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ナチュラル・オーガニックフーズのトレンド ― 健康・環境のグリーンな店舗づくり(3)

2009-02-21 23:41:01 | 旅行記

P1020168_edited_2   アメリカの流通業界は大きな変動期にあるようだ。80年代以降のショッピング・センター、ディスカウントストアなどの郊外型大型店の過剰開発によって、明らかにオーバーストア状態にある。

   ウォルマートなどの総合ディスカウントストアを別にして、アメリカのスーパーマーケットは例外なくワンフロア、取り扱う商品は食品と家庭雑貨が中心であり、「グロサリー・ストア」と呼ばれる。ウォルマートは、この食品業界にも本格的に参入しており、1993年以来、約1万3000店のストアが閉鎖に追い込まれたという。

   P1020170_edited_2 こうしたもとで、ウォルマートの価格戦略とは異なるコンセプトで業態開発を模索する小売業が生まれている。その一つが生鮮商品とナチュラル、オーガニック・フードに焦点をあてた店舗づくりである。

  フォール・フーズは、グルメ・フード、自然食品、オーガニック・フード、ベジタリアン・フード、輸入食品、豊富なワイン、ユニークな冷凍食品も品揃えし、いわゆる「グルメ・スーパーマーケット」と呼ばれる比較的高級志向の食料品小売店である。店舗の入り口にはフラワーで飾られ、オーガニックの野菜や果物がすぐ目に入ってくる。P1020171_edited_2 シーフードやミートなどの種類も豊かで産地やナチュラルな商品であることの説明。調理場はオープン方式、調理人の対面販売で顧客の安心感を高めている。店舗の中央にはオーガニック・健康関連の商品が並び、PBブランドを含めアイテム数も半端ではない。右側には、ワインコーナー、スシ、イタリアンキッチン、惣菜・サラダなどの計り売りやカフェもあり、さながらキッチンバーが店内にあるような感じだ。

  P1020039_edited_2 オーガニック市場は98年以降毎年平均20%の成長率であり、2006年には全米で167億ドル、食品小売市場の2.8%にまで急成長している。オーガニック商品は、フルーツ・野菜、精肉・魚、乳製品、飲料、パンのみならず調理済み食品やスナック食品と幅広い。日本のスシは、ヘルシー食の定番である。食の安全・安心、肥満や健康についての関心の高まりとともに、消費不況を反映してレストランではなく家庭での食事が増え、スーパーとレストランとで「惣菜戦争」が起こっていることが背景にある。

   P1020015_edited 「レストランの一流シェフの味が楽しめる」。こうした中でも、ゲルソンズはアップスケールなスーパーマーケットとして、所得の高いトレンディーな顧客をターゲットしている。カルフォルニアに18店舗を展開し、商圏として意識的に80マイルの範囲内にしか出店をしていない。ゲルソンズのミッションである質の高いカスタマーズサービスを提供するために、食品の安全とクレニネス、地産地消やプライスとバリューの関係を徹底して追求しているという。1フィート当たり25ドル(全米マーケット平均11ドル)、客単価35ドル(同29ドル)と販売効率も高い。

   P1020020_edited イタリア風のレストランを思わせる外観。店内にはチーズや各種ワインの充実、カフェバーやベーカリーコーナー、シーフードや最高級のプライム等級のミート、シェフ級のコックが作る惣菜、サラダバーには50アイテム12種類のドレッシングがそろっている。スープステーションもあり、オリーブカートなど高級感が演出されている。中央正面にはカスタマーコーナーがあり、ホテルのフロントのように顧客に対応できる徹底ぶりだ。ゲルソンズのギフトバスケットも人気があると聞いた。ラルフル、ボンズなどの伝統的なグロサリーストアやフォール・フーズなど特色ある業態との差別化をどのように構築するか。ゲルソンズは、「ショッピングを楽しむ」というミッションに、さらに磨きをかけようしているようだ。

   P1020104_edited ロサンゼルスのビセント・フーズは、1948年から60年間にわたってビバリーヒルズの高額所得者を対象に世界から2万3000アイテムを取り寄せる老舗ストア。決して広いスペースでない店内には1通路1リーダーを配置し、品揃えと顧客サービスに努めている。坪効率・客単価の高さは他を凌ぐという。チラシ・特売も必要のないVicentのブランド力である。駐車場には高級車が並ぶ。

   Pap_0010 サンフランシスコのドレガーズも、高級住宅街の中にある高額所得者向けのグルメストアである。サンフランシスコ近郊に3店舗を持つ1925年創業の老舗。世界各地からグルメ食材5万アイテムを揃えるという。特にワインの品揃えには定評があり、アメリカの主要なグルメ雑誌で常に高い評価を得ている。レストランの運営も行うほか料理教室、生活雑貨にも力を入れており、チェーン企業とは一線を画している。

   P1020192_edited こうした高額所得者向けの店舗に対して、低所得者やミドル層に人気があるのが低価格ストアのトレーダー・ジョーズである。各種食料品を始め、多くのオリジナル商品の展開で知られ、1.99ドルで販売される格安カリフォルニアワイン「チャールズ・ショウ(Charles Shaw)」は人気が高い。PBブランドが80%を占めているのも特徴だ。アメリカではPBブランドに対して消費者がバリュー感覚を持ち始めている。消費者意識の変化のもとで、PBブランド商品の展開もまた、流通業界の新たなトレンドになっている。ウォルマートは、このPBブランドにも狙いをつけているという。

  P1020197_edited 世界的な金融危機と消費不況。ロープライスを中心にすえた圧倒的なウォルマート戦略のなかで、どのような流通・小売の業態が顧客のニーズを捉えるのか・・。会員制倉庫型で業務用商品を大量に販売する卸売店コスコ。イギリスのテスコが展開しているフレッシュ&イージィというコンビニ型・セルフレジの小規模なエコストアetc 。多様な形態をとりながらウォルマートと凌ぎを削っているのだ。


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