30年以上前に起こったテロとその報復を下敷きに、暗殺チームリーダーとその周辺を描く。これは殺人なのか?国家による殺人・・・それは戦争?
2005年 アメリカ サスペンス、ヒューマンドラマ
2006年9月18日 DVD
監督・製作 スティーブン・スピルバーグ(宇宙戦争、SAYURI、ターミナル、キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンなど多数)
出演 エリック・バナ(トロイ)、ダニエル・クレイグ、キアラン・ハインズ、マチュー・カソヴィッツ、ハンス・ジシュラー、ジェフリー・ラッシュ
(出演作品などは私が観たものにかぎる)
1972年、ミュンヘン。オリンピック開催中のことだった。武装したグループに襲撃され、イスラエルの選手11名が人質になり、最終的に命を落とした。犯行はパレスチナのテロリスト集団「黒い九月」だった。これに対抗してイスラエル政府は、殺されたのと同じ11名を暗殺する計画を建てた。アヴナー(エリック・バナ)は妻が妊娠7ヶ月だったが、祖国と愛する妻のためにその役割を引き受けるしかないと思った。他の4名の仲間と共に、ヨーロッパを暗殺しながら渡り歩く過酷な日々をすごすことになる。家族にも会えない生活の中で・・・
30年も前に起こった事件を元に、当事者が書いた原作を下敷きにしている。時代の雰囲気をよく描写しているのではないだろうか?
私はまだ子どもで、こんな事件が会った事は記憶にあっても、世界情勢など全く興味がなく、その意味するところも全く知らないで来た。オリンピック村にテロリストが入り込み、選手が多数命を落とすというセンセーショナルなやり方で、世界はパレスチナ側の要求をいやでも知らねばならなくなるのだ。しかし、その要求を呑まなかった時のメイア首相は、事件の報復手段を取ったのだ。メイア首相が女性だったこともすっかり忘れていた私。実名で首相やその周辺の人たちも描かれているのだが、かなり衝撃的なのでは?
国家が命じた暗殺計画により、ヨーロッパの国境を越えて血で血を洗う、過激な殺し合いが始まる。(恐ろしいことである)最初は戸惑いながら計画を実行に移していたアヴナーも、次第にためらいなく引き金を引くようになっていく。この恐ろしさ。テロリストを許すなとの合言葉で現在若者を戦争に駆りだしている国、それがアメリカである。また、イスラエル寄りといわれているアメリカで、このような映画が作られたこと、監督がユダヤ系である事も興味深い。
人を殺すことに慣れた頃、アヴナー自身の身も危険になってくる。標的殺戮は順調に進んでいるのだが、仲間も殺されてしまう。情報源になってくれているルイ(マチュー・カソヴィッツ)たちを本当に信用してよいのか?ベッドに腰掛けるとき、電話を取るとき、疑心暗鬼は彼の心を蝕むかのようだ。深夜ホテルのベッドのマットレスをはずし、ナイフで切り裂き、電話やテレビを分解して懐中電灯で照らしながら爆発物が仕掛けられていないか調べないではいられない彼。その姿には鬼気迫るものがあった。
ラストシーンは愛する妻とのセックスシーンなのだが、彼のクライマックスと暗殺シーンが重ね合わせられていた。彼の危うい精神状態の表現としては迫ってくるものがあるが、あまりのむごたらしさに、目を覆いたかったほどである。
2005年 アメリカ サスペンス、ヒューマンドラマ
2006年9月18日 DVD
監督・製作 スティーブン・スピルバーグ(宇宙戦争、SAYURI、ターミナル、キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンなど多数)
出演 エリック・バナ(トロイ)、ダニエル・クレイグ、キアラン・ハインズ、マチュー・カソヴィッツ、ハンス・ジシュラー、ジェフリー・ラッシュ
(出演作品などは私が観たものにかぎる)
1972年、ミュンヘン。オリンピック開催中のことだった。武装したグループに襲撃され、イスラエルの選手11名が人質になり、最終的に命を落とした。犯行はパレスチナのテロリスト集団「黒い九月」だった。これに対抗してイスラエル政府は、殺されたのと同じ11名を暗殺する計画を建てた。アヴナー(エリック・バナ)は妻が妊娠7ヶ月だったが、祖国と愛する妻のためにその役割を引き受けるしかないと思った。他の4名の仲間と共に、ヨーロッパを暗殺しながら渡り歩く過酷な日々をすごすことになる。家族にも会えない生活の中で・・・
30年も前に起こった事件を元に、当事者が書いた原作を下敷きにしている。時代の雰囲気をよく描写しているのではないだろうか?
私はまだ子どもで、こんな事件が会った事は記憶にあっても、世界情勢など全く興味がなく、その意味するところも全く知らないで来た。オリンピック村にテロリストが入り込み、選手が多数命を落とすというセンセーショナルなやり方で、世界はパレスチナ側の要求をいやでも知らねばならなくなるのだ。しかし、その要求を呑まなかった時のメイア首相は、事件の報復手段を取ったのだ。メイア首相が女性だったこともすっかり忘れていた私。実名で首相やその周辺の人たちも描かれているのだが、かなり衝撃的なのでは?
国家が命じた暗殺計画により、ヨーロッパの国境を越えて血で血を洗う、過激な殺し合いが始まる。(恐ろしいことである)最初は戸惑いながら計画を実行に移していたアヴナーも、次第にためらいなく引き金を引くようになっていく。この恐ろしさ。テロリストを許すなとの合言葉で現在若者を戦争に駆りだしている国、それがアメリカである。また、イスラエル寄りといわれているアメリカで、このような映画が作られたこと、監督がユダヤ系である事も興味深い。
人を殺すことに慣れた頃、アヴナー自身の身も危険になってくる。標的殺戮は順調に進んでいるのだが、仲間も殺されてしまう。情報源になってくれているルイ(マチュー・カソヴィッツ)たちを本当に信用してよいのか?ベッドに腰掛けるとき、電話を取るとき、疑心暗鬼は彼の心を蝕むかのようだ。深夜ホテルのベッドのマットレスをはずし、ナイフで切り裂き、電話やテレビを分解して懐中電灯で照らしながら爆発物が仕掛けられていないか調べないではいられない彼。その姿には鬼気迫るものがあった。
ラストシーンは愛する妻とのセックスシーンなのだが、彼のクライマックスと暗殺シーンが重ね合わせられていた。彼の危うい精神状態の表現としては迫ってくるものがあるが、あまりのむごたらしさに、目を覆いたかったほどである。
DVDで観てもかなりの迫力のむごたらしさですから、スクリーンで見たらえぐい場面だったでしょう。
スピルバーグのダークサイドは嫌いではないです。むしろ明るい面ばかり出されると私はちょっとついていけないです。
トラックバックありがとうございます。
>彼の危うい精神状態の表現としては迫ってくるものがあるが、あまりのむごたらしさに、目を覆いたかったほどである。
スピルバーグのダークな面ですね。この映画の中では、彼の悪ふざけなところがなく、ストレートに伝わってきました。とはいえ、このシーンは微妙ですが。