お寿司というのは本当に難しくて難しくて、
「チミチミ、あのね寿司ってのはね、元々は"ちょと"つまむものであってね、高級感を全面に出してる事自体が、間違っているわけですよ」
なんて、池波正太郎を聞きかじったかのような知ったかぶりを相手にするほどの余裕は御座いませんでございます。
やっぱり基本的な問題として高いのですよ。普段の私は
「今日は奮発しちゃうぞ!!」
と鼻息を荒くしながら、1玉33円のうどんに1パック70円のレトルトカレーをかけていたり、
「清水の舞台がここにあったか、、、」
と覚悟を決めながら650円の定食を食べていたりする身分ですので、一人一食数千円とか、そうポンポコ出せるものではありません。ましてや、コースは7000円からとか、板前さんのお任せで頼んだら幾らになるかよくわからないようなお寿司屋さんは、経験を積める程の頻度では通えないでしょう。授業料が高すぎます。という事で必然的に、高級お寿司屋さん選びは博打になってしまいます。ゲーム業界的に言うと、運ゲームです。
そういう意味では、先日行きました新宿エルタワー地下2階「鮨 いしかわ」は、運ゲームに勝ったと言っても問題ないと思われます。
フロアの相当奥まった所にありまして、小さな看板が掛かっているだけの落ち着いた店構えは、新宿のど真ん中にこういう雰囲気のお店が有ってもいいよね、という発想を持っていない人であれば、ただの壁だと思い違いをしてしまうかもしれません。そういった主張しない感じ、私はとても好きです。
お造りやお寿司が美味しいのは当然ですが、驚いたのは、生ビールがびっくりするほど美味しい事でした。よく、泡がきめ細かい、と形容されたりしますけども、それが何かを経験したければ、ここの生ビールを飲むべきだと思います。私は一口飲んで、
「ビールがウマイ!!」
と声に出して感嘆してしまいました。
写真は、コースで出てきたお寿司。雲丹の隣にある不自然な空白は、写真を撮る前に食べてしまった焼き穴子のスペースです。
私は、このお店を高級店と形容しなくてもいい程の収入はありませんし、確かに結構な金額を支払いましたが、それが納得できないとは一切思いませんでした。(当たり前ですが)ここ一番という時に行きたくなるお店でしょう。
という事で、私は「鮨 いしかわ」を応援しております。なるべく早く行けるよう、ここ一番を探す所存でございます。