
“国民的”料理はどれも初めから国民的だったわけではない。
みな自然環境によって制限された材料を使った“地域の”調理習慣としてはじまる。
各地で影響しあうこともよくあり、土地の慣習になじむ新しい産物によって
若干の変更を加えられることもある。そうした産物は、保存されたものであったり、
長持ちするもの、移動する性質があったりするものだったりする。
そして、ある調理の方式に国民的というレッテルが貼られると、硬直化が起こる。
その純粋さを外国の影響から守られねばならなくなるのだ。
(フェリペ・フェルナンデス=アルメスト『食べる人類誌』)