居酒屋めぐりと並ぶシーズンオフの懸案の一つとして、「居酒屋本の読破」というものがあります。教祖の著作を中心に、買うだけ買ってほとんど読めていない本が多々あるので、活動再開までの間に少しでも目を通すというのがこの夏の課題になります。
グルメ雑誌の類が氾濫する世の中ですが、その手の情報には興味がありません。「居酒屋の居は居心地の居」とは教祖の言葉です。居酒屋の楽しみとは、酒と肴だけにあるのではなく、その場の空気を肌で感じることにあると思います。カウンターのしつらえ、酒器と食器の彩り、照明のトーン、店主の立ち振る舞い、地元の言葉が飛び交う賑々しさ、あるいはそれと対照的な静謐さなどを、しみじみ感じ取るところにこそ価値があるのです。そんな酒場の情景を想像できるか、自分が情報を取捨選択する基準はそこにあります。
そのような本の一つとして最近の収穫というべきものが「あまから手帖 居酒屋100選」です。関西のタウン誌の別冊として発売されたもので、過去に同誌で取り上げた居酒屋の中から100軒を厳選して紹介するというのがその内容です。一軒につき見開き2ページを使い、右側には文章を、左側には写真と地図と店舗情報を配した、シンプルで実用的な構成になっています。一軒につき3コマある写真のうち1コマにはカウンター席の様子が収められ、店の雰囲気をうかがい知ることができるようになっており、呑人のツボを押さえた周到な配慮というものが感じられます。掲載店は毎日通える「日参居酒屋」、魚介自慢の「海鮮居酒屋」、さらに「上等居酒屋」「割烹居酒屋」と4つに分けられ、気分に応じた使い分けに対応しているところも秀逸です。この一冊があれば京阪神での居酒屋探訪には不自由しないのではないかと思われるほどの完成度には感心させられます。
もっとも、これほどまでに完成された本にも一つだけ不十分なところがあります。大衆酒場と古典酒場がほとんど載っていないのです。京都の赤垣屋、大阪の明治屋、神戸の金盃森井本店など、居酒屋好きにとっては聖地といわれるほどの名店も、この本には一切登場しません。よって、この一冊だけで全てを解決することはできず、以前取り上げた「酒場の本」も手放せないものになります。こちらはむしろ大衆酒場と古典酒場の方が充実していて、掲載数は同じく多いものの、重複がそれほど多くはありません。働き盛りの店主自ら包丁を握る気鋭の店なら「居酒屋100選」、粋で洒脱な古典酒場なら「酒場の本」というのが適切な使い分けになるでしょう。
二冊の優れた書籍の出現によって、京阪神の居酒屋探訪には万全の体制で臨むことができるようになりました。唯一の問題は、年に一度や二度の訪問では到底回りきれないほどの持ち駒ができてしまったことです。有り余る持ち駒の中から、そのときの気分と状況に応じて厳選しなければなりません。今年の後半は西日本への旅が多くなります。行きと帰りは京阪神への立ち寄りが必須の行程になりそうです(ニヤリ)
グルメ雑誌の類が氾濫する世の中ですが、その手の情報には興味がありません。「居酒屋の居は居心地の居」とは教祖の言葉です。居酒屋の楽しみとは、酒と肴だけにあるのではなく、その場の空気を肌で感じることにあると思います。カウンターのしつらえ、酒器と食器の彩り、照明のトーン、店主の立ち振る舞い、地元の言葉が飛び交う賑々しさ、あるいはそれと対照的な静謐さなどを、しみじみ感じ取るところにこそ価値があるのです。そんな酒場の情景を想像できるか、自分が情報を取捨選択する基準はそこにあります。
そのような本の一つとして最近の収穫というべきものが「あまから手帖 居酒屋100選」です。関西のタウン誌の別冊として発売されたもので、過去に同誌で取り上げた居酒屋の中から100軒を厳選して紹介するというのがその内容です。一軒につき見開き2ページを使い、右側には文章を、左側には写真と地図と店舗情報を配した、シンプルで実用的な構成になっています。一軒につき3コマある写真のうち1コマにはカウンター席の様子が収められ、店の雰囲気をうかがい知ることができるようになっており、呑人のツボを押さえた周到な配慮というものが感じられます。掲載店は毎日通える「日参居酒屋」、魚介自慢の「海鮮居酒屋」、さらに「上等居酒屋」「割烹居酒屋」と4つに分けられ、気分に応じた使い分けに対応しているところも秀逸です。この一冊があれば京阪神での居酒屋探訪には不自由しないのではないかと思われるほどの完成度には感心させられます。
もっとも、これほどまでに完成された本にも一つだけ不十分なところがあります。大衆酒場と古典酒場がほとんど載っていないのです。京都の赤垣屋、大阪の明治屋、神戸の金盃森井本店など、居酒屋好きにとっては聖地といわれるほどの名店も、この本には一切登場しません。よって、この一冊だけで全てを解決することはできず、以前取り上げた「酒場の本」も手放せないものになります。こちらはむしろ大衆酒場と古典酒場の方が充実していて、掲載数は同じく多いものの、重複がそれほど多くはありません。働き盛りの店主自ら包丁を握る気鋭の店なら「居酒屋100選」、粋で洒脱な古典酒場なら「酒場の本」というのが適切な使い分けになるでしょう。
二冊の優れた書籍の出現によって、京阪神の居酒屋探訪には万全の体制で臨むことができるようになりました。唯一の問題は、年に一度や二度の訪問では到底回りきれないほどの持ち駒ができてしまったことです。有り余る持ち駒の中から、そのときの気分と状況に応じて厳選しなければなりません。今年の後半は西日本への旅が多くなります。行きと帰りは京阪神への立ち寄りが必須の行程になりそうです(ニヤリ)