2010年2月1日から5日までNHKのBSハイビジョンで放映れた「華麗なるメトロポリタンオペラ(以下MET)」。
初日、楽劇「サロメ」(リヒャルト・シュトラウス作曲)、二日目は歌劇「ドクター・アトミック」(ジョン・アダムス作曲)、
三日目劇的物語「ファーストのごう罰」(ベルリオーズ作曲)、四日目が
歌劇「タイス」(マスネ作曲)という演目でした。
その中で、歌劇「タイス」が素晴らしい内容であったので紹介しようと思います。
歌劇「タイス」の中の第2幕第1場と第2場との間奏曲として演奏される
「タイスの瞑想曲」はほとんどの人が
聞いたことのある名曲で、クラッシックの演奏会でもヴァイオリンやフルートの独奏曲として広く親しまれています。
しかし、このオペラそのものは上演されることが、極めて少ない。
数多くのオペラを上演しているMETでさえ、なんと1878年以来と130年ぶりというのだから、まさに驚きです。
しかし、この歌劇「タイス」を見て、とても素晴らしいオペラであるということを知りました。
ストーリーは、4世紀、ナイル河畔のテバイード、アレクサンドリア。
ナイル河畔のテバイードにある修道院の修道士アタナエル(Br)とアレクサンドリアに住む有名な遊女タイス(S)の物語。
タイスが遊女から 神に目覚める修道女へ。タイスに回心を勧めるアタナエルは修道士から愛に芽生える俗世の人間へ。
という人格の変化の交差がそれぞれの心の葛藤を描きながら進んでいき、精神的にも奥深い内容となっています。
<!-- 浅田真央 タイスの瞑想曲 -->
参考として「タイスの瞑想曲」を浅田真央のスケートで・・・、実際のMETのオベラでの演奏とは異なります。
「タイスの瞑想曲」は間奏曲として、遊女としてのタイスが一夜にして回心するという重要なシーンで演奏されます。 音楽的には「タイスの瞑想曲」だけでなく、全編を通じて男声合唱、女声合唱あり、園遊会あり、踊りあり(ベリーダンス)、
修道院の祈りの歌ありで優れた構成になっています。
歌そのものものも特別な発声法をしなければならないところがあるので難しいとのことです。
最後のシーンのタイスとアタナエルの二重唱はタイスの瞑想曲のメロディーで歌われ、劇的終末を迎えて感動的です。
ただ、なんと言っても、ほとんど上演されないオペラがこれだけの感動を呼ぶのは、配役が良かったことと、
演出が優れていることにもあるでしょう。
特に、タイスを演じた今をときめく、人気の
ソプラノ歌手のルネ・フレミング は、美貌で、声もよく、演技も素晴らしく、
オペラ歌手としての完成度が高い人です。劇中でタイスを賛美する言葉「タイス、美の女神の妹よ!」、
「タイス、アレクサンドリアのばら!」、「タイス、みなの憧れ!」にふさわしい役柄だったといえるでしょう。
また、アタナエルを演じたトマス・ハンプソン、パレモン (老修道士)のアラン・ヴェルヌ、 ニシアス (若い学者)
のミヒャエル・シャーデ 、アルビーヌ (女修道院長)のマリア・ジフチャクも好演しました。
ジョン・コックスの演出もオーソドックスで古代エジプトの雰囲気をよく出していて、さすがMETといえるものでした。
コスチュームもタイスものをはじめとして魅力的でした。
また、遊女のタイスを気品よく演出したことも、このオペラを盛り上げたと思います。
余談ですが、パリで初演された時にタイスのコスチュームが脱げてしまったそうです。意図的だったという話もあるようですが・・・。
歌劇のあらすじなど詳しくは
「めいすいの音楽随想」・・・METオペラ「タイス」 をご覧下さい。
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