「海の本屋のはなし」
神戸の元町という町に私はとても思い入れがある。
子どものころから馴染んだ町であるからか、
学生時代、元町商店街の服屋でバイトしていたからか。
私がバイトしていたころ、
すでに三ノ宮からは集客という点で少々差を付けられた場所であった。
元町商店街は西に行くほど寂しくなる。
だけど、海文堂はいつも堂々としていた。
そこにあるべくしてある本屋であり、こだわりのある、
特別な本屋というイメージ。
洋服以外に興味のない学生の私には
ちょっと敷居が高いくらいであった。
本屋を経営すること、維持することは実に難しい、
時代と天災だった、ということなのだろうけれど、
京都に丸善が帰ってきたように、
神戸に海文堂が帰ってきたらいいのにと思う。
無理か・・・無理だな。
私としては場所がちょっとくらい変わってもいいのだけれど。
元町商店街にはシャッターのおりた店は多いし。
というのは、勝手なお話だな。
事実を見つめながら、
もし戻ってきたら、と妄想にふける。
そんな私のような人がいてもいいと思いたい。
ほんと、カッコイイ、イケメンな本屋だったのですよ。
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