日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 22:23:17 | 居酒屋
遠回りになるのとマンネリ化しているのを承知で弘前に乗り込んだのは、少なくとも半分はこの店で三十路最後の盃を傾けるためでした。立ち寄るのはもちろん「はすや」です。
この店に来たとき、必ずといっていいほど語るのがお通しと刺盛りのことですが、本日のお通しは穴子と茄子の揚げ出しでした。つまり、この店で最も多く経験した、汁っぽくて温かいお通しです。以前、温かいものが出るのは冬と春に訪ねるからで、季節が進めばお通しも変わるのではないかと仮説を立てました。果たせるかな前回訪ねたときにはそばもやしのおひたしが出て、これからは夏らしいものが増えてくると予想していただけに、温かいお通しは少々意外でした。とはいえ、別に冷たいものが食べたかったわけではなく、あくまで意表を突く展開だったというだけのことです。しかもよくよく見れば、一律に同じものを出しているわけではなく、ある客には蓴菜を、ある客には山かけを出したりしていることに気付きます。いずれにしても、それだけで一品料理として成立するお通しは、毎度のことながら秀逸というほかありません。
食材に関しては、前回訪ねたときと比べても目立った違いはないのに対して、明らかに違ってきたのが酒です。冷蔵庫には「夏吟醸」などと称する、見た目にも涼しげな青い瓶が何本も並んで、季節は名実ともに春から夏へ移り変わったのだと実感します。地元弘前の「豊盃」にもまさにその手の品があったため、やや未知数な部分はありながらも一杯目はこちらを注文。とかくこの手の酒というと、呑みやすさばかりを追求して旨味を抜いた軽薄な酒が多い中、こちらは旨味を残してさわやかさを際立せた夏らしい一品でした。
「三連星」なる聞き慣れない滋賀の地酒に続いては「飛露喜」を選択。もちろん津軽へ来てまで月並みな選択をしたわけではありません。米沢の「河岸や」の店主が、「飛露喜」の燗酒を絶賛していたのを思い出し、一度試してみるかと思い立った次第です。燗酒で最も威力を発揮する酒かというと、特にそのようには思わないものの、当然ながら冷酒のときとは味わいも大きく変わります。この燗酒をあおりつつ小鍋をつつき、三十路最後の晩餐は終了と相成りました。

はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400PM(日曜定休)

豊盃・三連星・飛露喜
お通し(穴子と茄子の揚げ出し)
刺盛り七点
焼竹の子
ささみたら子焼
油坊主のねぎま風鍋
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 22:06:15 | 東北
弘前に着きました。八戸から170kmを走破し、出発からの走行距離は3200kmを超えています。あと700km弱で通算13万kmに到達するため、明日八甲田に寄って帰るとすれば、帰着までに節目を迎えるのは確実でしょう。全行程を通じて4000kmを超える可能性も出てきました。
それにしても、市街に入ってなじみの光景が広がるにつれ、なぜ弘前に戻ってきたのかと我に返りました。函館へ渡る直前、冬までの別れというつもりで散々名残を惜しんだはずが、のこのこと舞い戻ってきたのですから、これでは示しがつきません。バースデーイヴという大義名分がなければ、今日は青森に泊まっていたのでしょうか。それともなんだかんだ理由をつけて弘前に泊まっていたのでしょうか。
とはいえ、初夏の津軽を訪ねるのは初めてです。わずか三週間の違いとはいえ、そのときと今回で車窓が全く違っていたことからすれば、肌で感じる季節感の違いはなおさらでしょう。そして、六月などという中途半端な時期に津軽を訪ねることなど、この先あるかどうかも分かりません。図らずも巡ってきた機会を素直に楽しみたいと思っています。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 21:23:46 | 温泉
七戸から394号線をひたすら進み、黒石から102号線に入りました。高速道路も顔負けの高規格道路ですが、こんな場所にも温泉が点在するのは津軽特有の光景です。本日はその名も「つがる温泉」に立ち寄ります。
建屋と内装はその名の通り直截にして簡素で、直線上に並んだ洗い場と突き当たりの大きな浴槽は町中の銭湯のようです。白い大理石で縁取られた浴槽には、かすかに油臭が漂う単純泉が掛け流され、轟々とあふれ出て床を伝います。窓の外には露天の岩風呂もあるとはいえ、ともかくこの豪快な湯量に圧倒される温泉でした。

つがる温泉
平川市八幡崎松橋20-2
0172-57-4511
400AM-2200PM
入浴料350円
泉質 アルカリ性単純泉
泉温 47.5度
pH 8.6
湧出量 400l/min
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 19:12:29 | 東北
八甲田で花見をするつもりが、前座に過ぎない七戸で日が暮れてしまいました。この後は弘前まで一気に走って投宿します。大型連休で三泊、その次の週に一泊、さらに翌週にも一泊して、今回さらにもう一泊するというのですから、我ながら飽きずによくやるものです。
明日八甲田へ行くことを考えると、最も順当なのは青森泊でしょう。実際のところ、今回は趣向を変えて青森に泊まろうかとも考えはしました。しかし、青森経由で八甲田に行っても、弘前に泊まってから八甲田まで引き返しても、距離的にはざっと50km程度の違いしかありません。そして、他人様には実にどうでもよいことなのですが、明日が誕生日、それも不惑の節目なのです。三十路最後の夜をどこで過ごすかと考えた場合、なじみの薄い青森よりも、慣れ親しんだ弘前を選びたかったとでも申しましょうか。まさに馬鹿の一つ覚えとはいえ、決めた以上はこれで納得しています。
当然ながら沿道には温泉が豊富にあるため、どこかで一風呂浴びてから弘前に向かいます。到着は十時前後になりそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 18:59:58 | 東北
昼の部の最後を飾るのは、南部縦貫鉄道の旧七戸駅です。その名の通り南部地方を縦貫するという志のもとに敷かれたこの鉄路も、七戸まで延びたところであえなく頓挫し、生きた化石のようなレールバスが細々と走るだけというのが往年の姿でした。一日わずか五往復というあまりの便の悪さに、自分自身乗車する機会がないまま廃止を迎えてしまった路線の一つでもあります。
その終着駅を今回初めて訪ねると、木造モルタル二階建ての駅舎は安普請のようにも見えながら、間口は広くて背丈も高く、見た目以上に立派な建物であることが分かります。駅舎の裏手にホームとレールがそのまま残り、腕木式の信号機に防雪林など点景まで往時のままです。現役当時に訪ねることはかなわなかったものの、かつての駅が十年一日のごとく残っていたのは幸いでした。
実は、裏手の車庫にレールバスが眠っており、四時までなら公開されているところでした。時間が許せば明日再訪するのもよさそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 18:12:23 | 東北
日没が迫ってきたところで七戸十和田の駅を訪ねます。ガラス張りの箱をいくつも並べた近代的な、悪くいえば味気のない駅舎は新青森駅によく似ています。過去在来線が通ったこともなかった七戸に置かれたこの駅ですが、国道4号が近くを通り、駅前にはイオンが建ち、レンタカーの営業所もいくつか並んで、列車からは結構な数の乗客が降りてきます。デイリーヤマザキ以外に何もなかった安中榛名に比べれば、この駅は意外なほどに賑やかです。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 17:26:06 | 東北
乙供駅で青い森鉄道の駅舎めぐりは終了。一見するとごくありふれた木造駅舎のようでありながら、屋根の上の雪止めと事務室の二重窓、待合室の窓から張り出すストーブの煙突など、随所に感じられる北国らしさが秀逸です。こんな駅舎も今となっては貴重になりました。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 16:34:36 | 東北
時刻は四時を大きく回り、今から八甲田へ行くのも現実的ではなくなってきました。先送りが濃厚となったところで上北町駅を訪ねます。小さいながらも町の中心だけあり、駅舎の間口の広さと高さはなかなかのものです。上屋を兼ねたホーム側の庇も実に立派で、大幹線の駅の面目躍如といった感があります。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 16:18:03 | 東北
続いて訪ねるのは小川原駅です。国鉄末期に建て替えられた鉄筋コンクリートの小さな駅舎には何の面白味もないものの、駅のすぐそばにある立派な鉄道防雪林が南部地方ならではです。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 15:49:11 | 東北
三沢駅に着きました。架線が取り払われただけでレールとホームが残っているのはもちろんのこと、「電車・バスのりば」と大書きされた木造モルタルの駅舎、さらにはその中の駅そばまでが、鉄道ありし頃と何一つ変わることなく残っていたのは意外でした。いつまで残るかは未知数ながら、古きよき時代の生き証人として末永く健在であってほしいものだと思います。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 15:14:40 | 東北
三沢駅への道すがら、十和田観光電鉄の廃線が姿を現しました。廃止から一年が過ぎた今、線路の脇には取り払われた架線柱が積み上げられており、残ったレールとホームも遅かれ早かれ運命を共にするのかもしれません。かつての東北本線の駅が、「青い森鉄道」などという軽薄な名に変えられながらも今なお活躍しているのを目にした後だけに、もう二度と列車が来ないという現実がなおさら切なく感じられてくるようです。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 14:43:03 | 東北
続いては向山駅です。鉄筋コンクリートの駅舎は素っ気ないようにも見えながら、張り出した庇と大きな窓は個性的。かつての駅事務室が鉄道模型のレイアウトや鉄道部品を並べた「向山駅ミュージアム」として開放されており、鉄道好きには一見の価値があります。まだ三駅訪ねただけとはいえ、一つ一つの駅がJRの頃より大切に扱われているのは喜ばしいことです。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 14:19:29 | 東北
続いて訪ねるのはお隣の下田駅です。陸奥市川の個性的な駅舎に対し、こちらはてらいのない木造駅舎で、やや狭めの間口と建物を一周する庇がさりげなく個性を主張しています。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 13:51:21 | 東北
例によって駅を定点観測しながら進みます。まずは八戸の隣の陸奥市川です。
背の高い間口から奥へ向かってまっすぐ天井が下りるという造りは、奥羽本線の神町駅にも通じる個性的なもので、ホーム側の庇の造りなどもこれまた個性的です。無人駅ながらも待合室はこぎれいに掃き清められ、この駅舎が大切にされていることがありありと伝わってきます。これがJRの駅だったとすれば、少しでも老朽化しようものなら安普請の小さな待合室に建て替えられていたのではないでしょうか。この駅舎が守られたという点に関する限り、新幹線の開業によりJRから切り離されたのはむしろよいことだったのかもしれません。
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東北一周花見の旅 2013Part4

2013-06-08 12:52:59 | 東北
腹ごしらえを済ませたところで本格的な活動開始です。曇っていた空が頃よく晴れてきました。若干蒸すとはいえ、都会の空気とは全く別次元の清々しさです。この天候が続いてくれれば絶好の活動日和になるでしょう。
とりあえず、この後は三沢を通って七戸まで北上し、そこから八甲田方面へ向かいます。例によって寄り道しながらの移動となるため、八甲田へ着く頃には日が暮れかけているといった事態も予想されるものの、そうなっても明日再訪すればよいことなので、特に先を急ぐつもりはありません。
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