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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(28)&CG

2008-08-02 11:28:04 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(28)&CG

私はただ頷いて車庫に入った。すると紺のBMWが止まっていた。
「美保、車ってBMWに乗っているのか」?
「うん、左ハンドルは駄目?・・・」。
「駄目じゃないけど、乗って帰って良いのか。お父さんに叱られないか」?
「うん、だって此れはお母さんが前に乗っていた車だし、それにお母さんが買ったんだもん。父には関係ないの」。
「そう、それでお母さんは今なんの車に乗ってるの」。
「うん、たぶんジャガーじゃないかな。買い替えていなければだけど、母はカーキチでね、若い頃はレーサーだったの」。
「え~っ、そうか。それで美保も運転が上手なのか。レーサーね。此れは驚いた。じゃあ行こうか」。
美保は何のためらいもなく左のドアを開けて乗り込んだ。そして電動シャッターを開けた。そして窓を開けると棚の上にリモコンを置くとエンジンを駆けた。
BMW独特なエンジン音が鳴り渡り、ガレージを出た。そして表にいた時江に手を振るとクラクションを鳴らして実家を後にした。
そして白川町方面に走ると東山へ行く道を北へ左折した。そして宝ケ池駅に出ると車を止めた。
「京平さん、運転代わって。道を覚えた方がいいでしょう。それに車にも慣れておかないとさ」。
私は助手席から運転席へと移動してシートベルトを着けた。
久し振りの左ハンドルだった。
駅前をグルッと回って来た道を戻った。そして真っすぐ南に走ってホテルサンフラワーの通りを右折した。そして平安神宮を左に過ぎると次の交差点を左折した。そして祇園、八坂神社と過ぎて十三玄堂に向かって南下した。
そして東海道山陽新幹線のガードの手前を右折して京都駅に向かった。そしてグランドホテルの隣にある別の駐車場に入った。
「ちょうど四十分、でも夜は車が少ないから三十分で行けるわね。京平さん運転上手だね、左ハンドル乗っていたの」。
「いや、父さんが前にベンツ乗っていたからね、それで借りて乗っていたから慣れているだけだよ」。
「そう、じゃあ荷物は積んでおいても良いわよね」。
「うん、じゃあ土産を買ってホテルに戻ろう」。
そして三時過ぎには買い物を済ませてホテルに戻った。そしてフロントへ行くと。すると私達を待っていた人間がいた。
「失礼します、紺野京平さんと奥さんの美保さんですね。
私達は京都府警の土屋と佐野刑事です。高橋幸子さんの事で少しお聞きしたい事がありましてお待ちしていました。お時間戴けますか」。差し出した警察手帳を開いた。高級用紙第一頁には目の鋭い年配の土屋良也警部補と書かれていた。どうして、もう耳に入ったのかと思いながら頷いた。
「ええ、構いませんよ。アイスコーヒーを四つ頼みます」。
「はい、畏まりました」フロントマンはすぐに動いた。私は美保の肩を抱きながらロビーのボックスに腰を降ろした。
二人の刑事は真向かいに座り、手帳を開いてペンを手にした。
「では早速お聞きします。奥さんとは京大の同期と言う事ですね。最近高橋さんに会われたのはいつですか」?
「はい、幸子と久し振りに再会したのは白馬の夫のペンションです。確か六月の二十三日だったと思います。そうよね京平さん」。
「うん、間違いないよ。私たちが静岡から実家に帰った翌日だったからね。六月二十三日だよ」。
「そうですか、その時、高橋さんはお一人でしたか」?
「いいえ、会社の同僚と女性三人でペンションに泊まっていました。幸子とは大学ではそんなに仲が良い方ではありませんでした。
でも、卒業が近付くに連れて仲良しになったんです。たまに会ってはお買い物をしたりしていました。それで今年の一月に私が静岡に行ってから会っていませんでした」。
「静岡と言うと、仕事でですか」?
「いいえ、私が身体を壊して市立病院に二ケ月ほど入院したんです。その後は彼のアパートで暮らしていました」。
「では高橋さんとは半年以上お会いになっていなかったんですね」。
「はい、電話してもいつも留守でした」。
「それで次にお会いしたのはいつ頃でしょう」?
「昨日です。それもあんな姿になって。でも電話は六日の午後に夫のペンションにありました。盆休みに来る予定だった宿泊のキャンセルの電話でした」。
「そうですか、その時に何か話していませんでしたかね。例えば彼氏の事とか、金銭的な事を。貸して欲しいとか」。
「いいえ、ただ予定が変わって行かれなくなったからって。ただそれだけです。刑事さん、幸子は本当に自殺なんですか」?
「ええ、舞鶴署もそう断定したようです。一応他殺の線も考えられますので、こうしてお聞きしているんです。では真田貴明と言う名前はご存じですか」?
「ええ、良く知っています」。
「それはどんな理由からご存じなんです。ご主人の前ですが、差し障り無ければ話して頂けませんか」?
「はい、主人には全く関係ありませんし、私にも直接関係ないんです。真田貴明と言う人は私の大学の同期だった親友の佐々木友代という女性の彼だった人です。それで一度紹介されて知っているんです」。
「しかし一度会っただけでそんなに覚えている物ですかね」
「いいえ、それだけではありません。刑事さん、もう調べて知っているんでしょう。友代が捨てられて自殺した事を」。
「美保、もうこんな刑事に話さなくていい。帰ってくれないか。俺たちは善意で話しているのに、何だお前達のその聞き方は」。
私はカマを掛けるような聞き方に腹が立った。
「いや、此れは失礼しました。お詫びします。この通りです」。
そう言うと土屋はテーブルに両手を添えて頭を下げた。すると周りにいた客が私の声に驚いて見ていた。
「だったら初めから回りくどい良いかたは止めろ。あんた方はただの事件だろうが遺族や妻の立場になってみろ。京都府警の刑事は皆んなあんたと同じなのか、それでなくても不祥事続きの警察がこんな事でいいのか」。
「おう、そうだそうだ貴方の言う通りだ。警察は何をやってるんだ」と、隣でお茶を飲んでいた恰幅の良い老人が立ち上がって囃し立てていた。
するとぞろぞろと客が寄って来ていた。
「申し訳ありませんでした。皆さん私達も一生懸命やっています。どうか分かって下さい。紺野さん済みません」。
NO-28-72

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(27)&CG

2008-08-02 11:24:42 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(27)&CG

「もし何人かで来たら計画は中止して帰って来てね」。
「うん、分かったよ」。
そして翌日、朝食を済ませてホテルを出ると電車で東山に向かった。そして、宝ケ池駅で降りるとカメラを片手に観光客に交じって公園を見て回った。
そして、美保の親友の佐々木友代が自殺していたと言うコンクリートのベンチに来ると美保は涙を流していた。ベンチの下には萎れた花が置かれていた。
そんな美保を抱き寄せながら、車を隠せる位置を探していた。そして身を隠せる場所も探した。
池の近くに公衆トイレがあり、その隣には物置小屋らしい小屋があった。
「美保、帰ろうか」。
「うん、誰か花を供えてくれているみたいね。花が萎れている」。
写真を撮りながら東山を後にし、宝ケ池駅に戻ると電車に乗って茶町駅で下りた。そして真田貴明の家の方向に歩いた。
ガレージは半分空いて真田のベンツが入っていた。家は静かで雨戸が閉まっていた。
そんな家の前を素通りして公園に入った。男の子が二人汗まみれになってブランコで遊んでいた。
そんな子供を見ながら公園の裏を回って茶町駅に戻った。
四条駅で下りるとデパートに向かった。暑い日ざしが髪を照り付け、額から汗が吹き出ていた。小走りにデパートに入ると汗ばんだ身体を冷たい空気が優しく包んでいた。
そしてエスカレーターで電気機器の階で下り、ボイスレコーダーを買い、スポーツ用品売り場へ向かった。するとバーゲンをしていた。
私はサイズを見て、スニカーとアディダスのグリーンのジャージを選んだ。
「ねえどうしてグリーンなの。黒じゃないの」?
「うん、黒は芝では目立つだろ。あそこは芝が多いし低い垣根が緑だったからさ。見に行って良かったよ」。
「そうか、流石ね。お昼にしようか、私お腹空いちゃった」。
そして食堂に行こうとエレベーターに向かった。
「美保、京平さん。どうしたんへ、こんな所で」。と、振り返ると美保の母親の美代子が立っていた。
「エ~ッお母さんこそ、一緒にお食事にしよう。ちょうどよかった。電話しようと思っていたの。少しお願いがあるの」。
「いいわよ。私もお食事にしようと思っていた所なんへ」。そして三人はそトンカツ屋に入った。すると、母美代子は何も聞かずにオーダーを出した。
すると和服を着た若い店員はペコペコしていた。
「此のお店、三ケ月前に私が出したんへ。結構評判がええの」。
「え~っ、そうなの?・・・良くあの人が許してくれたね」。
「美保、あの人って言うのはお止めなさい。あなたの父親へ」。すると美保は目を見開いて大きく溜め息を着いていた。
「それより、頼みってなんへ」?
「うん、明日の午後車を貸して欲しいの。返すには遅くなるけど」。
「そやったら自分の車を使いなさい。まだちゃんと車庫にあるへ。そのまま乗って帰ったらよろしい。そうしなさい」。
「そうか、まだあるの。でも半年も乗ってないから動かないよ」。
「バカね、美保がいつ帰っても乗れるようにと、ちゃんと頼んで整備してあるわよ。午後から取ってらっしゃい」。
「有り難うお母さん、京平さん乗って帰っても良いかな」。
「うん、いいよ。僕が運転して行くよ。お義母さん済みません」。
「ううん、ええのよ。それより幸子さんの事やけど。やっぱり自殺だったのね。御両親が気の毒よね、家と同じ一人っ子でしょう」。
「うん、親不孝でも生きてた方がいいよね。お母さん」。
「まあ、この子ったら。口が減らないわね。美保は殺しても死なないわよ。それでいつ帰りはるの」?
「うん、車があるならドライブしがら十日の日に帰るよ。朝早く発てば夕方には着くから」。
「そう、でも気を着けて帰るんへ。鍵はいつもの所にあるから。お父さんは出張で今朝から九州に行って十三日まで帰らないから、もし必要な物があるなら持って帰りなさい」。
こうしてヒレカツ定食を頂いて美保の母親に別れを告げ、デパートを出た。そしてまた四条駅に戻ると電車に乗った。
そして元田中駅で下りると美保の実家に向かった。初めて行く美保の実家だった。そこは閑静な住宅街だった。そして五分ほど歩くと一際大きな家の前で止まった。
「ここが私の実家なの、遠慮しないで入って」。
美保がインターホーンに手を延ばして押した。すると応対があった。
「どちら様でしょうか」?
「時江さんただいま、美保です。旦那様も一緒なの」。
すると玄関から年配の女性が走って来た。
「お嬢さん、お帰りなさい。初めましてお手伝いの時江です。良く来てくれました。ささどうぞ。先程奥様から電話を貰いました」。
「うん、デパートで会ってね。お食事を御馳走になっちやった。時江さん、私車乗って帰るから」。
「はい、お聞きしていますよ。御結婚おめでとうございます」。
「有り難う、旦那様の紺野京平さん、今度母とペンションに来てね、温泉があるの、必ず来てよね」。
美保の楽しそうな笑顔が戻っていた。私は家にはあがらなかった。
「京平さん、上がってよ」。
「うん。悪いけどお父さんのいる時に上がらせてもらうよ。美保は必要な物があれば持っておいで」。
「うん、分かった。じゃあすぐに戻るから待っていてね」。
「紺野さん、そんな事はおっしゃらないでどうぞ」。
「時江さん、主人の言う通りよ。分かってあげて。何か冷たい物でも出してあげて。私も飲みたいから」。
美保はそう言うと家に入って行った。そして、すぐにお手伝いの時江が大きなグラスにアイスコーヒーを入れて運んでくれた。
私はそれを飲みながら屋敷に植えられている松や盆栽を眺めていた。すると美保がボストンバックを下げて出て来た。
「お待たせしました。此れ二つだけ持って帰る。時江さん、私たち帰るから元気でね。お母さんの事お願い。後でガレージ閉めてね」。
「はい、もう帰ってしまうんですか。お気を着けて。旦那様、お嬢さんを宜しくお願いします」。
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