ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

愛を読む人

2009-08-24 | 映画 あ行
ケイト・ウィンスレットが主演。これで5回もノミネートされた主演女優賞をついに取りました。6回目の正直。どんどん上手くなるケイト。今回はすごみさえ感じました。レイフも、上手いのは分かりきってますし、私はこういう役が好きです。新星デヴィッド・クロスも頑張りました。単なる恋愛ものではなく、仕掛けがあり、ちょっと衝撃でした。ハンナの秘密には、胸をえぐられるような悲しみが秘められているわけです。


2009年 アメリカ、ドイツ ヒューマンドラマ、戦争、ラブロマンス
2009年7月15日 ワーナーマイカル・シネマ・新百合ヶ丘
監督 スティーブン・ダルトリー(めぐりあう時間たち、リトル・ダンサー)
原作 ベルンハルト・シュリンク「朗読者」
出演 ケイト・ウィンスレット(レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで、ホリデイ、アイリス、タイタニックほか多数)、レイフ・ファインズ(ある公爵夫人の生涯、ハリー・ポッターシリーズ、ナイロビの蜂、メイドイン・マンハッタンほか多数)、デヴィッド・クロス、ブルーノ・ガンツ(ヒトラー~最期の12日間)
(出演作品などは私が観たものに限る)

1958年のベルリン。15歳の少年マイケル(デヴィッド・クロス)は、偶然知り合った年上の女性・ハンナ(ケイト・ウィンスレット)に惹かれる。彼女の肉体に夢中になるマイケルだが、会うたびに本を朗読することになる。セックスの前に様々な本を読むことになるのだった。しかし、彼女は突然姿を消す。そして、彼女を次に見るのは、なんと法廷だった。マイケルは法学部の学生で、教授(ブルーノ・ガンツ)に連れられて勉強のために傍聴するのだが、被告席にハンナを発見するのだった。そして、彼女が必死で隠し通そうとする秘密を知るのだが・・・。

レイフ・ファインズは「ある公爵夫人の生涯」で見たばかり。ケイト・ウィンスレットも「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」で見たばかりでした。でも、俳優さんってすごいと思うのは、最近撮った作品に違いないのに違う人物を演じたら、違う人物に見えるのですね。上手すぎます。
 レイフはあの冷徹な公爵とは当然違います。残念なことにデヴィッド・クロスとかなり顔立ちが違うのですが、丹精な大人の横顔に、実はあんな繊細でナイーブな少年時代があったことを伺わせることだってできちゃうのです。晩年のハンナとのやり取りの部分しか出演場面がなくて限られているのに、相当な存在力を発揮しました。
 ケイトは、さらにすごいです。「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」では理解しがたいとも言える若妻で、少々身体の線が崩れているのを見せていました。しかし、こちらでは、秘密を抱えてひとりで生きてきた孤独な女性を演じきり、とても肉体的に美しく表現されていました。これは演出のよさもあるのでしょうが、腰のラインが同性から見ても色っぽく、美しかったです。
 デヴィッド・クロスは、こんなアカデミー主演女優賞まで取っちゃうケイトとがっつり組んでも負けないだけの資質があります。努力もあるのでしょう。でも、資質がすごい。まだまだ伸びそうです。楽しみな若手ですね。
 どうして舞台がベルリンなんだろう?って思っていました。少年が年上の女性に惹かれるって設定の映画は昔多かったです。個人的にはルノー・ベルレーの「個人教授」を思い出しますが、そんな映画だとばかり思っていました。当然その要素もあります。しかし・・・。
すごいのは、それだけじゃないこと。ハンナが命をかけても守りたかった秘密についての強いメッセージ。そして、ある種の反戦映画でもあるのです。市井の庶民が戦時中に置かれた特殊な立場から、こんな悲劇が起こったのだと言いたいのでしょう。胸をえぐられる思いがします。それを淡々と描いたのが、成功でしょう。
 邦題の「愛を~」は、おおむね好評のようですね。でも私は少し語りすぎだと思います。「愛」は、簡単じゃないはず。確かに何を読んだかといえば、愛なのだろうけど・・・。もっとニュートラルなタイトルにして欲しかったです。でも、「朗読者」じゃ、チケットが売れないかな?


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