ゲアハルト・シュレーダー前首相「日本は技術的に(原発と)違うエネルギー政策ができる状況だ」「ドイツの安全哲学は日本よりも確固だ」
野田佳彦首相は21日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、運転停止中の原子力発電所について「来年の春以降、夏に向けて、再稼働できるものは再稼働していかなければいけない」と表明した。その理由として「電力不足になった場合は、日本経済の足を引っ張ることになる」と説明し、「そこはきちんとやらなければならない」と述べた。首相は電力需給に関し「今年の冬も大丈夫だろう」との見通しを示す一方、来年も原発再稼働は必要ないとの指摘に対しては「あり得ない」と否定した。(jijicom)
社民党の福島瑞穂党首は21日午前、党本部で開かれた会合であいさつし、野田佳彦首相が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで来年夏までに原発を再稼働させる意向を示したことについて、「首相の頭の中は再稼働ありきの方に偏っている。事故の収束も検証もされていない段階で、前向きに再稼働すると言うことは極めて問題だ」と批判した。(jijicom)
ドイツで02年に「脱原発」を法制化したゲアハルト・シュレーダー前首相「日本は技術的に(原発と)違うエネルギー政策ができる状況だ」と述べ、日本でも脱原発は可能だとの認識を示した。その上で、ドイツで脱原発を決めた際、「原発こそがビジネスモデルと信じていた電力業界の反発はすごかったが、業界幹部と納得するまで何度も議論した」と振り返り、政治主導の重要性を強調した。欧州では電力が不足すれば、陸続きの隣国から輸入できるが、島国の日本は外国に頼れない現実がある。だが、前首相は「省エネを進め、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを拡大し、過渡的に(気候変動への影響が少ない)天然ガスを活用する」ことで「原発以外のエネルギーの先駆者になれる」と語った。福島の事故後も、大半の先進国やエネルギー不足を懸念する新興・途上国は「安全強化」を条件に原発依存を続ける。前首相は「安全」に対する認識に触れ、「テロや飛行機事故(で原発が破壊される事態)のような非現実的に思えることも、可能性があれば絶対に排除してはならない」と指摘。「ドイツの安全哲学は日本よりも確固だ」と述べた。(毎日JP)
ドイツの「脱原発」は、明快であるだけでなく戦略的でさえある。ゲアハルト・シュレーダー前首相が「日本は技術的に(原発と)違うエネルギー政策ができる状況だ」と指摘する、言うまでもなく、02年時の「太陽光発電能力トップの座」を日本からドイツが「政策力」で奪った当事者の言葉だけに重い意味がある。先を見据えた裏付け(経済効果)がなければ・・・しかも国民の意識を反映したこのような「国策」はとれない・・・技術立国ドイツの歩む道を明瞭に世界に示したと言える。日本は唯一の被爆国であり、それゆえの「非核三原則」を旗頭にしてきた・・・一転「原発事故」が日本の「歪んだ(矛盾する)姿」を世界に晒すことになる・・・この誤解を生みやすい国の姿を少しでも修正し、国際社会に理解されることが求められる。そのためには、「脱原発依存」から「脱原発」にポジションを移行する、体制を確立する以外にないのかもしれない。
