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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.67(未払い賃金の立替払制度)

2011年05月22日 | 会社の法律ミニレッスン
会社の法律ミニレッスン企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第67回は、「未払い賃金の立替払制度」です。

 「会社が倒産をした。今月の給料はどうなるの???」
 そんなときに「未払賃金立替払制度」があります。

■未払賃金立替払制度とは?
「未払賃金立替払制度」とは、「賃金の支払の確保等に関する法律」(以下「賃確法」という。)に基づき、企業が「倒産」したために賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、その未払賃金の一定の範囲について、国が事業主に代わって支払う制度です。

■立替払を受けることができるのは?
 使用者(会社)が
(1)労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業で1年以上事業活動を行っていた
   (法人、個人の有無、労災保険の加入手続きの有無、保険料納付の有無は問いません。)。
(2)法律上の倒産又は事実上の倒産に該当することとなったこと。
 ▽法律上の倒産
1.破産法に基づく破産手続きの開始
 2.会社法に基づく特別清算の開始
 3.民事再生法に基づく再生手続の開始
 4.会社更生法に基づく更生手続の開始
     について裁判所の決定又は命令があった場合
 ▽中小企業における事実上の倒産
 事業活動に著しい支障を生じたことにより、労働者に賃金を支払えない状態になった
 1.事業活動が停止
 2.再開する見込みがない
 3.賃金支払能力がない状態になった
     ことについて労働基準監督署長の認定があった場合

■立替払の請求ができるのは?
 労働者が、次に揚げる日の6か月前から2年の間に退職していること
(1)倒産について裁判所への破産申立等が行われた日
(2)事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長への認定申請が行われた日
 ※未払賃金の総額が2万円未満の場合は立替払を受けられません。

■立替払される額は?
1.対象となる未払賃金
  退職日の6か月前の日から立替払請求の日の前日までの間に支払日が到来している「定期賃金」及び「退職手当」で未払のもの
 ○対象にならないもの
  *賞与その他臨時的に支払われる賃金
  *解雇予告手当
  *賃金に係る遅延利息
  *慰労金や祝金名目の恩恵的又は福利厚生上の給付、実費弁償としての旅費等
○税、社会保険料、その他の控除金の控除前の額です。
  ただし、社宅料、会社製品の購入代金、貸付金返済金等については控除します。

2.立替払される賃金の額は、未払賃金総額の8割
  ただし、上限設定あり。
   未払賃金総額には、退職日の年齢に応じて限度額が設けられています。
   未払賃金総額が限度額を超えるときはその限度額の8割となります。

 基準退職日
  45歳以上…限度額は370万円(上限額296万円)
  30歳以上45歳未満…220万円(176万円)
  30歳未満…110万円(上限額88万円)


■東日本大震災に伴う未払賃金の立替払制度についてQ&Aから
Q2 震災により賃金に関する書類はほとんど残っていませんが、立替払の請求はできますか。
【A】
 勤務していた会社のことや給与に関係する書類は存在するものは何でも結構ですので、ご用意ください。それがなくても、これまでの賃金の支払状況などが確認できれば請求の手続は可能ですので、労働局又は労働基準監督署にお尋ねください。

Q3 震災前から支払が滞っていた賃金や退職金も立替払されますか。
【A】
 立替払の対象となるのは、毎月の給与支払日に支払われる定期賃金と退職金であって、賞与(ボーナス)は対象になりません。給与支払日が来ているのにまだ支払がされていない賃金が対象になりますが、そのうち退職日の6月前の日以降の未払賃金が対象になります。
仮に、今回の震災発生日(3月11日)に退職した場合、平成22年9月11日以降の給与支払日に支払われるべき賃金が対象になります。

Q5 外国人、パートタイマー、アルバイトは立替払の対象となるのですか。
【A】
 立替払を受けることができる方は、労働者として雇用されてきて倒産に伴い退職し、未払賃金が残っている方であり、国籍やパートタイム労働者、アルバイトなど正規・非正規社員などを問わず対象となります。ただし、法人登記簿に登記されている役員で役員報酬を受けていた方など労働者でない方は対象となりません。

Q6 申請できる期間はいつまでですか。
【A】
 まず、企業が倒産状態にあることについて、労働基準監督署長の認定を受けていただくことが必要になりますので、罹災証明書などの企業が倒産状態にあることがわかる資料がある場合には、これらとともに最寄りの労働基準監督署に、退職してから6月以内に申請してください。
 仮に、震災発生日(3月11日)に退職した場合、平成23年9月11日までに、退職した方のうちどなたかお一人でも申請していただければ結構です。

Q7 会社の代表者が行方不明ですが、立替払の請求をすることは可能でしょうか。
【A】
 会社の代表者の方が行方不明の場合でも、立替払の請求は可能です。

Q8 今回の震災により、夫が勤めていた会社が倒産し、賃金が未払となっているのですが、夫は死亡してしまいました。私が代わりに立替払の請求をすることは可能でしょうか。
【A】
 ご遺族がその方の名で申請することが可能です。なお、亡くなったことがわかる死亡診断書などの書類や続柄がわかる戸籍謄本などの書類をご用意ください。

Q9 私は会社の代表者ですが、今回の震災で事業場が大きな被害に遭い、労働者に給与が払えない状況です。多くの労働者やその遺族が各地に避難していますので、私が給与未払いとなっている労働者の給与についてまとめて申請し、各労働者等に配付したいと思っています。このようなことは可能ですか。
【A】
 会社が倒産状態にあることを認定するための認定申請は労働者の方から行っていただくことが必要ですので、連絡のつきやすい労働者のどなたかお一人で結構ですので、申請をお勧めしてください。なお、各地に避難していらっしゃる労働者等の方々についての情報をいただければ、頂いた情報で事務処理がより円滑に進むものと考えますので、ご協力ください。

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