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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.66(非常時払い)

2011年05月15日 | 会社の法律ミニレッスン
会社の法律ミニレッスン企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第66回は、「非常時払い」です。

 給料の前払いを頼まれても応じる必要(義務)はありません。
 賃金の支払いには、「一定期日払い」の原則がありますので、会社は「○日締め、○日払い」と給与の支払期日を定めています。労働者は、特別な約束があれば別ですが、それ以外は、支払期日までは、原則として、働いた分の給与を受けることはできません。

 しかしながら、今回の大震災のような自然災害で被災した場合など非常事態時には、決められた支払日前に給与が必要になるケースもあります。そのために、

 労働基準法第25条(非常時払)
『使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。 』

 として、「一定期日払い」の例外として、災害時などの非常時払いを定めています。
 繰り返しますと、災害や病気など不時の出費が必要になったときは、支払日前であっても、会社は賃金(給与)を支払わなければなりません。これが、「非常時払い」というものです。

■対象は?
 労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合となっていますが…
(1)労働者の出産、疾病、災害
 その他厚生労働省令で定める非常の場合とは
(2)労働者の収入によって生計を維持する者に出産、疾病、災害といった事態が生じた場合
(3)労働者またはその収入によって生計を維持する者が結婚または死亡した場合
(4)労働者またはその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由で1週間以上帰郷する場合
とされています(労働基準法施行規則第9条)

 疾病…業務上の疾病、負傷だけでなく、業務外の私傷病も含まれます。
 災害…洪水、火災などの災厄も災害に含まれます。
 労働者の収入によって生計を維持する者…
  労働者の親族だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者であれば同居人も含みます。
  逆に、親族であっても、独立の生計を営む者は含まれません。

■既往の労働に対する賃金?
 実際に労務の提供があった分、つまり支払う前までの労働に対する分を支払えば足ります。
 つまり、労務の提供がない期間に対する賃金(給与)は支払う義務はありません。

 ○もし月給制であれば
   支払前までの分を日割計算して支払うことになります。

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