金沢移住顛末記 - 晩酌

危険な賭けではあったものの、店は期待に応えてくれました。アルビスが二夜連続の登場です。
スーパーなど皆同じかというとそうでもありません。二回訪ねただけとはいえ、アルビスの実力のほどを次第に認識しつつあります。買い出しのために新居を出たのは七時過ぎ、刺身がほとんど切れていることもあり得る時間帯です。しかし、品揃えは昨日と同様潤沢で、見切りの値引きに与ることもできました。それに加えてありがたいのは盛り合わせです。独酌で消費できる量には限度があります。開封した日に残さずいただく前提なら、惣菜は選ぶとしても二、三品、漬物も一種に絞らざるを得ません。それだけに、野菜の煮物とおひたしが七種、漬物が五種、それぞれ綺麗に盛りつけられた一皿は渡りに船と感じました。正札でも300円少々という値段なら、見切り品より価値があります。加工食品につい頼りがちな単身者にも、野菜を摂ってもらいたいという心遣いの表れでしょうか。真相のほどはともかく助かります。
鱒寿司も手頃な値段だったため、明日の朝食も兼ねるつもりで押さえました。地物の刺身の充実ぶりでは大和に一歩譲るものの、惣菜を含む総合点では甲乙つけがたいものがあります。時と場合に応じて使い分けるのも一案でしょう。

笹の誉
ぶり刺身
炙りさば刺身
夏野菜盛合せ
つけもの盛合せ
鱒すし

金沢移住顛末記 - お値段以上

主要な家財はおおむね揃ってきたものの、細かな環境整備はなおも必要です。量販店で買った小物が敷物の他に二つあります。小窓の日除けに使う簾と、竹マットなる商品です。
新生活を始めるにあたり、最小限のものだけ揃え、足りないものが出てきた場合はその都度現地で調達するという方針を採りました。前者についてはおおむね出揃い、土壇場の一悶着で受け取り損ねた品物だけが例外です。後者についてもそれほど多いわけではなく、全て挙げても籠、タオル掛け、敷物、簾しかありません。籠は二千円ほど、タオル掛けも千円少々したものの、あとはいずれも数百円の少額品です。いずれについても、それなくして生活に支障するほどの代物ではありません。いわゆるミニマリストなら、持たずに済ませているでしょう。しかし、たかが数百円にもかかわらず、効用は意外に大きいものがあります。事務用の机と椅子しかなかった部屋に、和風の小物をいくつか加えたことにより、多少なりとも趣が出てきたからです。
掘り出し物というべきは、ニトリで買った竹マットです。簾のような風合いもさることながら、机と同じ奥行に閃いて衝動買いをしたところ、その閃きは的中しました。業務用の機材を広げるにも、晩酌するにもほどよい領域が確保され、無味乾燥な事務机がその部分だけ小洒落たように見えるのです。裏面にウレタンのマットが縫い合わされているのは、滑りにくいようにするための工夫でしょう。一見すると大きめのランチョンマットのようであっても、周到に工夫されているのが分かります。見切りの値引きで500円足らずは安い買い物でした。まさに「お値段以上」です。

金沢移住顛末記 - 双葉湯

自炊らしきことを全くしないのは居候をしていたときと同様ながら、買い出しという新たな日課ができました。どのみち買い出しするならば、お昼か風呂のついでに済ませられれば一石二鳥です。今日は後者となりました。
北陸の銭湯における特徴の一つとして、白昼からの営業時間が挙げられます。都内で最も多いのは15時からの営業で、それより早く開くところは十軒のうち一軒にもなりません。しかし、金沢市内についていうと、14時時までには全て開き、午前中から入れるところもいくつかあります。本日訪ねた双葉湯は、13時を基本としつつも日祝日はさらに一時間繰り上がるという仕組みです。切妻屋根は昨日訪ねた百乃湯のそれと同様ながら、図体が民家に比べてかなり大きく、遠目には民宿か商人宿のようにも見えます。玄関を潜った先の受付も、どことなく宿泊施設然としており、働き盛りの店主がそこに立っていました。建物は比較的近年に改築されたと見受けられ、どこもかしこもこざっぱりして清潔です。網代天井と畳敷きの床を奢った脱衣所を始め、伝統的な和風建築の技法を生かした質実剛健たる造りは、清水の定宿福住を彷彿させるものがあります。
浴場の配置は一風変わっており、左側の仕切り壁に沿って洗い場を並べ、突き当たりに銭湯絵を置く基本形を採りつつも、中央にある洗い場は横方向に配置され、浴槽は突き当たりと右の二ヶ所に分かれます。後者は窓に接しており、外側には石灯籠と狸を置いた坪庭があって、露天風呂からその坪庭を鑑賞できるという仕掛けです。簡素を宗としながらも、さりげない遊び心を織り交ぜるのは天晴れでした。

★双葉湯
金沢市駅西新町1-14-24
076-261-2711
1300PM-2330PM(日祝日 1200PM- )
入浴料460円

金沢移住顛末記 - 加登長野町店

一時続いた秋霖は去り、厳しい残暑が復活するかと思いきや、昨日に続き辛うじて耐え得る暑さにとどまっています。自転車を走らせ野町へやってきました。
下調べした段階で判明していたこととはいえ、半月ほど生活してみて再認識させられるのは大衆食堂の多さです。ここでいう大衆食堂とは、麺類、丼、洋食、中華を幅広く揃えた店を指しています。同様の食堂が多いというと沖縄ですが、あちらとの比較においても大差はないかもしれません。その大衆食堂の中でも一大勢力をなすのが、本日訪ねた加登長です。主役が和か中かという違いこそあるものの、一昨日訪ねたチューとの比較で共通点が二つあります。暖簾分けを通じて広まり、店毎に品書きも味も違うところと、店構え自体に強く訴えるものがないことです。それらのことから窺われるのは、常連のため地道に商売することを是とする価値観です。常連客が日参しても飽きないように様々な品を揃えるところに真価があり、それがお客に支持されて、大衆食堂という業態が健在ぶりを今なお発揮しているのかもしれません。たかが半月とはいえども、当地で生活したからこその発見です。

★加登長野町店
金沢市野町2-5-7
076-241-3530
1100AM-1915PM
日曜定休
チャーシューメン730円

金沢移住顛末記 - 本格欧風ビーフカレー

自転車と車を使えるようになり、朝食を外でいただくことも可能となりました。しかし、月曜は早朝に始業せざるを得ない事情があります。前日のうちに押さえておいた朝食は、セブンイレブンの本格欧風ビーフカレーです。
親子丼が400円台前半なのに対して、こちらは税込538円です。すしべんのカレーが510円だったことを考えると、二日続けてあちらにするのにもやぶさかではありませんでした。しかし、今日については手早く済ませられることの価値が加わってきます。それに対して差額の分を払ったと考えるなら納得です。

金沢移住顛末記 - 十七日目

おはようございます。昨夜はおぼろげな満月が昇っていくのを眺めながらの晩酌でした。この月が再び満ちれば十五夜です。稲穂も次第に実りつつあり、残暑の中でも秋到来を実感する場面が次第に増えてきました。
土壇場の一悶着で新生活は三週目に突入しました。ただし元々今週末にあちらで野暮用があるため、延ばすとしてもそこまでです。週の半ばに休みをもらって移動するのも一案ながら、週末まで延びる可能性は十分あると思われます。