージニア工科大の乱射事件、衝撃的であるわけ
だが。

 犯人の異常性についての報道が次から次へとテンコ盛
りである。まあ、これだけのことをする人間だ、変な予兆み
たいなサインがたくさん出ていたとしても驚きはしない。が、
新聞の中には「こんなことをする人間はおかしな人間のは
ず」という決めつけで、おかしな記事になってしまってるの
も散見される。

 特にサンスポ。犯人のさまざまな行動を、異常性と結び
つけたいという気持ちはわからんではない。しかしだ、「創
作の講義で『死』を作文のテーマに選ぶなど不安定な精
神状態を示す兆候が見られたという」てのはいくらなんでも
やりすぎであろう。10代後半から20代前半の若い人間が、
「死」というものに対してあれこれと考えることはむしろノー
マルではないか。「恐ろしくなった学生の受講ボイコットが
相次ぎ、約70人のうち7人しか出席しない事態も起きた」っ
てのもなんか変だ。たかがひとりの学生が「死」をテーマに
選んだだけで、他の受講生がボイコットするってありうるのか。
「講義のボイコット」って、教師に問題があるのなら意味もあ
るだろうが、「あいつキモいんだよ、講義出るのやめよう」っ
てのはボイコットなのか。単なるサボリというのではないのか。

 報知新聞見ると、テーマが「死」だからキモがられていたわ
けでなく、その「死」の描写がキモかったので嫌われていたら
しい。これならまだ理解できる。「新聞はみな同じではない」と
いうのはたしかにそうで、記事書く記者の能力によってこうい
う差異が出る。「新聞は複数読まないと役に立たない」という
のは脂ハゲの持論である。
 
 しかしだ、韓国じゃ「米国の自国民に対する感情の悪化を懸
念」しているそうだが、そりゃそうだろうなあと。つーか、ただで
さえ全米ライフル協会なんていう、「武装の権利」をキ○○イの
如く主張する強大な組織があるのが合衆国、「銃が悪いので
はない。それを使う人間が悪い」というその主張を裏付けるに
は、この犯人の異常性を責めて責めて責めまくり、「もういい加
減銃を規制したらどうか」という意見が巻き起こらないようにし
なけりゃならない。この「犯人の異常性」には、当然「コリアンの
文化、国民性」みたいなものも含めて語られる可能性も大きい。
そうすりゃ人種差別までほんのあと一歩だ。

 我々日本人も東アジア民族のひとつ、「韓国人じゃないから
関係ないや」と果たして言っていられるのか。つーか、ごく普通
の米国人は、日本人と韓国人がまったく異なる文化を持つ全然
違う民族であることを理解しているのか。外国人の知りあいがま
ったくいない非・国際的な脂ハゲは、その点ちょびっと心配であ
ったりするのである。

皐月賞の結果論

2007-04-17 04:56:23 | Weblog
 牡馬一冠、皐月賞は前評判の高かったフサイチホウオー
でもアドマイヤオーラでもなく、田中勝春騎乗のヴィクトリー
が逃げ切り勝ち。二着にもこれまた人気薄のサンツェッペリ
ンが2番手から粘りこみ、結局は前二頭のいったいったで
決着。配当はここに改めて記すのも嫌になるくらいの大波乱
であった。

 まあ人気薄の逃げ馬の前残りというのはよくある話ではあ
り、ヴィクトリーにしても新馬戦1着、ラジオNIKKEI杯2着(1
着フサイチホウオー)、若葉S1着という三戦して連対率100
%という馬であって、勝っても決しておかしくない戦績のお馬
さんである。ホウオーとオーラに目が行き過ぎた馬券買いの
方がアレなんである。

 ホウオーについては、「中山がはじめて」「勝ち方がぶっち
ぎりじゃない」「斜行癖がある」なんてネガティヴの要素があ
り、四戦無敗という戦績と比較するとやや低い人気で、妥当
といや妥当なんだが、問題はアドマイヤオーラの方。「結果論
じゃないか」と非難されれば黙るしかないのだが、「弥生賞の
レベルが無茶苦茶高かった」ということはすなわち、「レベルの
高いレースをこなした後は疲れが残る」ということにつながる。
これをみんなが忘れていた。「あのレベルの高い弥生賞を、二
戦目で2着したココナッツパンチは、上積みを考えても相当走
るに違いない」という新聞の論調も目立ったが、結果は惨敗。
体重が激減してたとこから考えても、やはり「疲れてた」のでは
ないか。

 まあ、何にせよナムラマースの単複なんて馬券買ってたこの
脂ハゲ、えらそうに講釈こいてもすべてが負け犬の遠吠えなん
だが、それでももう少しつけ加えると、弥生賞というのは皐月賞
の重要なステップではあるのだが、弥生賞勝って皐月賞も勝っ
た、という馬は案外少ない。ここ20年で三頭しかいないのであ
る。サクラスターオー、アグネスタキオン、ディープインパクトの
三頭だ。

 思うに、同一コースで距離も同じというトライアル、これなら結
果も本番とリンクするだろうと考えるのが素人の浅知恵、同じコ
ースで同じ距離だからこそ、弥生賞の結果をふまえ本番ではみ
なが戦法を変えたりするため、ペース等が変わり、弥生賞勝ち
馬の弱点が露呈して大波乱、てなことにつながっているような
気がする。

 しかし人気薄の逃げ馬の前残りの大波乱。数年に一度は必ず
起こるナニである。やけくそで逃げ馬買うことは多いのに、G1で
大穴仕留めたという記憶がほとんどない。一度くらいは万札をド
バっとゲットしたいものである。

そういうものだ

2007-04-15 06:37:13 | Weblog
 カート・ヴォネガットが亡くなったそうで。

 数年前、「もう小説は書かない」と宣言していたそうで、
「もう新作が読めないのか」と嘆き悲しむアレはないのだ
が、それでもやはり悲しい。

 代表作の「スローターハウス5」において、戦争の悲惨
さを描写し、そして、ひとが死ぬごとに「そういうものだ」と
書き記すあの手法、いまだにこころにじんわりとくる。衝撃
があまりに強くなれば、悲しむ神経さえもが麻痺してしま
い、「そういうものだ」とつぶやくしかない。

 あの淡々とした、暑苦しさや粘っこさとは無縁の文体(つ
ーか、脂ハゲは英語がわからんので、正確に言うと訳者
である浅倉久志の文体なんだが)、高校時代から完全に
はまった。脂ハゲが「熱血さ」や「糞マジメさ」からやや距
離を置くようになったのも、ヴォネガットの影響が少なくな
かったように思う。

 これを期に、版権を握ってる早川書房あたりが、きちんと
「追悼フェア」でもやって欲しい。いまの世の中、無駄にホッ
トな人間が多すぎる。熱情というものは、本来こころから自
然に湧き出てくるものであって、他人に見せ付けるためのポ
ーズとは本質的に異なる。それがどうも理解できない人間
が増えている気がしてならない。そういう意味において、ヴ
ォネガットの小説ほど現代に必要な小説はないかもしれな
い。

 ま、そんなこんなで。

 西原理恵子のダンナ、鴨志田穣氏も亡くなった。そういうも
のだ。このひとも、どうやらかなり「ホットな人間」で、自らの弱
さを認められずに酒に逃避したっぽく思えたりする。自分の弱
さや偽善ぽいところをまともに見つめると、誇り高い人間は耐
えられないことも多いのかもしれない。この方面において、プ
ライド皆無の脂ハゲは誠に幸せである。

 それでもアレだ、人生最後の数か月は、西原理恵子とも復
縁し比較的穏やかに過ごせたという話らしい。自分が好きな
人間が、自分を好いて支えてくれるということ。人生の収支対
照表において、最後にこれが実現できれば結局は黒字という
ことなんだろうな。この点、脂ハゲは慢性的に債務超過であっ
て、黒字に転換する可能性はほとんどない。人生において民
事再生手続きが存在しないのが痛い。

 死というのは寂しく哀しいが、ま、いずれすべての生き物が
体験するありふれた出来事でもあるわけだ。その日のために
充分な備えを。

無料の雑誌

2007-04-12 05:13:29 | Weblog
 しかしまあなんつーか無料配布のものが多くなってる
世の中ではあるが。

 ホットペッパーとかもうすっかり慣れっこ。割引チケット
が冊子の形態になって、駅前などで無料で配布される。
しかも人手も結構使ってである。広告費でペイできるの
かとても不思議。しかし、民放のテレビ局や、大手のネ
ットのサービスが広告費だけでまかなえられていること
を考えれば、あのくらいはどうということもないのかもしれ
ない。つーか、このブログサービス自体が無料でありま
した。タダ恐るべし。

 でもやっぱり漫画雑誌が無料配布されているのを見た
ときはドギモを抜かれた。その名はコミックガンボ。ヤング
マガジンやヤングサンデーに比べれば若干見劣りはする
ものの、それでもタダである。作者だって、江川達也先生
あたりを使っていて、ある程度金はかけてるなと。(もっとも
江川先生、「坊ちゃん」の漫画化などという、荒ワザを使っ
てはおられますが)

 配布場所の地図なんてのが雑誌に載っているのだが、
ほぼ総武線と山手線の駅前に集中している。(例外は横
浜近辺と大宮、柏、北千住)つまり首都圏以外の人間は
この雑誌の入手は難しいということ。発行部数は大手雑
誌に比して案外少ないのかもしれない。

 載っている広告というのも、損保に映画に雀荘、システ
ムエンジニアの求人とあまり脈絡がない。「金融の広告
はないんだな」とふと思いながら見ていると、「借金の任
意整理は当方へ」なんていう、司法書士事務所の広告が
あってちょっとびっくり。金融の広告を超えた段階に来てい
るということなのか漫画雑誌業界は。

 しかしここ数年、「無料サービス」というのも増加の一途
だが、全部がタダなんてことはありえず、その経費はどこ
かで負担しているわけである。ソフトバンクの機種交換み
たいなものなんだなと。かつての無料プロバイダのように、
「見通しが甘すぎて破綻するビジネスモデル」というのも、
これからけっこう出てくるのかもしれない。

 

知事選挙

2007-04-10 05:23:34 | Weblog
 都知事選挙も、波風立たずに終わったわけだが。

 都知事選挙て、現職が落選したことって今までないの
じゃなかろうか。現職が出馬した時点で100%再選とい
う、これほど無風な選挙というものは他にはない気がす
るだ。脂ハゲ、石原さんみたいな「デカい花火あげれば、
それなりのリーダーシップとってるように見えるだろう」的
人間とは、そもそも肌が合わないわけなのであるが。

 「五輪の誘致なんて成功するわけねーだろバカヤロウ」
とか、「どーすんだよ新銀行東京。赤字がシャレになんな
くなってきてるぞ」」とか、「魚市場を化学工場跡地に移転
さすなんて正気かボケ」とか、単純化できる争点はたくさ
んあったはずなのに、そういう点が全然盛り上がらなかっ
たのが不思議である。郵政民営化のときの自民党の大勝
の如く、最近の選挙はテーマを絞ってピンポイントで訴えか
けたほうが大衆うけするのじゃなかろうか。あまり深く考え
る必要ないし。

 首長を選択する選挙なんだから本来は深く考えるのが正
解なんだろうけど、どーもそういう風潮は最近流行らないの
かもしれない。石原さんというひとは話題性のある発言も多
いから、都民の間での知名度というのは頭ひとつ抜けてい
る。普通の東京都民にとっては「浅野? Who?」ってこと
なんだと思う。宮城県知事で実績あげたなんて、都民にとっ
ては「なんだそりゃ」て感じのことなんだろうな。少なくとも俺
にとってはそうであった。
 
 桜金造やドクター中松のほうが、知名度からいえばはるか
に上だったんじゃなかろうか。元知事て点からいえばやはり
田中康夫のほうが知名度は上であったろうし。「知名度のな
い人間が、土壇場で出馬を決意」ってなんのアドバンテージ
もなかったんだろうなきっと。石原さんの最初の選挙のときは、
「土壇場での出馬表明」というのがものすごい優位さにつな
がったけれども、あれはある程度の知名度のある人間がや
ればこそで、浅野さんがやってもなんのインパクトもなかった
というのが正解だったのだろう。

 もっとも、「五輪誘致に失敗したら責任とる」みたいなことを
おっしゃられているらしいから、任期途中で辞任なさるという
可能性もあるわけで。そん時はだれが出てくるのか。今から
ちょっと楽しみではあるのだが。

 インパクトのあるひとが出馬しないかしらん。

春の天皇賞

2007-04-08 21:25:26 | Weblog
 さて桜花賞、「どう考えても負けるまい」と思ったウォッカ
がダイワスカーレットをゴール前で捕まえきれず、やや茫然
自失でございますが。

 まあ長年競馬をやっていればこういう事態はそれこそ腐る
ほどあり、「ディープインパクトがハーツクライを捕まえられな
かった有馬記念」なんてのが有名ですが、「競馬に絶対は
ない」つーことをそのたび思い知らされるわけであります。

 それよりもだ、中山メインにおいてタイガーカフェが勝ち、調
べてみたら昨年の5月以来の1着である。この馬、さつき賞で
ノーリーズンの2着になり大穴あけたのが有名なのだが、い
つのさつき賞だっけかと調べてみたら2002年、実に5年前の
話なのだ。タフな馬である。

 この馬の同世代っていうとなにがいたかと頭を思いめぐらせ
ると、ダービーはタニノギムレット、菊花賞はヒシミラクル。ダ
ービー2着は後の年度代表馬シンボリクリスエス、菊の2着は
といえば、きのうの阪神の準メイン、いつもながらの後方一気
で差し切ったファストタテヤマである。なんかモノスゲー強くて
タフな世代のように思えてきた。

 世代間の格差というのはよく言われることで、古馬の対決、
特にG1レースの勝ち馬の数に如実にあらわれる。「ディープイ
ンパクトの世代が弱い」というのはこれまたよく言われることで、
突出した馬が一頭いる世代というのは、他の馬が全部精気吸
われたようになっちゃうのかもしれない。ちなみにディープイン
パクトの3冠レースの2着馬を並べると、シックスセンス、インテ
ィライミ、アドマイヤジャパン。なんか全部が全部いまひとつとい
う感じの馬である。

 春天、ドリームパスポートが故障とのことで、たぶん人気はメ
イショウサムソンに1本かぶりの予感。現4歳世代の実力はど
うかが試されちやうわけである。つーてもドリームパスポートが
古馬混合G1レースでもそこそこ踏ん張ったから、そんなに見苦
しい競馬はしないとは思うが、勝つとこまでいくかどうかはわか
らない。アイポッパーやネヴァブション、あるいはデルタブルース
にシャドウゲイトなど、骨っぽいところが多数存在。かなりな混戦
模様でございます。

 個人的にはシャドウゲイトの大逃げ&逃げ粘りを期待したいが、
別定のG1競走、そうそううまくいくとも思えない。やはり長距離
では信頼性の高いアイポッパーですかね。まだある程度日にち
もあるのでジンワリと考えていきますかね。

ひきこもりのアート

2007-04-06 05:36:15 | Weblog
 「世界一長い小説はなにか?」というのがふと気になり、
ネットでかちゃかちゃと検索した。やっぱ栗本薫の「グイン
サーガ」だろうなあ、ああ、「ぺりーローダン」も長いけど作
者複数だしなあ、てなことを考えつつ調べたおったのだが、
まるで聞いたことのないタイトルの話が検索でひっかかっ
た。ヘンリー・ダーガー「非現実の王国で」という作品。ど
うも15000ページくらいあるシロモノらしいのだが、調べて
みてこれまたびっくりであった。

 このダーガーという作者、幼くして両親と死に別れ、施設
に収容されるも十代で脱走、シカゴで病院の雑役夫の職
を得、その後およそ50年間変化のない単調な生活を営み、
老人ホームで生涯を終えたという、なんかもうこれだけ見る
と不幸だがパンチのない、むしろ凡庸な人生である。唯一
凡人と異なったのは、50年近く暮らしたアパートから老人
ホームへ移ったとき、所持品の整理をまかされた大家が部
屋へはいったところ、そこにはタイプ原稿で15000ページに
もなる物語の原稿と、その物語のための数々の挿絵が残さ
れていた。この大家、アートに関してはかなりの目ききであ
ったがためにこの残された作品の芸術的な価値を見抜き、
そのおかげでこのヒキコモリ老人の残した作品が世の人々
の目にふれることになったという、まあそういう訳である。

 この作者、グーグルで検索してみるとおわかりのように、
今ではかなりメジャーな知名度を持っているようである。し
かもこの作品、「子供を奴隷として虐待している悪の帝国に、
七人の美少女戦士が戦いを挑む」という、かなりわが国の
オタクの皆様と親和性を持つ作品なのである。天涯孤独、
友人もいないヒキコモリ男が、ひとりアパートでだれに見せ
るわけでもなく書き綴った妄想な物語だ。その「生の魅力」
が他人をひきつけるのも、当然といえば当然である。

 もっとも評価されているのは専ら挿絵の方であって、物語
への言及というのはいささか少ない。まあ、「素人の書いた
妄想話」であるから、文章等があまり「他人が読むものとし
て妥当でない」のかもしれない。それが文学と絵画のいちば
ん異なるところであろう。

 しかし、ダーガーが亡くなったのは1973年、そんなに昔の
話ではない。というか、むしろ現代の方がこの手の「ヒキコモ
リ」は増加しているはずで、そのうちの何人、あるいは何十人
かはこの手の「妄想」を芸術的に昇華させた作品を、ひとり孤
独な部屋の中でしこしこと制作しているに違いない。

 そのうちのほとんどは、「目きき」のひとに発見されることも
なくゴミとして廃棄され、この世から消え行く運命なのだろう
が。そう考えるとダーガーの作品がこの世に残ったことが、ど
うも奇跡のように思えて仕方がなかったりする。

 長くなりそうなので続編は次回。

タクシーに乗る

2007-04-04 23:00:37 | Weblog
 これもまた表題通りであるわけだが。

 最近酒飲んで帰ることが多い。酒飲んで帰る以上、
夜もけっこう更けた時間であり、当然のことながら家
の方へと向かうバスの本数も20分に1本くらい。酔
った体で20分間もバス亭でぼんやりと立っているの
は非常につらい。なもので、ついタクシー拾って帰宅
してしまう。

 バスだと190円の道のりが、タクシーだと約800円
くらい。薄給雑魚リーマンの身の上としては贅沢なこ
と限りないが、酒に酔うとつい気が大きくなり、「ええー
い、タクシー使っちまえ」とあっさり決断してしまう。バス
だと10分かかるのが、タクシーだと近道使えるので5
分で済む。夜中5分早く家に着くというのは、けっこう貴
重なことだと酔った頭には感じられるわけである。酔い
が醒めるとアレなんであるが。

 それでだ、最近のタクシーてのはなんですな、写真と
名前が目立つところに掲げられているのは当然として、
さらにモットーみたいなものなんかも書き込まれていた
りする。「お客様第一で頑張ります」みたいなのならこっ
ちとしてはフンフンうなづくだけだが、こないだ「一生懸命
お客様とお話します」なんて書かれたタクシーにぶちあた
り、いや、マジでドン引き。

 しかもこの運転手さん、このモットーを実践しようと、「い
や~、寒いですね」とかこれ以上ないほどのどーでもいい
ことを話しかけてくるし。なんかもう、気にいらないヘルプ
にぶち当たったキャバ客の如きどうでもいい会話である。
酒にすっかり酔った脂ハゲ、「あ。そーすね」などという、こ
ころの底からやる気のない相槌しかうてない。

 だいたい夜の11時に帰宅しようとする酔っ払いのうち、
いったい何人が「車内で運転手さんと楽しいトーク」をくり
広げたいと思っているのかと。こんな状態で石原都政に
ついて語れというのか。酔っ払いなんだから、自由に空想
の世界に遊ばせて欲しいとマジで思う。

 ありがたいことにこの運転手さん、「モットーは迷惑だが
場の空気は読める人間」であったらしく、こっちの生返事が
「嫌がりのサイン」だと気づいていただけた。結果、それ以
上のシツコイ話しかけはなかった。「セーフ」という感じでご
ざいました。

 しかしだ、「親密な感じの話しかけ」なんて、脂ハゲの如き
小心者にとってはサービスでもなんでもない。タクシーだけ
の話ではない。服屋や時計屋における「なにかお探しです
か」も「気に入ったものがあったら(戸棚から)お出ししますが」
もよけいなこと以外のナニモノでもない。ああいう「うざい話し
かけ」を「サービス」と解釈する人間て、どんな人間なのか。つ
ーか、マジで訊ねるがそういう人間て世の中では多数派なの
か。店の中では静かに自分のペースで品物を見たいという、
俺のこの願いこそ世の中では少数派なのか。

 必要以上に無愛想にするのはアレであるが、無理矢理愛
想よくする必要などまったくないと思うのだがなあ。客が尋ね
たときのみ愛想よくうけこたえする。世の中すべてこうあって
欲しいものである。マイノリティなのかもしれんですがね。

食べ放題

2007-04-01 23:25:18 | Weblog
 昨日はあいも変わらず中野キャバ嬢と同伴。しゃぶ
しゃぶ食べたいというのでサンモールにある90分制
食べ放題の店にはいる。この店価格もそんなに高くな
く、食べ放題でも肉質もまあまあ。セコな食べ放題店
のように、「おかわりすればするほど肉質が悪くなって
くる」などということもない。けっこうお気に入りの店な
んであるが。

 昨日店はいったところ目立つところに張り紙が。内容
は「4月より食べ放題メニューとランチを廃止し、開店時
間を午後4時からに致します」と。昨日は3月31日、食
べ放題最後の日、つまりはギリギリで間に合ったわけ
である。

 しかしこのメニューの改変、この店の利用者としては
けっこう不吉な気分。いや、きのうでこの店はいったの
三度目だったのだが、過去二回はいずれも客がほとん
どはいっていずガラガラだったのだ。肉もおいしいし値
段もリーズナブルなのだが、いかんせん入り口が目立
たず、一見の客がふらふらっとはいるという立地ではな
い。となると量を売らないと利益の出ない食べ放題メニ
ューをなくすというのは、まあ理屈に合う処置ではあるの
だが。でもますます客足落ちないかこれ。

 しゃぶしゃぶ食べ放題といえばモーパラ鍋ぞうが有名
であるが、あいにくと中野にはないのである。この店が万
一なくなるとしゃぶしゃぶ関係は新宿まで出ないといけな
いという事態になるわけで、ここはひとつ性根をいれて頑
張っていただきたい。つーか、食べ放題メニューがなくな
るだけでけっこうな痛手ではあるんだが。しかし暖かくな
ってからのしゃぶしゃぶ屋つーのも、なんか「売り」見つけ
ないと客はいらないだろうねぇ。

 食べ放題というのはやっぱりありがたく、いや、金にセコ
な貧乏人にとってはもうこころあたたまる限り。予算が前も
って計算できるというのは「貧乏な同伴客」にとっては大変
アドバンテージのあるものなのである。食べ放題じゃない店
で、「牛ロースもう一皿食べたい~」などと、中野さんにいき
なり言われたらどれほどキモが冷えるか。想像するだけで
心臓ドキドキものである。

 わたしが気に入った店というのは、世間平均の好みから
はずれているのか、けっこう短期間でつぶれることも多い。
せめてこの店は長く生き残って欲しいものであるよ。