遠回りになるのとマンネリ化しているのを承知で弘前に乗り込んだのは、少なくとも半分はこの店で三十路最後の盃を傾けるためでした。立ち寄るのはもちろん「はすや」です。
この店に来たとき、必ずといっていいほど語るのがお通しと刺盛りのことですが、本日のお通しは穴子と茄子の揚げ出しでした。つまり、この店で最も多く経験した、汁っぽくて温かいお通しです。以前、温かいものが出るのは冬と春に訪ねるからで、季節が進めばお通しも変わるのではないかと仮説を立てました。果たせるかな前回訪ねたときにはそばもやしのおひたしが出て、これからは夏らしいものが増えてくると予想していただけに、温かいお通しは少々意外でした。とはいえ、別に冷たいものが食べたかったわけではなく、あくまで意表を突く展開だったというだけのことです。しかもよくよく見れば、一律に同じものを出しているわけではなく、ある客には蓴菜を、ある客には山かけを出したりしていることに気付きます。いずれにしても、それだけで一品料理として成立するお通しは、毎度のことながら秀逸というほかありません。
食材に関しては、前回訪ねたときと比べても目立った違いはないのに対して、明らかに違ってきたのが酒です。冷蔵庫には「夏吟醸」などと称する、見た目にも涼しげな青い瓶が何本も並んで、季節は名実ともに春から夏へ移り変わったのだと実感します。地元弘前の「豊盃」にもまさにその手の品があったため、やや未知数な部分はありながらも一杯目はこちらを注文。とかくこの手の酒というと、呑みやすさばかりを追求して旨味を抜いた軽薄な酒が多い中、こちらは旨味を残してさわやかさを際立せた夏らしい一品でした。
「三連星」なる聞き慣れない滋賀の地酒に続いては「飛露喜」を選択。もちろん津軽へ来てまで月並みな選択をしたわけではありません。米沢の「河岸や」の店主が、「飛露喜」の燗酒を絶賛していたのを思い出し、一度試してみるかと思い立った次第です。燗酒で最も威力を発揮する酒かというと、特にそのようには思わないものの、当然ながら冷酒のときとは味わいも大きく変わります。この燗酒をあおりつつ小鍋をつつき、三十路最後の晩餐は終了と相成りました。
★はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400PM(日曜定休)
豊盃・三連星・飛露喜
お通し(穴子と茄子の揚げ出し)
刺盛り七点
焼竹の子
ささみたら子焼
油坊主のねぎま風鍋
この店に来たとき、必ずといっていいほど語るのがお通しと刺盛りのことですが、本日のお通しは穴子と茄子の揚げ出しでした。つまり、この店で最も多く経験した、汁っぽくて温かいお通しです。以前、温かいものが出るのは冬と春に訪ねるからで、季節が進めばお通しも変わるのではないかと仮説を立てました。果たせるかな前回訪ねたときにはそばもやしのおひたしが出て、これからは夏らしいものが増えてくると予想していただけに、温かいお通しは少々意外でした。とはいえ、別に冷たいものが食べたかったわけではなく、あくまで意表を突く展開だったというだけのことです。しかもよくよく見れば、一律に同じものを出しているわけではなく、ある客には蓴菜を、ある客には山かけを出したりしていることに気付きます。いずれにしても、それだけで一品料理として成立するお通しは、毎度のことながら秀逸というほかありません。
食材に関しては、前回訪ねたときと比べても目立った違いはないのに対して、明らかに違ってきたのが酒です。冷蔵庫には「夏吟醸」などと称する、見た目にも涼しげな青い瓶が何本も並んで、季節は名実ともに春から夏へ移り変わったのだと実感します。地元弘前の「豊盃」にもまさにその手の品があったため、やや未知数な部分はありながらも一杯目はこちらを注文。とかくこの手の酒というと、呑みやすさばかりを追求して旨味を抜いた軽薄な酒が多い中、こちらは旨味を残してさわやかさを際立せた夏らしい一品でした。
「三連星」なる聞き慣れない滋賀の地酒に続いては「飛露喜」を選択。もちろん津軽へ来てまで月並みな選択をしたわけではありません。米沢の「河岸や」の店主が、「飛露喜」の燗酒を絶賛していたのを思い出し、一度試してみるかと思い立った次第です。燗酒で最も威力を発揮する酒かというと、特にそのようには思わないものの、当然ながら冷酒のときとは味わいも大きく変わります。この燗酒をあおりつつ小鍋をつつき、三十路最後の晩餐は終了と相成りました。
★はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400PM(日曜定休)
豊盃・三連星・飛露喜
お通し(穴子と茄子の揚げ出し)
刺盛り七点
焼竹の子
ささみたら子焼
油坊主のねぎま風鍋