私はいま愛でている。モンテ・クリスト・深海という男を。このドラマを。ほんとに手放しで心底愛でているのを実感してる。一回目は全体像を見て、二回目は気になった箇所を確認して、3回目は音楽とのつながりを見ながら。
華のある整った顔、伯爵然とした口髭、姿勢・佇まい・所作の美しさ、エレガントなふるまい、醸し出される気品、語学の堪能ぶり。ディーンさんがここまで真海になってしまうとは!
ドラマが作り物の世界であることはありありなんだけど、この作品、ディーンさんという演者のイメージを巧みに利用しているよね。翻弄されているのは登場人物だけじゃないはず。
真海の出自がわからず不気味がっているのは入間だけど、アジアで活躍していた頃のディーンさんを知らず、日本の朝ドラで知ったにわかファンの私は、当時まさに入間状態だった。もちろん不気味なのではなく魅力の根源を知りたい探りたい一心だったけど。日本での空白時代があったこと、そこからくる絶対に把握できないミステリアスな部分が今もディーンさんの無尽蔵の魅力に繋がっている。
だから「ネットに書かれていることの半分は嘘ですよ」と真海がこっち向いて言った時、自分が言われてる気がして苦笑してしまった。なんて挑発的なセリフなんだろう!このドラマで初めてディーンさんに注目した人も同じ気持ちなんじゃないだろうか。そんなイメージをうまく取り込んだ虚実綯い交ぜ感を楽しませてくれる、めっちゃ確信犯的な意欲的なドラマ。だから面白い。
で、5話。突然アジア(シンガポール)で投資家デビューした真海のわけのわからなさ、得体の知れなさが炸裂した回。それに「暖とすみれのラブストーリー」を追っている私には過去最高のドラマチックな回だった。
まず、得体の知れなさ、恐ろしさを大きく印象づけたのが、出口が訪問した時に突然始まる聞きなれない異国コトバのやりとり。あの言語はバハサだったとディーンさんがTweetしてた。そういえばテリマカシーって言ってたな。(ここ、リアルディーンさんとかぶる。)
次に笑顔。あのガハハ笑いや大好きな口角がこんな怖い場面で活かされるとは!予告画像ではニコニコ場面♪と思ってたけど、本編の笑顔は怖い、怖すぎるよ、真海さん。出口との会話、突然バハサで殺人をそそのかし、冗談ですよと二段笑いした後の目!二度目に日本語で話してる時は、ほぼ殺人命令。具体的にハンカチを使ってその方法を指南したり、出口ににっこり笑った後、真顔で「期待してますよ」の目。いやー、笑顔の緩急バリエーションと合間に挟む目の表情だけでこんなに怖いとは。出口は頭に「殺人」が張り付いたままキョドってしまった。
入間未蘭の母親を殺したのは誰なのか?ブラックの真海ファイル。出口に渡したものは事実と違っていたようで、視聴者は後になってわかるんだけど。殺人者のはずの出口が逆に死体になった時点で、それは真海の誤算なのか?と思わせてからの本命登場。神楽留美・安堂と同じく、出口も本懐を遂げるための手段にすぎなかったんだね。かわいそー。いや、瑛理奈さえも手段なのか。時限爆弾のようなもの?
入間公平にもブラック真海ファイルを渡してたけど、もはや中身はどうでもいいってことになるな。瑛理奈の勝利の鼻歌、輝く笑顔。この笑顔も怖かったー。入間公平がいいやつにさえ見えてくる。(原作でも入間瑛理奈に相当する人物は毒薬に通じていて、モンテ・クリスト伯と毒薬トークをする異様な場面がある。)
復讐鬼の誤算はすみれが訪問したことだったね、やっぱり。それまで用意周到で計画通りに物事が運んでいたのに、すみれが来ただけで顔が凍りつき、めちゃくちゃ動揺する。アドリブが苦手なんだ、真海は。それとも遠隔操作は得意だけど、接近戦はヨわいのか?(自分の復讐シナリオに巻き込みたくなかったからじゃないかな、と私は思うけど。)
小籠包のくだりは、ここまで何度も積み上げてきた猫舌ネタの発展型。熱々を食べなきゃダメよー!と入間瑛理奈のキャピキャピ声。隣りでは、すみれが猫舌チェックのためじっと見てるし。思いきって口に入れ飲み込んだあと、口の中大ヤケドだったんだね。夜風に当たってきますと中座し、慌てて氷を口に放り込むシーン。こういう細かい演出、めっちゃ楽しい、面白い。口に入れた時、あれ?暖じゃないと、すみれががっかりしてうつむいてしまうところも含めて。
そして、テラスの場面。脱獄後の二人の最接近シーンだった。
星空を一人で見上げている真海。ここ、再び一緒に見上げて欲しかったんだけど、ついにそれはなかったなあ。そんな安易なシーンじゃなかった。すみれがテラスに出て近づこうとしていることに戸惑いを見せるところから。
すみれは娘が描いた星空の絵を糸口に、暖かどうかを確かめたかったんだよね。前に明日花ちゃんにさりげなくインプットしたと勘違いしてた「星空が好き」情報。そっか、偶然の会話だったのか。
ご結婚は?と聞かれ、いいえ、と。ここで切り上げて行こうとする真海、離れた場所で体は向こうに向けたまま。(この微妙な距離感!)
「これまで考えたことは?」の問いにつかまってしまったね。それに答える真海、後ろ向きになった顔のまつげだけが見えて頻繁に瞬きしてる。「一度だけ・・・一度だけ結婚を考えた女性がいました」。
(わあ、言っちゃった!ここであの「Echo ボーカルVer.」が入るわけですよ。この嘆きパートはテラスシーンのために作られたようなもの。もうアカン、泣いていいよね。爆泣)
「けれど私が長い旅をしている間にその女性は別の男性と結婚してしまったそうです」(告げた!)
「真海さんはその女性を恨んでいますか?」
真海が目を閉じると、回想シーンが映像で流れる。(猫舌含む)目を開けて顔を上げ「こう思うことにしています。その女性はもう・・・死んでしまったのだと」。続けてすぐ「戻りましょう。ご主人以外の男と二人きりでいるところを見られたら困るでしょう。あなたには迷惑をかけたくない」すぐに去ろうとする真海。「真海さん!」走り寄ってすみれの右手が真海の左手をつかむ。ぎゅっ!(推定瞬間視聴熱MAX!!!!!!)
「真海さんはいま幸せですか?」(聞くか、それ!)
背を向けたままその言葉を受け止めて、顔を上げ、再び頻繁に瞬きしてる。ふり返った真海、目に光るものが。(泣いてるぅ)。ここまで二人きりで目を合わせることがなかった真海が、じっとすみれの目を見て「ええ、とっても」。最大限の笑顔を作ったつもりかもしれないけど力のない、だけど優しい笑み。
すみれ、安心したのか手を放す。にっこりして「よかったです。真海さんが幸せに生きていて、ほんとによかったです」。
すみれを見つめる真海の右目が小刻みに震えている。
「さようなら、お元気で。お邪魔しました。私、帰ります」
涙をこらえ、すみれが去って行く方を見ることもなく背を向けたまま、伏し目になっている真海。手には星空の絵を握りしめたまま。
「その女性はもう・・・死んでしまったのだと」
「真海さんが幸せに生きていて」
ここの対比が面白いと思いました。これが何かの伏線になるのか???
幸せですかと聞かれ、ええ、とっても、とすみれに言ってあげた真海。優しいと思う。別れを告げたと同時に最大限の愛の表現だったと思う。
長年かけて準備してきた復讐の遂行か、いま目の前のすみれか。辛いけど、どっちもとは言えないし。5話の終わりや6話の予告を見ると、南条幸男の大事なものを壊す、とあるけれど、その中にすみれが絡んでいるのかどうか。すみれは死んだとの解釈で、復讐の中には入っていない。今も愛されている、守られている、そんな気がするんだけど・・・。(原作進行中につき)
それにしてもディーンさんの真海、うまいなあ。いいなあ(はあと。)だから、安心してドラマにのめり込むことができた。美しく切ないシーンをありがとう!!
真海と愛梨のことをあらためて書けたらいいな。
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第5話あらすじ(公式サイトより引用させていただきます)
実の母子に肉体関係を持たせる…。モンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)の魔手は神楽清(新井浩文)の妻、留美(稲森 いずみ)を彼女が不倫の果てに産んだ安藤 完治(葉山 奨之)と結びつけた。
真海の次なる一手は、入間 公平(高橋 克典)に向けられる。真海は外務省勤務でマレーシアに駐在していた出口文矢(尾上寛之)を日本に呼び戻して自身の別荘に招待。出口は入間が自ら選んだ、娘、未蘭(岸井ゆきの)の婚約者だ。日本に帰れたことを喜ぶ出口に、真海は頼みがあると持ちかける。それは入間の父、貞吉(伊武雅刀)を殺して欲しいというものだった。驚く出口に真海は冗談だと告げるが、入間家は貞吉の莫大な遺産相続で揉めていることを吹き込む。
一方、未蘭は『富永水産』に頼んでおいたダボハゼを取りに行く。守尾 信一朗(高杉 真宙)からダボハゼを渡された未蘭の顔が輝いた。ランチに出ると未蘭は貞吉の反対で結婚がなくなったことを信一朗に話す。信一朗と未蘭の未来に明るい陽が差し込んだかに思えたが…。
未蘭が帰宅すると出口が来ていた。入間は出口に貞吉の遺言書の件を話す。未蘭が出口と結婚したら遺産は全て寄付するというものだ。入間はそれでも未蘭と結婚して欲しいと出口に頼む。
出口は真海に成り行きを報告。すると真海は、未蘭との結婚前に貞吉を殺して遺産を相続してしまえば良いと、出口に囁く。逡巡する出口に真海は、貞吉はかつて人を殺していると話し出した。
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●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(1)第一話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(番外編)第一話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(2)第一話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(3)第二話。
●モンテ・クリスト伯と「西の魔女が死んだ」。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(4)第二話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(5)第三話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(6)第三話。
●「モンテ・クリスト伯」原作・TVドラマ比較<人物>
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(7)第四話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(8)暖とすみれと音楽と。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(9)第五話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(10)第五話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(11)第六話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想番外編(12)第七話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(13)第七話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(14)第八話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(15)第八話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(16)第八話。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(17)最終回。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(18)最終回。
●モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-感想(19)最終回。
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