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 「過去最低の投票率」の意味

2007-01-24 08:40:44 | 社会・経済

 15日付けの日経新聞に心温まる記事があった。「合併しない宣言」で有名な福島県矢祭町に『矢祭もったいない図書館』がオープンしたという。「もったいない」は、2004年ノーベル平和賞受賞者のケニア環境副大臣ワンガリ・マータイさんが゛日本人が忘れていた精神゛として見つけ、゛逆輸入゛されたキーワード。「眠っている本」の寄贈を求めた町の呼びかけに集まった本は約30万冊。ボランティアが整理・分類し約3万6千冊が並んだ。図書館も柔剣道場を改築転用。「20億円近くかかるが、閉架式書庫を含めて約3億円で済んだ」。「元気な子供たちに」ときれいな本ばかり、金額にすると7億円相当の贈り物。「図書館を作りたいけどお金がない」という人口7000人の町に無償の善意が届けられた。「もったいない」を全国に発信し、善意と励ましで図書館を開設した゛合併しない゛町の「自治・自律精神」の高さに感心させられる。

 さて話は変わるが、愛媛県知事選挙も終わった。選挙結果・投票率とも大方の予想通りだったが、やはり気にかかるのは「過去最低の投票率43.12%」の数字。選挙棄権者が゛多数派゛ということか。選挙前・後に「政策争点」「政治力学」による関心低下などのマスコミの解説も紹介されていたが、私流に各市町のデーターを解釈してみた。投票率のトップは、人口約5千人の松野町(70.06%)、最低は51万人の県都・松山市(35.32%)。いみじくも県下で人口が一番少ない町が民主主義の゛優等生゛という結果。同じ「松」がつくのも面白いが、「山」よりも「野」の方が住みやすいのか。「山」が動かなかったということか。もう一つの数字は前回からの「下落率」。砥部町(-24.54%)、伊予市(-19.14%)、内子町(-19.14%)、西条市(-7.67%)。前回市長選や議員選挙との同日選挙だった町で、当たり前といえばそれまでだが、「身近なことなら関心が高い」という証明でもある。

 今回の知事選挙は,゛平成の大合併゛後はじめての選挙であった。愛媛県は70市町村が20市町に再編された。首長や議員も減り、財政縮減には効果があったが、行政規模の拡大は「身近かな」政治参加もまた゛縮減゛したのではないかと危惧する。いま゛合併していない゛松野町は、町の行方をめぐり議会の解散が取りざたされている。「民主主義の学校」の葛藤が、投票率県下一位にも反映しているのかもしれない。また一方では、県内経済の「東高南低」の゛格差゛が投票率では「南高東低」に反映し、南予地域の切実さもにじみ出ている。地域の活性化は、住民自治という「民主主義の学校」の活性化ぬきに実現できない。「過去最低の投票率」を横目で見ながら、小さな町・矢祭町の「自治・自律精神」に学びたいと思った。