京都祇園の舞妓さん
京都の心ここにあり 祇園・都をどり BS4K 2020.4.4 放送
8Kカメラでとらえた映像(4Kに変換)はとても美しく、珍しいものだったのでここに、そのごく一部を掲載することにしました。
「都をどり」は京都祇園の春の風物詩で、祇園が生んだ究極のエンターテインメント。
祇園甲部の花街には六十一軒の茶屋が軒を連ねていますが、普段は「一見(げん)さんお断り」の夜の世界なので、一般の人は、芸舞妓の踊りは4月の1ヶ月のロングランでしか見られません。このため、今では、国内外から見物客が集まり9万人の人が見物に訪れるとのことです。
しかし、今年2020年は新型コロナウイルスのため、残念ながら公演は中止となりました。
第四十四回 都をどり 名所巡回四季寿 めいしょじゅんかいしきのことぶき
2016年 4月
祇園甲部 祇園甲部歌舞練場
祇園甲部(ぎおんこうぶ)は、京都市東山区にある京都で最大の花街
京都の五大花街の一つ。
この年の演目「名所巡り四季寿・・・めいしょめぐりしきのことぶき」は関西の美しい四季をからめて旧跡を巡ろうとするものです。全八景からなっています。
第一景 置歌 総をどり
第二景 城南宮枝垂梅香 じょうなんぐうしだれうめのか
第三景 毘沙門堂藤小波 びしゃもんどうふじのさざなみ
第四景 春日造替祝舞楽 かすがのぞうたいいわいのぶがく
第五景 落窪姫末繁盛 おちくぼひめすえのはんじょう
第六景 芭蕉庵紅葉遊戯 ばしょうあんもみじのたわむれ
第七景 三千院雪見風流 さんぜんいんゆきみのふうりゅう
第八景 姫路城桜霞 ひめじじょうさくらのかすみ
これらの内容は芸妓により、三味線や太鼓を交え、長唄などで説明されます。その中で和歌が読まれたりすることもあります。観客を飽きさせないため、舞台は暗転だけで幕を下ろさないという方法を採っていました。
第一景 置歌 総をどり
「都をどりは ヨーイヤサー」の掛け声で始まる。古くから行われているようでこれが名物でもあるようです。
舞台の序曲 芸舞妓達20人がそろいの青い衣装で迎えます。
この「総踊り」は「都をどり」の代名詞となっています。後の銀襖(ふすま)は、かって公家屋敷で行われてきたことに由来するといいます。
毎年、青い色に染めれてきた歴代の衣装。芸舞妓さん達をいっそう引き立てる京都伝統の京友禅や西陣織の着物で、明治5年の初演の心を今も伝えています。
芸妓さん達の稽古は、祇園甲部歌舞練場内にある「八坂女紅場(にょこうば)学園」で行われます。
生徒は十六歳から九十歳過ぎまで、祇園に籍を置く限り生涯に渡り、
「舞踏、長唄、常磐津、地唄、小唄、清元、三味線、能楽、笛、鳴物、華道 茶儀 書画」
といった技芸を学び続けなければなりません。
振り付けと指導は京舞井上流五世家元井上八千代さんで人間国宝です。
井上流の特徴は、「重心を高く保つこと。後足のかかとをあげたまま、わずかに腰を落とす。この姿勢を常に保ち凜とした姿勢を形作る。顔は無表情に徹し、繊細な感情の表現は身体で表す」とのことです。
都をどりの稽古は3月上旬から始まるようですが、1年を通した日常の稽古は厳しいようで、始めは筋力が足らず、足が震えて動けないこともあるようです。夜のお座敷から戻ると12時を過ぎることもあるとか。
第二景 城南宮枝垂梅香 じょうなんぐうしだれうめのか
京都洛南の梅の名所、春まだ浅い城南宮。境内には伏見の名水を引き込んだ小川が流れ、梅の花が咲き乱れます。
小川に盃を浮かべ和歌を詠んだという平安貴族に思いを馳せます。
第三景 毘沙門堂藤小波 びしゃもんどうふじのさざなみ
夜のとばりが降りた京都山科の毘沙門堂。現れたのは富士の妖精達。
月明かりの元、幻想的な踊りが行われるます。
第六景 芭蕉庵紅葉遊戯 ばしょうあんもみじのたわむれ
紅葉の名所、金福寺は俳人松尾芭蕉が旅の途中で訪れたことでも知られています。
境内に建てられた芭蕉庵は芭蕉の死後、荒れ果てた姿になってしまいました。それを悲しみ建て直した与謝蕪村の功績を称えます。
第八景 姫路城桜霞 ひめじじょうさくらのかすみ
フィナーレは桜の満開の国宝、姫路城。この舞台だけ、お城は大道具係が立体構造で作り上げました。
最後に八景に登場した芸舞妓達が勢揃いして大団円となりました。
終わりは前列の人が一度軽い会釈をしただけで幕が下りました。カーテンコールなどないのが日本的なのかも知れません。
「都をどり」は舞妓さん達が踊るものということは知っていましたが、その他の知識は全くといって良いほどありませんでした。ちょうど1時間の番組で鍛え抜かれた「都をどり」の素晴らしさを知ることが出来ました。8Kによる始めての撮影であり、初めての放映ということですが、京都らしさと極彩色の美を十分に堪能できました。