中川輝光の眼

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宗左近著「恍惚の王国」の紹介

2012-11-24 | 本の紹介

宗左近著「恍惚の王国」の紹介

 わたしが宗左近の名前を知ったのは、学生の頃です。愛読書の一冊、ロラン・バルト『表徴の帝国』の翻訳が宗左近さんその人でした。2006年に亡くなるまで、それとなく「宗左近」の名とエッセイを書店で目にする都度、手に取ったものでした。それほど『表徴の帝国』は、わたしには印象強い本でした。そこには、日本の文化にみられる「意味のなさない記号」について書かれている。何のことかわからないと思いますが、ヨーロッパ文化が過剰なぐらい記号や意味であふれている、ことと比較して日本文化を論じているのです。意味から切り離されることにより、一層深く輝きを増す表現方法もある、ことを論じているのです。日本文化の魅力が書かれていると言っていいのです。宗左近著『恍惚の王国』にも、そういった視点が多く見られます。ただ、もう少し踏み込んで「日本独自の空間表現」の魅力に言及している。意図した空間、『欠如』と言っていいものを、宗左近らしい筆致で書いている。宗左近は、言うまでもなく詩人です。意図した空間、この『欠如』は、意識しないまでも不思議に存在する。ありとあらゆるところに存在する、ことの不気味さは言いようもなく、怖い。これは、日本に限ったこと、ですが。

 



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