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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

労働基準法と憲法

2010年05月03日 | 労働法
使用者と労働者が「働きます(労務の提供)」「賃金を支払います」と約束(雇用契約)をします。これは、私人間(使用者も労働者も共に私人)の約束(契約)ですから、民法の原則が適用されます。

契約の自由に関しては
 1.契約締結の自由
 2.契約内容決定の自由
 3.契約解消の自由
の3つを大原則としていますが、雇用の場を考えるとどうでしょうか?
この原則は対等な私人間を前提にしています。
「やっぱり雇う側の方が強いでしょう」=労働者は弱い立場
では、弱者である労働者を保護する立場から、法律を定めて、労使の契約関係を規律しましょうと労働基準法等が作られました。

その根拠は、憲法にあります。
(そうです、今日は憲法記念日なので、こんな内容のことを書いています)
憲法25条1項は、
『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。』
憲法27条1項では
『すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。』と定めています。
働いて下さい=働く(賃金を得る)機会を提供します、という義務を負います。
誰が?国が負います。と言うことは、戦前にあったような労働者が搾取されるような事があってはならないわけです。

さらに、憲法27条2項で
『賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。』として、本来は「契約内容は自由」である雇用契約の中味の労働条件に修正を加えることを可能にしました。
労働基準法等で「最低基準」を設けて、これ以上の労働条件にして下さい!すなはち、健康で文化的な最低限度の生活を営むことが出来るように基準を設けたわけです。
その最低基準を定める法律として、労働基準法、最低賃金法。そして「健康で…」だから、労働者の健康維持のための基準として労働安全衛生法があります。
そう言えば、どれも違反には罰則がついていますね。つまり「守って下さい!違反には刑罰(懲役と罰金)に処しますよ!」です。

さて、労働者は保護されていますが、社長はどうでしょうか?
社長を守る法律は???

会社を守る就業規則は会社の憲法です。
つまり、会社を守る就業規則(憲法)が社長を守ります。
そのためには、しっかりとした強い就業規則が必要です。

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