紅葉の色は一つをいかにして秋の木の葉せを千々に染むらむ
よのなかのはかなきことをおもひけるをりに
きくの花をみてよみける
あきのきくにほふかぎりはかざしてむはなよりさきとしらぬわがみを
やどちかくにほはざりせばむめのはなかぜのたよりにきみをみましや
紀貫之
ゆくとしの惜しくもあるかなます鏡
見る影つへに暮れぬと思へば 紀貫之
いつまでか野辺に心のあくがれむ
花し散らずは千代も経ぬべし
素性
眺むれば千々にもの思ふ月にまた
我が身ひとつの峰のまつ風
鴨長明
伊勢
水の上にうかべる舟の君ならば
こころ泊まりといはましものを
梅の香の降り置く雪にうつりせば誰かことごと分きて折らまし
おみなへしおおかるのべにやどりせば
あやなくあだのなをやたちなむ
我が来つるみちもしせれずくらぶやま
きぎのこのはのちるをまがふに
はかなくて夢にも人を見つるよは朝の床ぞ起きうかりける
ひとしれぬおもひのみこそわぴしけれわがなげきをばわれのみぞしる
はかなくて夢にも人を見つる夜は朝の床ぞ起きうかりける
心こそうたて情けれ染めざらば移ろふことも惜しからましや
つれなきを今はこひじとおもへともこころよわくも落つるなみだが
