東山魁夷が、じつは「北欧」の風景画をたくさんのこしているということを知ったのは、そう古い話ではない。それまで《日本画の大家》くらいにしかかんがえていなかった魁夷とその作品に、親しみを抱くようになったのはそのことがあったためである。
「北欧の風景が、その森や湖が、私を呼んでいるように感じ」た魁夷は、1962年54歳のとき、はじめての北欧をめぐる旅にでる。その旅は決定的なものだった。かれは、こうしるす。「心の故郷に巡り会った」。北の国々で、魁夷の琴線に触れたのはたんなる見事な景観ではなく、そこにつよく息づく「寒さの中での暖かさ」「暗さの中での明るさ」「生に対して過酷な条件の中での、生の輝き」であった。
ふたたび、東山魁夷が描いた北欧の絵をながめてみる。そして気づくのは、「青」のこと。東山魁夷の幽玄な世界に不可欠な、あの「青」。それは白夜の「青」にほかならない。北欧の夏に「黒」はない。そこでは「青」は、夏のつよい光を孕んで刻々とその階調を変えながら移り変わってゆくのである。そして魁夷の「青」には、たしかに「光の兆し」がみとめられる。
心のなかに「北方を指す磁針」をもつすべてのひとは、ぜひもういちど、あらためて東山魁夷の世界にふれてみてほしいとおもう。
●参考図書/東山魁夷全集4『北欧の旅』(昭和54年 講談社)
※なお、現在moiにてこの本を販売中。31×26cmの大判の画集(函つき)です。新古本ですが、経年変化に伴う若干の汚れ、キズはあります。2,000(税込み)。もちろん一点限りですので、売り切れの際にはご容赦ください。←おかげさまで売り切れました。
「北欧の風景が、その森や湖が、私を呼んでいるように感じ」た魁夷は、1962年54歳のとき、はじめての北欧をめぐる旅にでる。その旅は決定的なものだった。かれは、こうしるす。「心の故郷に巡り会った」。北の国々で、魁夷の琴線に触れたのはたんなる見事な景観ではなく、そこにつよく息づく「寒さの中での暖かさ」「暗さの中での明るさ」「生に対して過酷な条件の中での、生の輝き」であった。
ふたたび、東山魁夷が描いた北欧の絵をながめてみる。そして気づくのは、「青」のこと。東山魁夷の幽玄な世界に不可欠な、あの「青」。それは白夜の「青」にほかならない。北欧の夏に「黒」はない。そこでは「青」は、夏のつよい光を孕んで刻々とその階調を変えながら移り変わってゆくのである。そして魁夷の「青」には、たしかに「光の兆し」がみとめられる。
心のなかに「北方を指す磁針」をもつすべてのひとは、ぜひもういちど、あらためて東山魁夷の世界にふれてみてほしいとおもう。
●参考図書/東山魁夷全集4『北欧の旅』(昭和54年 講談社)
※なお、現在moiにてこの本を販売中。31×26cmの大判の画集(函つき)です。新古本ですが、経年変化に伴う若干の汚れ、キズはあります。2,000(税込み)。もちろん一点限りですので、売り切れの際にはご容赦ください。←おかげさまで売り切れました。