安物インターナショナル

2008-05-25 22:23:00 | Weblog
 安物品を買うことに至高の喜びを見出しているわたしであり
ますが。

 諸物価が天井知らずで値上がり傾向にある昨今、「激安物」
に対するこころのときめき方も以前と比べてよりハゲしい。ドン
キホーテの食品売り場で発見した食パン一斤79円とか。経営
大丈夫か伊藤製パンという気持ちも若干するわけである。

 よく買うのがスパゲティなんでございますが、なんかね、激安
スパゲティの傾向が以前とやや変わってきた。前は訳のわから
ん輸入ブランドでも、「原産国イタリア」の記載がはっきりとあっ
たものがほとんどだったのに、一時は「トルコ」「ギリシャ」のもの
がかなり増加していた。「デュラム小麦を使ってりゃあどこの国で
もいいか」と鷹揚にかまえていた脂ハゲではあるが、なんかもう
最近はこの二国のものさえ少なくなり、こないだ買った安パスタ
の原産国はチュニジアであった。どこにあるんだチュニジア。つー
か、とうとうアフリカ製パスタを日本人が食う時代になったのだな。

 で、本日ドンキホーテの食品売り場で購入した安パスタ、原産
国名見ると「アラブ首長国連邦(ドバイ)」であった。ドバイ。なんか
脂ハゲの貧弱なイメージでは競馬場以外は砂漠と油田しかない
感覚なのだが、作ってたのか小麦。イスラム教徒がこころをこめ
て作ったパスタなんであろう。どういうルートで日本にたどりつい
たのか、知りたいような知りたくないような。

 「日本の食糧自給率は39%、先進国で最低」とはよく言われる
ことであるが、そりゃドバイやチュニジアなんて国からまで食糧輸
入してるんだから自給率が増加することもなかろう。10年以上前、
天候不順から大凶作が起こったときは米の輸入でなんとなく乗り
切ってしまったが、現在は世界的に穀物の価格が上昇傾向、あの
ときのようにはいかないかもしれない。

 とりあえず普通の天候が続くことを祈るだけである。日本の米は
ほぼ鎖国体制、国際価格とあまりリンクはしてないから、豊作であ
りさえすればそうそう不足することもなかろう。もともとが国際的な
価格標準からは飛びぬけて高価なのが日本の米である。つーか、
「中国のお金持ちに安全でおいしい日本米が大人気」という記事を
読んだ記憶があるが、輸入は規制しているのに輸出は自由なのだ
ろうか。これが本当ならば、そりゃ米国あたりが文句言ってくるのも
当然だろう。「日本米の輸出入は一切禁止」ということにした方がい
いんじゃなかろうか。中国のお金持ちなら、米を食べるために来日
することも可能だろうし。来日すれば、米食うだけでなく銀座や秋葉
で買い物して金落とすだろうし。

 しかし穀物の価格上昇傾向は依然として止まる気配もない。今度
買う激安スパゲティの原産国はどこになるのか。そろそろ南米諸国
が出てきそうな予感がする。

雑雑ⅤⅠ

2008-05-18 22:50:40 | Weblog
 とりたてて書くようなこともなく過ぎていくマイライフではある
のだが。

 あえてブログでこんなことを書くのもアレなんでありますが、
父親の前立腺に癌が発見されまして、ここ数日、頭がそのこ
とで一杯で、いや、今年の10月のバースデーで75才、後期
高齢者の仲間入りをするジジイなんだからいつ死んでも納得
せにゃならないくらいの年齢だし、脂ハゲはといえば今月の誕
生日で45になる中年男、親の癌くらいで動じるのは世間的に
は異常だと思うんでありますが、いや凹んだ凹んだ。身近なひ
との死に慣れてないこの身の上、動揺限りなしであります。

 ジジイですから癌の進行も遅く、しかも前立腺癌というのは癌
の中でもとりたてて進行が遅く、明日明後日に死ぬという話では
ないのでありますが、それでもねぇ。たいして仲のよい親父では
なく、同居していながら下手すると1日にひとことも口きいてない
というのもあまり珍しくない仲なのに、それでも「ああ、もうすぐい
なくなっちゃうのかもしれないのだな」と思うとやはり気持ちが鬱
々。

 腫瘍の悪性度が高く、しかも骨転移の疑いもあるということで、
こないだ親子3人連れで病院に医師の宣告を聞きにいったわけ
であります。親子3人での外出なんて数年ぶりなんでありますが、
それが癌の説明聞きに病院とはねぇ。しかも出てきた医師の風
貌およびしゃべり方がカンニング竹山そっくりで、いきなり猛烈な
インパクトであります。結果、「レントゲン写真を見る限り転移は確
認できなかった」とのことで、切除手術をうけることとあいなりまし
た。「腫瘍の悪性度」というのも、切除した癌を病理検査してはじ
めて正確なものがわかるということで、切除手術というのは検査
と治療のふたつを兼ねているんですな。

 まあ、悪性度が高ければ「数年後の再発」てのも頭の中にいれ
ておかないといけないわけで。切除すればすべてオッケーという
わけでもありません。しかし父方は怒涛の癌血統、癌以外で死ん
だ人間はいないのではないか、というくらいの勢いであります。し
かも案外みんな長命。母方はといえば若死と長命が微妙に混在
し、還暦迎えると80までは無事、というパターンのようであります。
さて、脂ハゲはどっちにいくのか。順番通り親ふたり送ったらだれ
も面倒見てくれるひともなく、孤独死せざるをえない状況というの
はどんなものか。「自業自得」といえばこれほどぴったりの言葉も
ないわけですが。

 きょうテレビで偶然葬式の特集がやっていて、なんだかんだで
平均数百万円かかるとか。わたしの親父にしろわたし自身にしろ
交友関係が無茶苦茶狭いので、平均以下の料金で収まりそうで
すが、「しかし死ぬのにもこんなに金かかるのか・・・やたら死ねな
いな」と思ったのも事実であります。墓地のレンタルとかどこかで
事業化しないものかしらん。

プロレタリア文学の復活

2008-05-11 22:46:47 | Weblog
 なんか小林多喜ニの「蟹工船」の文庫本が売れているらし
い。たしかに、三省堂有楽町店でも新潮文庫版が平積み。
表紙は現代っぽいものでなく、戦旗社から出た初版のやつ
を忠実に再現している。まさか21世紀の今日に再びプロレ
タリア文学が売れる日が来ようとは。「一億層中流」なる言
葉の残滓が健在だったマイ高校時代には考えられなかった
ことである。

 戦後、種々の労働者保護の法律が成立し、高度成長期
はもちろん、その後の石油ショックやらなにやらで日本経済
が傷ついたことはあったが、それでも一部の物好きを除いて
プロレタリア文学などが省みられることはなかった。その一
部の物好きにしたところで、「過去の文学」として描写や文
章を味わうことが主たる目的であって、「社会主義革命をガ
チで目指してた」なんて人間は少数だったのではないか。い
まから思うと「古きよき時代」であったのかもしれない。

 それが現在では、「ネットカフェ難民との類似性」が論ぜられ、
蟹工船で描かれるタコ部屋的な労働環境と、ネットカフェ難民
が主として従事する日雇い派遣のそれがそっくりだ、などと言
われているある。こういう過酷な労務環境が平成の時代に復
活するというのは悪い冗談としか思えないが、いろんなメディ
アに接してると全部が全部デマとも思えない。

「世界でいちばん成功した社会主義国」と言われていたわが
日本国が、なんでこんな有様になっちゃったのかと。たしかに
ある国の政体というのは栄えるときもあれば衰退に向かうとき
もあるんだろうけど、それにしても急過ぎやしないかと。三百
年近く続いた江戸幕府は例外としても、明治維新から太平洋
戦争敗戦までおよそ80年、太平洋戦争敗戦後からいままで
約60年、まだ完全に崩れるまで20年くらいの間があるはず
なんである。あんまり急過ぎねえかやっぱし。

 江戸時代なんて経済的危機やら飢饉やらが幾度もあり、民
衆の暴動さえ続発していたのにあの安定感である。明治から
敗戦までの政体にしたって、経済的危機が幾度もあったろうし、
おまけに戦争さえ何度も経験しながらあのサバイバルぶりで
ある。敗戦から今日まで、「日本としての危機」なんて石油シ
ョックと米国との経済摩擦くらいなのに、どう考えても安定感が
欠けている。「なにを信ずべきかわからない」というのがこの不
安定感の原因か。だとするとやばいカリスマ的な人物が出てく
ると、あっという間に妙な政体が出現しないとも限らない。怖い
ったらありゃあしない。

 しかし「汗を流した人間が報われる政治」なんてのがキャッチ
フレーズになる時代だ。それは「汗を流したくとも流せない人間
が存在する」ということが理解できない人間がいる、というエビ
デンスにしかならない。そして、「生存競争の敗者に対しての思
いやりの欠如」。自分の無能を知らずに、根拠もなく自分は勝ち
組に回れると信じているオロカ者、自らの首を絞める政策を提唱
する政党に平気で一票を投じる頭のアレなひと、これらのひとの
増殖をどうしたら止められるのかと、「生まれながらの負け組メン
バー」のわたしは考えたりするのである。どうすりゃよかんべ。

彦左衛門

2008-05-04 23:22:38 | Weblog
 世間ではゴールデンウィーク真っ只中、旅行やら遊びやらで
大賑わいのようである。つーか5月3日の東京競馬場、メイン
レースはテレビ東京杯青葉賞などというショボい重賞、おまけ
に小雨がちらつくという競馬観戦には不適当な天気であった
にもかかわらず、モノスゲーひとの数であった。元来、中山競
馬場近辺の千葉県民と異なり、府中競馬周辺地区の人間て
のは競馬自体にさほど熱狂的ではない。なのにこの結果であ
る。「GWだというのに、競馬くらいしかやることないのかお前
ら」と府中の中心で叫びたい気分であった。つーか、祝日に家
族連れで来るところじゃないと本気で思っている。

 脂ハゲは競馬については「娯楽」ではなく、すでに「日常生活
の一部」と化しているので、「祝日特有のハレの部分」にはなり
えない。あくまで「ケ」の世界なのである。んで、「なにをもってハ
レの気分を体験するか」としばしの間沈思黙考、結果は「買い物
でも行くか」という平凡極まりない答えであった。愚かといえばこ
んなに愚かな答えもない。

 ぼんやりと街中を散策。散策と行っても電車乗ってのさまよい
だからむしろ「彷徨」に近い。御徒町~中野~新宿~町田という、
なんか変な駅伝大会みたいなルートである。しかしアメ横、中野
ブロードウェイ、三平ストアという、「いかがわしい安物店」という
のを避けるわけにもいかぬのだ。

 御徒町でメンタイコとベルト(税込410円)を買い、メガネの激安
店でメガネ買おうと思ったら客が多すぎてギブアップ、そのまま
中野へ移動しブロードウェイ地下の韓国系激安メガネ店でメガネ
購入、屈折率1.67の薄型レンズ使って11,500円は安い。し
かし問題は、つい流行に乗って細形のメタルフレームを購入した
ことだ。メガネが細けりゃ細いほど、相対的に顔がデカく見えると
いうことに気づかなかった俺がアホウである。ただでさえジャイア
ントなマイヘッド、細めのメガネかけると頭の存在感がそれ以外
の俺の部分をすべて消し去りそうな勢いである。

 とりあえず買ったメガネかけて新宿へ出、三平ストア見るがめ
ぼしいものなし。そのまま小田急に乗って町田へと帰る。で、町
田のドンキをふらふらとしてたら、ありましたよ今日のベストヒット。
ペットボトルのお茶なんだが、◇形に茶の文字、静岡産茶葉使
用と小さく明記した横に大きく商品名が。その名も「彦左衛門」。
伊右衛門じゃなく彦左衛門なのだ。だれなんだ彦左衛門。メーカ
ー名見ると聞いたことのないメーカーで、価格も500mlで68円。
ドンキホーテはたまにこういう商品をぶちかましてくれるから楽し
い。

 これも商品名決定会議で、大学の商学部でマーケティングを専
攻したような営業部員が、「この商品のコンセプトはうんにゃらか
んにゃら、よって『彦左衛門』というネーミングがベストであろうか
と」なんてことを、パワーポイント使いつつ役員に説明した結果な
のだろうな。その場面をイマジンすると微苦笑を禁じえない。まあ
アレだ、ペットボトルの飲み物ならおいしくて安けりゃたぶん売れ
るし。まさか「サントリーのシェアを食ってやろう」とか思ってるわ
けでもなかろうし。

 しかしドンキホーテの食品売り場は侮りがたい。数ヶ月にいっぺ
んは必ず立ち寄るべき場所なんだろうな。