それは突然に 父の死

2011-06-22 | 介護日記

今、1時間かけて書いた文章が一瞬で消えてしまった。

明日は長い1日になるから少し寝ておかなければならないのに…。

昨日まで元気で、多分百歳まで軽く生きるだろうと思っていた父が今朝、正確には21日の未明に死んだ。

顛末をもう一度書く力が残っていない。

駅に着いてまず検死をしてくれた医師のところに寄ってから実家に着くと、そこには捜査一課の警察官3名とヘルパーさん、ケアマネさんが待っていてくれた。
病院で死なない限りは検死は避けて通れない。
独り暮らしの高齢者を持つ者として覚悟はしていた。
警察は事務的かと思っていたら、父の死に顔が穏やかだったこと、死斑の状態からアッという間の出来事だったと推察出来る、ということなどこちらを気遣って話してくださった。
家の中はヘルパーさんとケアマネさんの手でキレイに片付けられ、私と夫の布団まで日に当てておいてくれていた。

父の独り暮らしの2年間の殆どを、このケアマネさんとヘルパーさんたちが支えてくれた。

お隣に挨拶に行っても「前の道をヘルパーさんと愉しそうにお散歩してらっしゃったのに!」と父の様子を話してくださる。

夜、父の日記をパラパラっとめくってみて驚いた!
そこにはヘルパーさんにして貰ったこととそれに対する感謝と喜びだけが書いてあったのだ。

「佐藤さんとwalking最高!」
「お風呂に入れてもらう。清潔でいられるのは田村さんのお陰」
「阿部ちゃんはKのことを全て把握してくれている」
「山本さんの脚力の素晴らしさ!」
松山さんのことも山下さんのことも…


母に頼りきりで家事など何一つ出来ない、おまけにアルツハイマー進行形の父にとって、88歳から2年間そばに寄り添ってくれたヘルパーさんたちはきっと家族のようだったのだろう。

安倍川のほとりのこの町で、この家で暮らすことの素晴らしさも小さな文字でギッシリと書いてあった。

独りで死んでしまったけれどこれで良かったんだよね。

望み通りの生き方だったよね。



『おくりびと』は女性二人。
家で死んだので昔のお葬式みたいに湯灌から着替え納棺までを一緒にやった。
お洒落だった父だから真っ白なワイシャツと首もとにスカーフ、好きな茶色のズボンを着せてもらう。

髪を撫でつけ顔にオイルを塗ってもらうと、まるで気持ちよく眠っているようだ。
これでよかったのだ、きっと。