ラーメンと焼きそば

2005-02-18 22:39:07 | Weblog
例えばここにラーメンを食べたがってる子供がいる
とする。もう食べたくて食べたくて、頭の中はラーメ
ン一色。どんぶりの渦巻模様が頭の中でぐるぐる回り、
口の中はツバキでいっぱい、という状態だったとする。

 で、家へ帰って夕飯の時間、ああラーメンが食べた
いなあと心底思ってるとこへ、喜色満面の母親が「ほ
ら、お前の食べたがってたやつ」と言いつつ盆を差し
出す。そこに載っているのは豪華海鮮焼きそば。

 ありゃと思うが母親の顔を見ると、「ほんとはラー
メンが食べたいんだ」とはなかなか言えるものじゃな
い。「あ。これ食べたかったんだ」とこころにもない
嘘をつき、おいしそうに口にする。たいして食べたく
もない海鮮焼きそばを。

 母親の方はすっかり騙され、いかにお前のことを思
っているか、いかに苦労してこの焼きそばを作ったか、
微にいり細にいりとうとうと語る。子供の方は、微笑
浮かべつつじっと耳を傾けるしかない。

 これが一度や二度ならまだしも、五回も六回も続い
たならば、正直本当にキツイ。マジでキツイ。

 また別の、ラーメンを食べたがってる子供がいると
する。同じように「ラーメンが食べたいなぁ」と思い
つつ家へ帰る。母親が差し出したのは具もなにもない
かけうどん。

 しかしここの母親は、「お前がラーメンを食べたい
のはわかっている。だがうちにはうちの事情があって、
きょうラーメンを食べさせることはできない。だから
これで我慢してくれ」と、言葉でもいい態度でもいい、
子供に表現したとする。

 普通の子供であるならば、舌打ちくらいはするかもし
れんが、この事実をちゃんと受け止めるだろう。たしか
にラーメンは食べたいが、それは別の日に食べればよい。
なによりも、かけうどんはかけうどんでそこそこおいし
い。

 だがなにも知らない他人の目から見れば、豪華海鮮や
きそばとかけうどん、前者のほうが優遇されてるように
見える。かわいがられているように見える。真実はぜんぜ
ん違うのに。

 いやいや海鮮焼きそばを食べ続けているうち、「ラー
メン食べたい」というほんとの気持ちさえ忘れてしまう
かもしれない。だが意識の表面からそれが消えても、こ
ころの奥底では覚えている。だから、うまそうにラーメ
ンを食べてる人間見ると、なぜかムカついてしようがな
い。

 最近の少年犯罪の事象を見るたびに、こんなたとえ話
が頭に浮かんでくるのだが。まんざらはずれてもないよ
な気がする。