日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

金沢移住顛末記 - まるたかや

2021-08-07 22:06:00 | B級グルメ
遅い時間に始めたことにより、はしごはしないつもりでした。しかし、久々に再訪したにもかかわらず、一見だけでは物足りないという心情は残ります。その結果、〆の品だけ他店でいただく折衷案に落ち着きました。飛び込んだのは「まるたかや」です。
このblog登場するのは二度目ですが、実は去年も行っています。ただし、かつて訪ねた本店ではなく、駅前にできた支店です。もう一つの候補としていたのは「ひげ」で、最初はあちらへ行くつもりでした。ラーメンに決定的な優劣まではないものの、酔客御用達の雰囲気が自分にはお誂え向きなのです。しかるに逆となったのは、偏に蒸し暑さのためでした。短時間歩くだけでも難儀する状況で、わずかとはいえ近かったこちらを選んだのが真相です。しかし、二の次にしたはずだった味、雰囲気も意外に悪くありません。
コの字カウンターを中心にした明るく現代的な店内は一風堂を彷彿とさせ、何よりラーメンが秀逸です。陳腐な言葉を借りれば昔ながらの中華そばであり、それだけに捉えどころはなかったものの、回数を重ねるにつれて特徴が徐々に掴めてきました。甘辛いカエシの風味を効かせたスープは、米沢の金ちゃんラーメン、京都の第一旭といったところに通ずる、自身最も好みとする部類です。それらとの比較における特徴として、豚骨あるいは鶏ガラに由来するだろうわずかな臭みが感じられます。ただし、それを臭いと感じるわけではありません。食欲を適度にそそるという点では、ニンニクの臭いに近いともいえます。滑らかな喉越しの縮れ麺も上々。あやふやな記憶を超える一杯でした。

まるたかや 富山駅前店
富山市桜町2-4-2 MELビル1階
076-471-8136
1130AM-100AM(金曜土曜 -300AM)
月曜定休
ラーメン794円
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金沢移住顛末記 - 親爺

2021-08-07 20:58:02 | 居酒屋
富山を最後に訪ねたのは去年の秋、北海道へ渡る前日のことでした。その時点では冬場に再訪するつもりだったにもかかわらず、物騒なご時世が災いして、冬どころか春も機会を逃しました。立秋を迎えたことで夏も過ぎ、一年近い空白ができてしまったことになります。それだけの間が空いた後ならここしかありません。「親爺」の暖簾をくぐります。

前回は多少なりとも事態が沈静化し、旅することがお上によってむしろ奨励されていました。しかしながら、当店に平時の活気が戻らないのは気になりました。残念ながらその傾向は変わっておらず、今回も先客はわずかに三人のみ。席はどこでも選び放題という状況で、若主人が立つ板場の前の特等席に収まりました。
事態がますます緊迫する中とはいえども、それは報道機関が煽っているだけともいえます。中央道の交通量は平時の週末並みでした。海浜公園キャンプ場も大所帯のキャンパー達で盛況でした。しかるに酒場の賑わいだけが戻らないのは、長時間にわたる飲み食いを槍玉に挙げる風潮が蔓延し、お客の帰りが早まっているからでしょうか。広くはないカウンターだけの一階席と、大人数での宴会を前提にした二階の座敷という造りも、このご時世においては仇となってしまったのかもしれません。お門違いな政策に、理路整然と異議を唱える人々がようやく現れ始めたのがせめてもの救いではありますが、受難の時代は続きそうです。

教祖が創った言葉の一つに「居酒屋密度」というものがあります。その心は、街の規模に比して居酒屋が充実しているかどうかということでしょう。数値として把握できるわけではないものの、高い、低いの区別はできます。高い県として教祖が例示していたところの一つが富山であり、個人的にもその見解には大いに共感するところです。しかしながら、年に数度の機会では、立ち寄れる店の数にも限度があり、富山では専ら教祖の推奨店に頼りきっていました。金沢に拠点を構えるこれからは、その現状が打開されるかもしれません。
両都市間の距離は60km少々、つまり東京から横須賀へ行くのと大差がありません。しかも、高速バスが頻発しており、そのバスが出る香林坊の停留所は新居から徒歩10分弱です。業務を早く切り上げられれば、平日でも富山に行けることになります。そうなれば、かねてから目に留まっていた店に足を運んでみるのはもちろんのこと、この店との付き合い方も変わるでしょう。年に数度の機会なら、何はさておき豪勢な刺し盛りをいただきたくなるのが人情です。しかし、それはいかにも余所者のすることともいえます。曲がりなりにも北陸に住む者として、あるべき形を再考してみたいものです。

親爺
富山市桜町2-1-17
076-431-4415
1600PM-2300PM
日祝日定休

黒ラベル
幻の瀧
医王淡雪
三笑楽
突き出し(きゅうり酢の物)
岩もずく
あら煮
わさび菜漬け
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金沢移住顛末記 - 前泊

2021-08-07 20:43:32 | 北陸
420km少々走って富山に着きました。こうも暑いと投宿後は何を置いても一風呂浴びずにいられません。ようやくさっぱりしたところです。
物件の引き渡しにあたって富山に前泊することは、比較的早い段階で決めていました。経験上、一日で走りきれる限界が富山だったのもさることながら、これから生活する場所にわざわざ宿泊するよりは、違うところの方がいいという考えによります。ただし、これらの事情がなかったとしても、結果として今回は富山以外にあり得ませんでした。酒を一切出すなという気違いじみた御触れが下され、金沢市内の飲食店が休業を余儀なくされてしまったからです。富山でも、平時でさえ軒並み早い店仕舞いが、物騒なご時世によりさらに早まるかもしれません。時間の猶予は全くないため、何はさておき行ってきます。
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金沢移住顛末記 - 糸合シ由

2021-08-07 19:13:29 | 北陸
金沢までは500km弱、無給油で十分走れる範囲にあります。ただし、あちらに着けばどのみち給油が必要です。入善の宇佐美で補給を済ませます。
無闇な「自粛」に与するつもりはないものの、暑さを嫌う自分にとって、夏は稼働が落ちる時期です。100km以上まとめて走るということになると、北海道から戻った五月以来となります。その間燃費は大幅に落ち、車載のコンピュータの計算では5km台でした。しかし、今日は一転して好調です。出発から400km近く走ったにもかかわらず、燃料は半分強の消費にとどまりました。この車が本領が長距離走行で本領を発揮するという、分かり切った事実を改めて認識させられる結果です。
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金沢移住顛末記 - 海浜公園キャンプ場

2021-08-07 18:51:35 | 北陸
親不知の天険を越えてしばらく海岸線を走ると、富山平野が広がります。関東から通い続けた自分にとっては、北陸へ来たと実感する光景でもあります。その地点にあるのが仲間内での通称「北陸本線キャンプ場」こと海浜公園キャンプ場です。
日の入りを過ぎ、周辺は暗くなりつつあるものの、蒸し暑さだけは相変わらずです。日射しの熱さがなくなる結果、湿度の高さがさらに強調される点では、むしろ厄介ともいえます。しかし、この条件でキャンプを張る物好きがいるのだろうかと思いきや、大型のテントがいくつも張られていました。数にすればたかが知れてはいるものの、キャンプ場の規模を思えば大盛況です。夏休みの連休とはいえ、この暑さの中でよくやるものだと思います。
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金沢移住顛末記 - 親不知

2021-08-07 18:24:26 | 甲信越
糸魚川からは8号線をまっすぐ下って行くつもりでした。しかし事情が変わりました。雲間からお誂え向きの夕日が射してきたのです。その状況で景勝地が現れるとは出来過ぎています。親不知の展望台から夕景をしばし眺めてきたところです。
気温はさらに2度下がり、28度となりました。しかし、温度計さえ見なければ全くそうとは思えません。西の空が暮れて行くのを見届けようにも、屋外に立ち続けるのは到底無理な暑さです。北陸で眺めた幾多の夕景と比べても、今日の眺めがそこまで秀でているわけではありません。手短に切り上げ車内へ戻りました。しかし、北陸へ移り住むべく車を走らせ、初めて見る景色がこの夕景かと思うと、感慨深いものがあります。永く印象に刻まれそうな光景でした。
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金沢移住顛末記 - 頸城大野駅

2021-08-07 17:53:11 | 甲信越
その後はまっすぐ走って県境を越えました。糸魚川の市街を短絡して8号線を目指しますが、その前に頸城大野駅を定点観察していきます。
安曇野で34度に達した気温は若干下がり、現在地では30度を切っています。しかし、数字とは逆に体感温度は上がりました。立ち止まっているだけでも汗が流れてくるのは、取りも直さず湿度が高いということでもあります。昨日の都内と比べても大差ない、自分にとっては限界を超えた暑さです。
駅舎は二重窓になっており、近くには除雪車もあります。つまり暖地か寒冷地かでいえば後者ということです。しかるにかくも暑いのは、海流か何かの影響なのでしょうか。鉛色の空に閉ざされる冬の気候については覚悟していたものの、夏の暑さは盲点でした。今夜も難儀しそうです。
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金沢移住顛末記 - 藤森酒店

2021-08-07 16:43:39 | 酒屋
出発からの走行距離が300kmとなったところで次なる目的地に着きました。久々に藤森酒店を訪ねます。
海ノ口の駅舎の個性は若干希薄と申しましたが、ここの店舗は個性的です。菱形をした打ちっ放しのファサードから、屋根の頂点が奥へ向かってそそり立つような外観は、大胆にいうと鯱鉾のようでもあります。誰が、どのような着想によって設計したのか、由来が気になる建物です。

藤森酒店
北安曇郡白馬村大字北城12867-289
0261-72-2018
800AM-1900PM
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金沢移住顛末記 - 海ノ口駅

2021-08-07 15:59:17 | 甲信越
松本を出た頃から日が陰りがちとなり、いつしか曇り空に変わりました。とはいえ、昨日までの酷暑と出発前の予報を思えば十分上出来です。この後は寄り道を控えて距離を稼ぎますが、沿線を明るいうちに行くのは久々でもあります。貴重な機会を生かすべく、海ノ口駅に立ち寄りました。
東日本管内の木造駅舎は片っ端から取り壊され、無人駅に限っていうと今やほとんど残っていません。そのような中、奇跡的に残った中の一つがこちらです。実質五年ぶりに再訪して思うのは、「名駅舎必ずしも名建築ならず」ということです。自分なりに名建築を定義すると、伝統的な様式を取り入れ、駅舎としての実用性を満たしつつ、洒落心、遊び心を兼ね備えた駅ということになります。かような観点からすると、沿線では有明、安曇追分、信濃大町の各駅が勝り、ここの駅舎の個性は若干希薄です。しかし、ありふれたようにも見える佇まいを、色使いの巧みさで補っているところに真骨頂があります。屋根の上にある雪止めが佇まいを一層引き立て、ホームの向こうに広がる木崎湖の眺めも上々。名建築とはいい難くとも、紛うかたなき名駅舎です。
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金沢移住顛末記 - 早春賦の碑

2021-08-07 14:47:50 | 甲信越
松本市街を後に安曇野を北上中です。続いては早春賦の碑に立ち寄ります。
前回訪ねたのは二月、曲に唄われた早春でした。巡り巡って今回は対極にある八月です。春は名のみと唄われた情景こそ真骨頂とみなすなら、全くの季節外れといってもよいでしょう。その一方で、来てよかったとも思います。今日が立秋だからです。金沢との間を行き来する都度立ち寄れば、秋、冬を経て再び春を迎えるまでを、そのまま見届けられるということになります。まず一年と力説してきましたが、春までの移り変わりはとりわけ楽しみです。
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金沢移住顛末記 - 北門大井戸

2021-08-07 13:36:56 | 甲信越
忘れかけていた感覚を、久々に取り戻すことができました。続いては北門大井戸を訪ねます。
山の日が創設された五年前に北信越を旅してみて、暑さを理由に敬遠していたこの時期の意外なよさに気付きました。その一つが冷たい水で喉を潤す爽快感です。湧水の豊富な北信越を旅したからこその収穫でもありました。しかるにその後は甲子園巡礼の旅が恒例化し、昨年も足止めされて一夏を棒に振りました。長い空白の時を経て、久々に甦ってきた感覚です。
ただし、全く同じ感覚というわけでもなく、感じ方が若干ながら変わったことに気付きました。爽快さとともに感じるのは、内なる力が漲るような感覚です。陳腐な言葉を借りるとすれば、生き返るような感覚とでも申しましょうか。自身の生命力が枯れつつある結果、そのような感覚が顕著になったのかもしれません。そう思うと一抹の切なさはあるものの、限られた残り時間をしみじみ感じ取るための、あるべき変化と受け止めます。
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金沢移住顛末記 - 山崎精一商店

2021-08-07 13:21:31 | 酒屋
「メーヤウ」を優先するため一軒だけ素通りせざるを得なかったものの、松本で寄りたい酒屋は三軒ありました。トリを飾るのは山崎精一商店です。
当店を訪ねたときのささやかな楽しみとして、「やまざき便り」と題するリーフレットがあります。横文字で言い表すより壁新聞とでも呼びたい、色付きのA4用紙を二つ折りにした月替わりの便りです。今や貴重な手書きの便りの表紙には、Vol98の文字があります。金沢との間を行き来する生活が軌道に乗れば、行きか帰りのいずれかを松本経由にするのは造作もありません。記念すべき100号を迎えるだろう再来月、再訪するのも一興です。

山崎精一商店
松本市元町1-8-17
0263-32-0020
平日900AM-1900PM
日祝日1000AM-1800PM
火曜定休
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金沢移住顛末記 - 護国神社

2021-08-07 12:46:38 | 甲信越
松本はあくまで通過点に過ぎません。適宜端折って先を急ぎますが、経路上ほぼ無駄なく寄れる場所なら話は違ってきます。護国神社を訪ねました。
石燈籠の脇に紫陽花がやや嗄れながらも咲いています。寒冷地ほど開花も遅くなって行くのは桜と同様ながら、長くとも二月足らずの違いしかない桜と違って、紫陽花の開花時期には歴然とした違いが出ます。今頃は北海道が盛りでしょうか。北国への憧憬が募る一幕です。
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金沢移住顛末記 - メーヤウ

2021-08-07 12:25:36 | B級グルメ
練習試合の見学に小一時間を費やしたのは、結果として理に適っていました。酒屋に二軒寄ったところで「メーヤウ」が開く11時半になったからです。開店と同時に駐車場が埋まってしまうことはよくあります。わずかに早いのを承知の上で現地に乗り込むと、自分が一番乗りでした。店先に着いたのは開店の三分前です。既に明かりはついており、中には早くも先客が。しかし、よくよく見ると店長格のおばちゃんを含む三人組でした。もう入れるかとたずねたところ制止されたため外で待ち、定刻になると同時に通されるという顛末です。

メーヤウ信大前店
松本市桐2-1-25
0263-35-6962
1130AM-2030PM(LO)
木曜定休
カリー二種類セット880円
ライスおかわり100円
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金沢移住顛末記 - 三代澤酒店

2021-08-07 11:18:50 | 酒屋
松本で愛用してきた酒屋といえば中島酒店、山崎精一商店ですが、隠れた名店もあります。続いて立ち寄るのは三代澤酒店です。
日曜定休なのが響き、訪ねる頻度は大きく落ちる当店ですが、久々に訪ねてみると名店ぶりを再認識させられました。まず、古い商家の造りを残しつつ改装された瀟洒な店内が秀逸です。加えて品揃えも充実し、四合瓶だけ比べれば中島酒店と比べてもほとんど遜色ありません。その中には初見の酒も複数あります。笹の誉なる松本の酒を選びました。

★三代澤酒店
松本市大手4-9-11
0263-32-1525
930AM-1930PM
日祝日定休
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