店員は 僕のことを 覚えてる
それは なにも 頻繁に訪れるからではない
向こうも こちらも ちょっと いたたまれないからだ
家の前に セイムスという 大きなヨロズ屋がある
僕は ここで もやしとか 豆腐とか 煎餅を買う
時々 お茶とか 焼酎も買う
僕が この店に訪れると 3回に1回くらいの割合で
入り口に据え付けられている 万引き防止のセンサーが
けたたましく 鳴る
3回に1回というのは イチローの打率なみである
ちなみに 僕は 店内で
あのセンサーを鳴らせる 他人を
今までで 一度だって見たことがない
あまりにも 家に近いから
僕は サンダルに 財布だけ持って
フラっと 入店する
だから 僕の体のどこにも 電子機器は無い
携帯も カメラも 持っていない
体と 服と サンダルと 財布だけしかない
それなのに ピーピーピーピー けたたましく鳴る
入店した時に鳴るのは まだ いい
問題は 入店した時に鳴らないのに
出て行く時だけ 鳴る場合である
僕は 空港の金属探知機に ひっかかった外人のように
両手を挙げて オーノーのカッコをして 店員に首をかしげる
と 言いたいのだが 本当は ビビって 立ちすくんでしまう
レジにいる店員は それでも
複数の人のローテーションなんだけれど
気の毒そうな表情で こちらを見て 「すいません」と謝る
こちらも 何故か 『すいません』と謝る
謝ってから なんで謝ってるのか 情けなくなってくる
それでも 謝られると 反射的に 謝ってしまう
だから 店員は 僕のことを覚えている
またか という顔で
ピーピーピーピーの中で 立ちすくんでる僕に謝る
そして 僕も謝る
そうだ 今度 本当に万引きしてみようか
そして 『すいません』と 謝って 出て来ようか
妄想の中だけ 僕は 勇気凛々になる
それは なにも 頻繁に訪れるからではない
向こうも こちらも ちょっと いたたまれないからだ
家の前に セイムスという 大きなヨロズ屋がある
僕は ここで もやしとか 豆腐とか 煎餅を買う
時々 お茶とか 焼酎も買う
僕が この店に訪れると 3回に1回くらいの割合で
入り口に据え付けられている 万引き防止のセンサーが
けたたましく 鳴る
3回に1回というのは イチローの打率なみである
ちなみに 僕は 店内で
あのセンサーを鳴らせる 他人を
今までで 一度だって見たことがない
あまりにも 家に近いから
僕は サンダルに 財布だけ持って
フラっと 入店する
だから 僕の体のどこにも 電子機器は無い
携帯も カメラも 持っていない
体と 服と サンダルと 財布だけしかない
それなのに ピーピーピーピー けたたましく鳴る
入店した時に鳴るのは まだ いい
問題は 入店した時に鳴らないのに
出て行く時だけ 鳴る場合である
僕は 空港の金属探知機に ひっかかった外人のように
両手を挙げて オーノーのカッコをして 店員に首をかしげる
と 言いたいのだが 本当は ビビって 立ちすくんでしまう
レジにいる店員は それでも
複数の人のローテーションなんだけれど
気の毒そうな表情で こちらを見て 「すいません」と謝る
こちらも 何故か 『すいません』と謝る
謝ってから なんで謝ってるのか 情けなくなってくる
それでも 謝られると 反射的に 謝ってしまう
だから 店員は 僕のことを覚えている
またか という顔で
ピーピーピーピーの中で 立ちすくんでる僕に謝る
そして 僕も謝る
そうだ 今度 本当に万引きしてみようか
そして 『すいません』と 謝って 出て来ようか
妄想の中だけ 僕は 勇気凛々になる