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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(35)&CG

2008-08-12 10:25:39 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(35)&CG

「それで、此れからどうするの?・・・」。
「うん、帰ろう。マリブへ行こう。近くまで来たから寄った事にして貴明の両親の顔を覚えないと」。
「だったら早く行かないと出掛けちゃうかも」。
「そうか。じゃあ今から車を乗り換えて行こう。五時を回ったばかりだから食事の時に顔を見られる」。
「うん、でもどして車を乗り換えるの」。
「京都ナンバーだと聞かれたら困るだろ」。
「そうか、私ったら馬鹿だね」。
家に帰ると車を乗り換えるて出掛けた。母は帰ったのかと表に出てた。そして美保の車を見てポカ~ンと見ていた。
「全く」。母は止してよと言う素振りで眉を挙げて家の中へ入った。
そして数十分、みそら野に着くとペンション・マリブの前に車を止めた。すると、突然クラクションを鳴らした。窓から顔を出すと
「おい、そこはわしの駐車場や、車を動かしてくれ」。見ると京都ナンバーのベンツだった。
「美保、乗って。見るな、早く乗って」。
美保は何が何だか分からないままドアを閉めた。そしてバックさせると反対側の駐車場へ車を止めた。
「なんて言い草なの、わしの駐車場や・・・あのナンバー・・・京平さん」。
「うん、貴明の家の車庫にあったベンツだ。貴明の父親だよ。横暴な男だ。あれでも医者だから参るよな」。
「うん。あっ、降りて来た。ひどい顔、あれで良く奥さん貰えたわね。見て、ペンションから出て来た人が奥さんじゃない」?
見ると、白のパンツスーツを着てスラットした細身の奇麗な奥さんだった。そして車から降りた男に近付いて頭を下げていた。
真田貴明の義父はモサッとした陰気の感じの悪い中年男だった。そして男の後ろから女房がつづいてペンションの中に姿を消した。
「どうする、降りてオーナーに顔を出すの」?
「いや、止そう。夕食の支度で忙しいだろうから。それに真田の顔さえ分かればそれでいい。帰ろう」。
「うん、ねえ帰りに薬局に寄ってくれない」。
「ああ、良いけど。どうしたの、身体の具合でも悪いのか」。
「ううん、あれ・・・・もう鈍いんだから」。
「ああ、そうか。ごめんごめん、分かったよ。生理だろ」。
「いや~もう、意地悪なんだから。早く帰ろうよ」。
美保は恥ずかしそうに俯いていた。そんな美保が意地らしくてならなかった。
夫婦とは言え、恥じらいは幾つになっても持ちづづけて欲しいと思った。そして薬局に寄って家に帰った。
そして翌日、私は早く目が覚めてしまい、時計を見るとまだ五時を回ったばかりだった。美保はグッスリ眠っていた。そっとベッドから出た。
すると腕を握った。「もう目が覚めたの」。
「なんだ起きてイたのか、ジュース持って来るよ。喉乾いた」。
「だったら私が持って来ます。何でも良い?・・・」。
美保はベッドから跳ね起きるとキスして部屋を出て行った。するとドアの隙間から話し声が聞こえた。ドアを開けて覗くと母も起きていた。
「どうしたの京平まで、こんなに早く起きて」。
「お早よう。別に理由なんかないよ。目が覚めたら美保をお越しちゃっただけだよ。母さん別荘に行って来るよ。このあいだ切った木も割っておかなきゃならないし、少し修理もしたいから」。
「いいわよ、美保さんも連れて行くんでしょう」?
「美保はどうする、もう少し寝ているか?・・・」。
「ううん、私も行きたい。お義母さん良いですか?・・・」。
「ええ、いいわよ。昨日お父さんから聞かなかったの。ペンションの方はいいからゆっくりなさい」。
「お聞きしましけど、じゃあお言葉に甘えさせて頂きます。でも用があったら言って下さいね」。
「はいはい。それで、飲み物でも取りに来たんでしょう。好きなものを持ってっていいですよ」。
母はそう言って部屋へ戻った。私と美保はカウンターの冷蔵庫からオレンジジュースとコーラーを持って帰った。
それでも早すぎると思い、ベッドへ入った。しかし眠れずテレビを点けた。
「京平さん、あの件だけど。何処へ呼び出すか決めたの?・・」。
「その事だけど、幸子さんの自殺に関して僕等は無関係じゃないからさ、真田をこの白馬の近郊で始末したら疑いをかけられる事は間違いないと思う。
だから夫婦揃って軽井沢のペンションか、貸し別荘に移るように話を進めようと思っているんだ」。
「でもこの時期にペンション空いているかしら」。
「うん、それは問題ないと思う。先月の月末にやったペンションのオナー会議の時に軽井沢観光協会の人がいてね、景気が悪くて随分空きがあるって困っていたから。あの口ぶりならキャンセル待ちなんて事はないと思う」。
「それで、どうやって話しを進めるの?・・・」。
「計画はこうだ。息子の貴明を人質にしている事にする。きっと電話で安否を確かめるだろう」。
「そうか。それで家を出て電話には絶対出るなって言ったのね、流石だな京平さんは、もう昨日の内に頭にあったんだ」。
美保は半身になって胸に乗ると顎を乗せてじっと目を見詰めていた。
「それからどうするの?・・・」。
「ともかく相手には営利目的だと思わせる事が肝心だからね。口止め料を催促する。まず一千万くらい要求してみる。
それで真田の出方を見てから徐々に上乗せして、精神的に追い詰めてやるよ。会話はあのテーブレコーダーで録音してね」。
「きっと驚くわよ、家に電話しても携帯に電話しても息子が出ないとなると信じるしかないものね」。
「うん。貴明にもう一度話しを訊く。それを録音してを聞かせれば観念するさ。
貴明にはあの晩の話しは録音していると脅かしておいたから、言う事を聞かざるを得ないならね」。
「ウフッ・・・凄い張ったり、それも営業で身に着けたの?・・・」。
「そう言う事かな、粘りと誠意と張ったりだからね営業なんて」。
そして六時を回ると起き出して着替えた。そして少しばかりの着替えを持って家を出た。そして公衆電話の前で車を止めるとテープレコーダーを出して真田貴明に電話した。そして合図した通り、過ぐに切るとかけ直した。
まだ七時だと言うのにすぐに出た。
NO-35


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