紫外線当てると極彩色くっきり 特殊インキを開発
真っ白な壁紙に肉眼では見えない紫外線を当てると極彩色の写真や絵が浮かび上がる。そんな印刷ができる特殊なインキを、奈良先端科学技術大学院大学の長谷川靖哉准教授(光化学)とセントラルテクノ株式会社(大阪市)の共同研究グループが開発した。一見何も書かれていないように見えるIDカードに情報を浮かび上がらせたり、暗闇の中で輝く幻想的な広告や室内装飾をつくったりできるという。
紫外線を全体に当てるとカラーの絵が浮き出た。左中央の立方体も赤く輝いている=21日、奈良先端科学技術大学院大学で |
紫色LED(発光ダイオード)やブラックライトなどで、紫外線を当てると、青色、緑色に輝く無色のインキは開発されているが、赤色は難しかった。今回、赤色に輝く無色のインキが開発できたため、光の3原色がそろい、あらゆる色を出すことができるようになった。紫外線を消せばまた透明にもどる。商品化をめざしている。 紫外線を当てると弱い赤色を発するユーロピウムという希土類元素を、集光能力を持つ有機化合物で囲い込み、発光能力を100倍から1000倍高める分子レベルの操作をし、実現した。ガラスやビニールなどにも印刷できる。透明プラスチックにインキを混ぜ、紫外線を当てると赤く輝く立体もつくることができる。 長谷川准教授は「絵そのものが発光するので、夜景や星空などのイルミネーションは特にきれいに表現できる」と話している。