めいすいの写真日記

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ミハイロフスキー劇場バレエ「ラ・バヤデール」

2020-05-23 | オペラ・バレエ

   「影の王国」でソロルとニキアは結ばれる

愛を誓った恋人達を引き裂く王の娘との縁談
失意の中 赴いた元恋人の祝いの席で女(ソロル)は策略にはまり絶命する

男(ニキア)は後悔の念にさいなまれ彼女の面影を追うのだった
古代インドを舞台に繰り広げられる舞姫と戦士の悲恋をナチョ・ドゥアドが新たに振り付けた話題作

ニキヤ(寺院の舞姫)  アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
ソロル(戦士)          ヴィクトル・レベデフ
ガムザッティ(王女)  アンドレア・ラザコワ
王(ガムザッティの父) アンドレイ・ガシャネンコ
大僧正         セルゲイ・ストレルコフ

ミハイロフスキー劇場バレエ団
現振付  マリウス・プティパ
改定振付   ナチョ・ドゥアト
音楽   ルドヴィク・ミンクス
舞台美術・衣装 ・アンゲリーナ・アトラギッチ
管弦楽  ミハイロフスキー劇場管弦楽団
指揮   パヴェル・ソロキン 

2019年11月14.16ミハイロフスキー劇場 NHK BSプレミアム 2020.5.18 放送

(第1幕)舞姫ニキヤと戦士ソロルは恋仲
     大寺院で舞うニキヤの美しさに魅了された大僧正は彼女に求婚するが拒絶される。
 ニキヤとソロルはひとときの逢瀬を楽しみソロルは神聖な炎にニキヤとの愛を誓う。
   その光景を目撃した大僧正は激しく嫉妬し復讐を誓う。

ソロルとニキアは逢瀬を楽しむ

(第2幕)王宮の一室
 ソロルは王女ザムザッティとの結婚を王から命じられる。
 王はソロルがニキヤとの恋仲を大僧正から告げ口され、ニキヤとの殺害を企てる。
 ソロルに恋人がいると知ったガムザッティはニキヤを呼び出し激しく責める。
 婚約式の席、悲哀を感じながら祝いの踊りをするソロルに花かごが渡されるがその中には毒蛇が仕掛けられており噛まれて倒れる。彼女に横恋慕していた大僧正の差し出す解毒剤を拒否して、その場で絶命する。

ソロルは毒蛇に噛まれる

(第三幕)
 愛するニキヤを失って絶望したソロルは、阿片を吸い、幻の世界に逃避しニキヤの面影を追う。


ソロルは阿片を吸い、幻の世界に逃避する

(影の王国)幻想の世界。ラバヤデールの神髄ともいえる精霊達のバレエが始まる。

 「影の王国」、精霊達のコールド・バレエ(群舞)、アラベスク(片方の脚で立ち、もう一方の脚を上げる)を何度も行う。このシーン、ドゥアトは幻想的になるように、うすい網の幕を掛けている。そのため、写真もぼやけている。

(感想)

 古代インドが舞台で舞姫ニキアと戦士ソロルの悲恋物語はニキヤが結婚式の会場で失意の中で美しく踊る中、蛇の毒で倒れるという衝撃的な出来事が起こる。これらガムザッティ(王女)や大僧正との人間関係は緊迫感を出し、物語を盛り上げる。
 ニキアが阿片を吸い逃避する夢の中で「影の王国」が現れ、精霊達24人が白衣のチュチュの群舞(コール・ド・バレエ)踊る。ヒマラヤの山からジグザクに舞い降りる様子を表現としたという場面は古今のバレエの中で最も美しいシーンの1つである。
 精霊たちが何度もアラベスク(片方の脚で立ち、もう一方の脚を上げる)もバレエのなかで最も美しいポーズのひとつといわれる。
 これまでプティパの振付に改定振付を行った今回のナチョ・ドゥアト版はプティパによる振付を生かしながらも民族舞踊のエッセンスも取り入れた舞台になっている。ダンスも多く、王さえも踊る。アクティブでスピーディな作風になっていて親しみやすい演出だ。
 出演者の衣装もカラフルで、ニキヤの薄地のコスチュームも魅惑的で踊りも見事である。演じるアンジェリーナ・ヴォロンツォーワは素晴らしいバレリーナだと思う。また影の王国の精霊達のチュチュは通常は白であるが、薄い水色となっている。
 従者達の野卑でエネルギッシュな踊りも舞台をおおいに盛り上げている。
 一部、物語が簡素化されている部分もあるが、「ラ・バヤデール」を魅力あるバレエにしていて好感が持てる改定振付だ。

 ところで、ミハイロフスキー劇場バレエ団。同じサンクトペテルブルクにあるマリインスキー劇場バレエ団の方が有名だが、団員の多くはマリインスキー・バレエ団の付属学校の卒業生という。ナチョ・ドゥアド、が2011年にミハイロフスキー劇場バレエ団の芸術監督に就任、2014年にベルリン国立バレエ団の芸術監督として招かれた後、2019年に再びミハイロフスキー劇場バレエ団に復帰した。世界各国から認められ、注目されている振付家である。

 なお、ミハイロフスキー劇場は単にマールイ劇場(ロシア語で「小劇場」の意)と呼ばれることもあるとのこと。



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