14歳でオーストリアからフランスに政略結婚で嫁ぎ、歴史に翻弄された世界で一番有名な王妃、マリー・アントワネット。多くの人の目にさらされプライバシーは皆無の上、孤独だった彼女を教科書とは違う視点で描いた。衣装やヴェルサイユ宮殿でのロケなど、女性の目を楽しませる要素がタップリ
2007年 アメリカ ヒューマンドラマ、歴史ドラマ、ラブロマンス
2007年1月21日 ワーナーマイカル・シネマズ・新百合ヶ丘
監督・脚本 ソフィア・コッポラ(ヴァージン・スーサイズ)
出演 キルステン・ダンスト(エリザベスタウン、モナリザスマイル、スパイダーマン、ヴァージン・スーサイズ)、ジェイソン・シュワルツマン(奥様は魔女、ハッカビーズ)、リップ・トーン、ジュディ・デイヴィス、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル、ジェイミー・ドーナン
(出演作品などは、私が観た物にかぎる)
14歳のマリー・アントワネット(キルステン・ダンスト)はオーストリア王家の末娘だが、政略結婚でフランスの皇大使に嫁ぐ。肖像画でしか見たことのない相手に胸を膨らませるが、国境で丸裸にされて下着までフランス風に着替えさせられ、愛犬も取り上げられる。四六時中大勢の人の目にさらされ、奇妙に思えるフランス王室風のしきたりに戸惑うことばかり。肝心の皇子(ジェイソン・シュワルツマン)はマリーに関心が無くて、世継ぎが生まれるはずも無い。心無い陰口に傷つくマリー。母(マリアンヌ・フェイスフル)は心配して手紙をよこすが、孤独なマリーは服や靴、お菓子に贅沢三昧をつくす。ルイ15世(リップ・トーン)の急死で夫はルイ16世となり、マリーは18歳で王妃になる。しかし仮面舞踏会にお忍びで行ったり、朝まで遊び明かすなど、遠く離れた母を心配させることばかりだった。
フランスではルイ14世が、絶対王政を敷いた。そして、誰もが知っている豪華で壮大なヴェルサイユ宮殿を造ったのだ。そのブルボン家に嫁いだ若いマリーは「パンがなければお菓子を食べたらよいのに」という有名なセリフを残し、贅沢三昧な生活の最後はフランス革命による断頭台で終止符を打つ。革命側にとって、マリーは王室の浪費の象徴だった。しかし、当の本人はどうだったのだろう?ソフィア・コッポラは、外国人であり、世継ぎを生む道具として期待されるプレッシャーの中で孤独な毎日を過ごしたティーンエイジャーとしてのマリーに共感したのだろう。
宣伝どおり、全編甘い砂糖菓子のような色合い。鮮やかなピンクにブルー、フリルとリボン、羽飾りやチュールに縁取られて山盛りの花が飾られた部屋。マリーの指は、豪華なお菓子をつまみ食い。決してセピア調の昔話なんかじゃない。ファッションリーダーとしての彼女は生き生きとしていたにもかかわらず、同時に人知れぬ孤独の中にもいたのだ。
キルステン・ダンストのキャスティングには、最後まで納得がいくような、いかないような感じがあった。美しく若く、茶目っ気もあるが、孤独で退廃的な王妃を演じるには、美しい肌と目、演技力だけでは足りない。もっとカリスマが必要だったのでは?キルステンには、少し足りなかったのでは?いいすぎ?
しかし、ぐいぐいとソフィアの説得力ある物語に心をつかまれた。それほど、着想も見事であり、ヴェルサイユでのロケを実現し、オリジナルな衣装で現代風に表現されたマリーの生活は、私たちの心を揺さぶったのだ。ロックンロールに乗せられ、マリーはまさに現代の私たちに近い一人の若い女性となった。
いじわるそうなデュ・バリー夫人(アーシア・アルジェント)、やたらハンサムなフェルゼン(ジェイミー・ドーナン)など、脇役も見所満載。品は良いけど、オタクで魅力いまいちのルイ15世をジェイソン・シュワルツマンが好演。ソフィアの従兄弟だと、後から知った。本当に映画一族なんだなあ~。
子どもたちを生んでからのマリーは急にロハスに目覚める。「食育」に力を入れてるマリーは、自然な成り行きだったのだろう。ファッションもシンプルになって、デコラティブな今までがバカみたいに思える。
断頭台でも威厳を失わなかったと聞くマリーは、このようにしてフランス王妃として死ぬことになったのだ。オペラ座で拍手をしたときに、人々の反応がまったく変わった事で気色ばむ場面が印象に残る。
追記:フランス国内はもとより、フリフリドレスに関心が無い男性や、歴史に詳しいお歴々には不評らしいですね。見る前はなるべくあちこりのレビューを見ないようにしているので、知らなかったのですが、考えてみたら当然でしょうね。オーストリアからフランスに嫁いだはずが、全編英語だし、「首飾り事件」などの重要な事件を「なかったことにしている」こと、歴史の細部にこだわっていないことなど、気にはなっていたのですが~。
「もと女の子」の私には、キャンディカラーのふりふりドレス、パーティー三昧や夜遊び、ケーキとシャンパンの日々に共感してしまったのです。なぜなら、彼女は自分に関心が無い夫と、陰口ばかりの周囲、プライバシーの無い日常に嫌気のさしたティーンエイジャーに過ぎないのだから・・・。
2007年 アメリカ ヒューマンドラマ、歴史ドラマ、ラブロマンス
2007年1月21日 ワーナーマイカル・シネマズ・新百合ヶ丘
監督・脚本 ソフィア・コッポラ(ヴァージン・スーサイズ)
出演 キルステン・ダンスト(エリザベスタウン、モナリザスマイル、スパイダーマン、ヴァージン・スーサイズ)、ジェイソン・シュワルツマン(奥様は魔女、ハッカビーズ)、リップ・トーン、ジュディ・デイヴィス、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル、ジェイミー・ドーナン
(出演作品などは、私が観た物にかぎる)
14歳のマリー・アントワネット(キルステン・ダンスト)はオーストリア王家の末娘だが、政略結婚でフランスの皇大使に嫁ぐ。肖像画でしか見たことのない相手に胸を膨らませるが、国境で丸裸にされて下着までフランス風に着替えさせられ、愛犬も取り上げられる。四六時中大勢の人の目にさらされ、奇妙に思えるフランス王室風のしきたりに戸惑うことばかり。肝心の皇子(ジェイソン・シュワルツマン)はマリーに関心が無くて、世継ぎが生まれるはずも無い。心無い陰口に傷つくマリー。母(マリアンヌ・フェイスフル)は心配して手紙をよこすが、孤独なマリーは服や靴、お菓子に贅沢三昧をつくす。ルイ15世(リップ・トーン)の急死で夫はルイ16世となり、マリーは18歳で王妃になる。しかし仮面舞踏会にお忍びで行ったり、朝まで遊び明かすなど、遠く離れた母を心配させることばかりだった。
フランスではルイ14世が、絶対王政を敷いた。そして、誰もが知っている豪華で壮大なヴェルサイユ宮殿を造ったのだ。そのブルボン家に嫁いだ若いマリーは「パンがなければお菓子を食べたらよいのに」という有名なセリフを残し、贅沢三昧な生活の最後はフランス革命による断頭台で終止符を打つ。革命側にとって、マリーは王室の浪費の象徴だった。しかし、当の本人はどうだったのだろう?ソフィア・コッポラは、外国人であり、世継ぎを生む道具として期待されるプレッシャーの中で孤独な毎日を過ごしたティーンエイジャーとしてのマリーに共感したのだろう。
宣伝どおり、全編甘い砂糖菓子のような色合い。鮮やかなピンクにブルー、フリルとリボン、羽飾りやチュールに縁取られて山盛りの花が飾られた部屋。マリーの指は、豪華なお菓子をつまみ食い。決してセピア調の昔話なんかじゃない。ファッションリーダーとしての彼女は生き生きとしていたにもかかわらず、同時に人知れぬ孤独の中にもいたのだ。
キルステン・ダンストのキャスティングには、最後まで納得がいくような、いかないような感じがあった。美しく若く、茶目っ気もあるが、孤独で退廃的な王妃を演じるには、美しい肌と目、演技力だけでは足りない。もっとカリスマが必要だったのでは?キルステンには、少し足りなかったのでは?いいすぎ?
しかし、ぐいぐいとソフィアの説得力ある物語に心をつかまれた。それほど、着想も見事であり、ヴェルサイユでのロケを実現し、オリジナルな衣装で現代風に表現されたマリーの生活は、私たちの心を揺さぶったのだ。ロックンロールに乗せられ、マリーはまさに現代の私たちに近い一人の若い女性となった。
いじわるそうなデュ・バリー夫人(アーシア・アルジェント)、やたらハンサムなフェルゼン(ジェイミー・ドーナン)など、脇役も見所満載。品は良いけど、オタクで魅力いまいちのルイ15世をジェイソン・シュワルツマンが好演。ソフィアの従兄弟だと、後から知った。本当に映画一族なんだなあ~。
子どもたちを生んでからのマリーは急にロハスに目覚める。「食育」に力を入れてるマリーは、自然な成り行きだったのだろう。ファッションもシンプルになって、デコラティブな今までがバカみたいに思える。
断頭台でも威厳を失わなかったと聞くマリーは、このようにしてフランス王妃として死ぬことになったのだ。オペラ座で拍手をしたときに、人々の反応がまったく変わった事で気色ばむ場面が印象に残る。
追記:フランス国内はもとより、フリフリドレスに関心が無い男性や、歴史に詳しいお歴々には不評らしいですね。見る前はなるべくあちこりのレビューを見ないようにしているので、知らなかったのですが、考えてみたら当然でしょうね。オーストリアからフランスに嫁いだはずが、全編英語だし、「首飾り事件」などの重要な事件を「なかったことにしている」こと、歴史の細部にこだわっていないことなど、気にはなっていたのですが~。
「もと女の子」の私には、キャンディカラーのふりふりドレス、パーティー三昧や夜遊び、ケーキとシャンパンの日々に共感してしまったのです。なぜなら、彼女は自分に関心が無い夫と、陰口ばかりの周囲、プライバシーの無い日常に嫌気のさしたティーンエイジャーに過ぎないのだから・・・。
モップスまで取り上げられてしまって
かわいそうでした。
子育て中は子羊や鶏、白鳥や
象まででてきたのにはびっくり。
とにかく目を楽しませてくれる映画でした。
王妃である前に一人のティーンエイジャー
であることに目をつけたソフィアの感性は
お見事。
乙女心をくすぐる不思議な作品ですね~。
私は、目の保養になったので、結構満足でした。
TB&コメントありがとうございます!!